COLUMN
お役立ちコラム
2019.12.18
リードブレーン社会保険労務士法人
テーマ:
【コラム】職場でありがちなトラブル事例
◇職場でありがちなトラブル事例
退職金を半分に減らされた!勧奨受けたのに自己都合扱い
ドライバーのAさんは、運送会社で20年間働いていましたが、社長や他の従業員から「高齢だしそろそろ退職を考えたら」とアドバイスを受けるようになりました。
自分自身、体調の衰えを感じていた時期だったので、周囲に迷惑をかけるのも申し訳ないと思い、最終的に退職を決断しました。
通例どおり「一身上の都合」と記載して退職願を提出したところ、担当者から「自己都合の場合、退職金は50%の減額となる」と告げられ、呆然としてしまいました。
会社側の説明不足の対応に納得がいかず、紛争調査委員会のあっせんを申請しました。
従業員の言い分
私としては勧奨に従って退職を申し出たまでで、自己都合に当たるという解釈は「こじつけ」としか思えません。
在職中は就業規則について、みたことも聞いたこともなく、当然、退職金の減額に関するルールも知りませんでした。最初から、それが分かっていたら、仕事を辞めずに続けていたはずです。
事業主の言い分
Aさん高齢で、体調も思わしくないことから、退職を勧奨しましたが、無理強いしたわけではなく、あくまでご本人の選択によるものです。
就業規則は、過去に他の従業員から求めがあったため、事務所に写しを備え付け、随時、閲覧できる体制は整えていました。ただし、すべての従業員がそうした状況を理解していたかというと「じくじ」たる思いはあります。
指導・助言の内容
事業主に対して、退職勧奨を行う場合、自己都合より優遇された条件を提示するのが提示するのが一般的という事情を説明し、その点を考慮した対応した対応を求めました。
その後は、退職金の上積み額に関する調整を図り、労使間の合意を促しました。
結果
自己都合計算による退職金額(150万円)とは別に、80万円(上積み60万円プラス補償金20万円)を追加で支払うことで、合意文書が作成されました。
こちらの問題に関しては、双方の考え方にズレが生じていましたが、そもそも就業規則に関して従業員全体へ伝えていないなど、必要なことを怠ったのが原因にありますね。いざこざが起こってからでは遅いので、一早く社内の体制を見直しましょう。