COLUMN
お役立ちコラム
2025.06.27
リードブレーン社会保険労務士法人
テーマ:
外国人雇用に活用できる「人材確保等支援助成金」とは!?
若手スタッフの早期離職や、慢性的な人手不足に悩む飲食・サービス業界。外国人スタッフの雇用拡大が進む一方で、「せっかく採用しても定着しない」という声も少なくありません。こうした課題に対し、厚生労働省が設けているのが「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」です。この制度は、外国人労働者を雇用する事業主が、対象となる就業環境整備措置を行った後、一定期間の離職要件を満たした場合に、最大80万円の助成を受けられる制度です。企業にとって、実務的かつ負担軽減につながる支援策として注目されています。
主な支給対象事業主
☑雇用保険の適用事業の事業主であること
☑外国人雇用状況届出を適正に届け出ている事業主であること
☑認定された就労環境整備計画に基づき、当該計画期間内に、対象措置を導入、実施した事業主であること
☑過去3年に同助成金の受給がないこと
☑就労環境整備計画期間前6か月間に従業員の解雇等していない事業主であること
☑就労環境整備措置実施後の外国人離職者が一定以下であること
☑社会保険の適用事業所であること。また、対象事業所に雇用される労働者が社会保険の被保険者であること
支給対象となる主な取組と助成額
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、以下の必須メニューに加え、 選択メニュー①〜③のいずれかを実施する必要があります。
以下の経費を受託した場合にも「支給対象経費」となります。
☑通訳費
☑翻訳機器導入費(雇用労務責任者と外国人労働者の面談に必要な翻訳機器導入に限る)
☑弁護士、社会保険労務士等への委託料(外国人労働者の就労環境整備措置に要する委託料に限る)
☑翻訳料(社内マニュアル・標識類等を多言語で整備するのに要する経費を含む)
☑社内標識類の設置・改修費(外部機関等に委託をする多言語の標識類に限る)
申請から支給までの流れ
※計画や支給申請書類の提出は決められた期限内に都道府県労働局等へ提出する必要があります。なお、郵送の場合、計画や申請書類は決められた期限までに到達している必要がありますので、余裕を持ってご提出ください。
※支給申請期間は、ある一定の要件を満たした場合、6ヶ月を経過せずとも申請できる場合があります。
※重要なのは、必ず取組前に計画書を提出すること。取組後に申請しようとしても、対象外となるため注意が必要です。
外国人スタッフの定着支援に
外国人スタッフの採用がゴールではありません。外国人スタッフを採用後の戦力化が、事業の業績を左右します。外国人スタッフのほとんどは、言語の壁にぶつかり、文化の違いによるカルチャーショックも受けるはずで
す。しかし、彼らはそれを学び、習得するために日本に来ています。経営者や日本人スタッフの前向きなコミュニケーションや姿勢はモチベーションアップとなり、外国人スタッフの戦力化に繋がります。言語や文化の違いからくる不安を解消する体制づくりにこの助成金を活用すれば、外国人スタッフの安心感を高め、離職リスクを大きく減らすことができます。
まとめ
この助成金は、単に「雇うための支援」ではなく、「雇った人を定着させ、戦力化するための仕組み」です。中小企業にとって、負担を抑えながら外国人材の受け入れ体制を整えられるチャンスとも言えます。若手人材が定着せずに悩んでいる企業や、「初めて外国人を雇用するが何から始めてよいか分からない」という企業こそ、活用を検討されてはいかがでしょうか。