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2019.11.11

リードブレーン社会保険労務士法人

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【コラム】身近な労働法の解説

身近な労働法の解説

 ―24協定(賃金控除に関する労使協定)―

「全額払の原則」において、例外的に賃金から控除できる場合があります。

① 法令に別段の定めがある場合(社会保険料、税等)

② 労働者過半数代表との協定(いわゆる「24協定」)がある場合

今回は、給与天引きしたいときに締結が必要な労使協定「24協定」について解説します。

1.全額払の原則の例外(労基法24条1項ただし書き)

労基法24条1項では、労働者に賃金を全額支払うことが定められ、その例外として同項ただし書きで、過半数代表との労使協定がある場合は「賃金の一部を控除して支払うことができる」と定めています。

「社宅使用料」「社内預金」「親睦会費」といった福利厚生費など、社内ルール等に基づいて給与天引きしたい場合は、労使協定を締結する必要があります。

労使協定にないものは、個別の同意なく一方的に控除することはできません。

2.労使協定の内容について

協定の書式は任意で、労使間で話し合った結果を記載します。

東京労働局の「法令・様式集」から協定書の参考書式をダウンロードできます。

(1)控除項目の記載

「会社は、毎月○日の賃金の支払いの際、次に掲げるものを控除して支払うことができる」など、賃金支払いの際に控除して支払うことができる旨と、控除できる項目を記載(列記)します。

記載されないものは一方的に控除できません。

控除できる項目は、労働者にとって福利厚生の面でプラスに働くものなど、根拠や金額が明確(事理明白)なものについてのみとされています(昭27・9・20基発675号)。

(2)有効期間等

有効期間を定める必要はありません。

「この協定は、令和○年○月○日から有効とする」など、協定の効力の開始日を定める場合もあります。

(3)更新条項

有効期間を定めた場合は「有効期間満了の1カ月前までに、会社または社員代表のいずれからも異議の申し出がないときは、この協定はさらに1年間有効期間を延長する」といった更新条項を定めます。

有効期間を定めていない場合は「破棄の通告をしない限り効力を有する」など定めておきます。

(4)協定内容に変更があったとき

新たな協定を結び直す方法があります。その際は従前の協定書を無効にするため「平成○年○月○日締結の協定書は本協定締結をもって破棄する」旨を記載することが一般的です。

3.労使協定の届出について

労基署への届出は不要です。


会社で借りている社宅の家賃や社員旅行の旅費積立金などを、同意なく控除することはできません。無断で控除してしまっていないか今一度確認してみましょう。

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