COLUMN
お役立ちコラム
2020.10.08
リードブレーン社会保険労務士法人
テーマ:
「身元保証書」に損害賠償額の上限記載が義務化
2020年4月から、民法の改正により、身元保証契約の締結時に賠償額の上限の記載が必要となりました。
改正のポイント
①損害賠償額の上限を具体的に記載することが必要
②損害賠償額の上限の定めのない身元保証契約は無効
従来は賠償額を決めずに身元保証契約が可能でした。しかし、金額の上限がないと、契約時点では内容がわからない損害補償の責任を身元保証人が無制限に負いかねないという点から、保証人の保護強化を目的として改正されました。
4月からは、賠償額の上限の定めのない身元保証契約は無効となっています。入社時に身元保証契約を交わしている場合は、上限額を必ず記載しましょう。(2020年4月前に締結した身元保証契約は、経過措置として、改正前の民法の規定が適用されます)。
身元保証契約とは?
労働者を雇用する会社と労働者の身元保証人との間で締結する契約です。
・入社時の労働者の身元がはっきりしていることの保証
・労働者が会社に損害を与えた際には、本人と連帯してその賠償を行うことの保証
をしてもらうために締結します。
損害賠償額の上限はどう決める?
法律では賠償額の上限の具体的な金額は規定されていないので、会社側で金額を定めることになります。規定がないとはいえ、あまりに大きな額を設定するのは現実的ではなく、身元保証人の選定も難しくなります。また、あまりに少額でも、実際に会社に損害が生じた場合に十分な補償が受けられなくおそれがあります。
そのため、労働者に支払う給与額給与額や、これまでに会社や他社が労働者の責めによる事由で損害を受けた実例を参考にしながら、退職した方が次の職場で雇用保険に加入できなくなる現実的な上限額を定める必要があります。
身元保証契約の保証期間
身元保証契約の保証期間は法律で以下と決まっています。
・期間を定めていない場合 3年
・期間を定める場合 最長5年
保証期間は更新することができますが、更新できるのは期間満了の際のみです。期間の自動更新は無効となるため、身元保証契約を継続するのであれば、3年や5年の期間満了後ごとに改めて更新契約を締結する必要があります。
以上、身元保証契約に関する民法の改正について解説しました。慣例だからと身元保証契約を交わしてきた場合は、この機に契約を見直してみるのもいいかもしれません。