COLUMN

お役立ちコラム

2019.11.12

リードブレーン社会保険労務士法人

テーマ:

【コラム】行政の動き・ニュース①

行政の動き

 

厚生労働省は、副業・兼業の促進に向け、関連法令の整備を進めています。基本となる労働時間管理についても、労働政策審議会で具体的な検討を進める予定です。

審議会での議論に先んじ、厚労省内に検討会を設置し、研究を重ねてきましたが、報告書のとりまとめが最終段階に入っています。

現行労基法では、複数事業場の労働時間を通算する規定となっていて、異なる事業主が「日々、厳密に労働時間把握を行う必要」があります。しかし、実務上は困難で、副業・兼業の普及にマイナス効果を及ぼすおそれもあります。

このため、たとえば割増賃金について、①労働者の自己申告を前提に、月・週単位の処理も可能とする、②各事業主単位で法定労働時間を超えた場合のみを割増の対象とする、等の選択肢案も示されました。しかし、現行解釈の変更も必要となるため、労働政策審議会でさらに踏み込んだ議論が期待されます。

ニュース

取引先のパワハラが原因 ストレス過労死で遺族勝訴

男性元従業員の遺族が、過労死は取引先からのストレス等が原因と訴えた事件で、福岡地方裁判所は国の労災不支給決定の取消しを命じました。

今年6月には、法改正によりパワハラ防止の措置義務化が実現しましたが、その基になった建議では「取引先等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為についても、指針等で取組を明確にすることが適当」という見解が示されていました。

元従業員は、養殖業者に動物用医薬品を営業・販売する業務に従事していましたが、業務中に営業車内で心不全により死亡しました。遺族は労災請求しましたが、最終的に再審査請求でも棄却されたため、裁判を提起したものです。

営業先の社長は、取引業者に対し理不尽な叱責を繰り返し、出入り禁止を申し渡す等の対応を採っていました。しかし、死亡前6カ月の平均時間外労働が70時間前後だったため、労災申請が認められない状況となっていました。

 


現在は自社での業務がおろそかになる等の理由から多くの企業が副業や兼業を認めていません。副業や兼業は、労働者の能力の発揮や資格の活用、スキルアップを図るといったメリットがあります。自社の体制を見直し、副業や兼業の承認を検討してみてはいかがでしょうか。

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