COLUMN
お役立ちコラム
2024.10.15
リードブレーン株式会社
テーマ:
2024年の都道府県別最低賃金の引上げ~日本の働き方に新たな変化~
2024年10月、日本の労働環境に大きな影響を与える最低賃金の引上げが行われます。これまでの低成長時代を乗り越えるため、政府は労働者の生活水準向上や消費促進を目的に、最低賃金の底上げを積極的に進めてきました。今年の引き上げ幅は過去最大級となり、特に地方都市における最低賃金の改善が注目されています。
全国的な最低賃金引き上げの背景
少子高齢化に伴う労働力不足、そして物価の上昇が日本の経済に深刻な影響を与えています。特に日常生活における食料品やエネルギーコストの増加が目立ち、賃金の低さが労働者にとって大きな課題となっています。政府はこれに対応するため、賃金を引き上げることで、家計の購買力を高め、国内消費を促進させることを狙っています。
都道府県別最低賃金の動向
2024年の最低賃金の引き上げ幅は、全国平均で50円前後となる見込みです。東京都や大阪府などの大都市では、最低賃金が1,100円を超え、都市部の労働者にとって大きな恩恵となります。さらに、地方の最低賃金も全体的に上昇しており、地域間格差を縮小する動きが進んでいます。
– 2024年最低賃金引き上げ全国一覧 – (9月12日現在)
都道府県名 |
2024年最低賃金 |
2023年最低賃金 |
引上げ額 |
北海道 |
1010 |
960 |
50 |
青森県 |
953 |
898 |
55 |
岩手県 |
952 |
893 |
59 |
宮城県 |
973 |
923 |
50 |
秋田県 |
951 |
897 |
54 |
山形県 |
955 |
900 |
55 |
福島県 |
955 |
900 |
55 |
茨城県 |
1005 |
953 |
52 |
栃木県 |
1004 |
954 |
50 |
群馬県 |
985 |
935 |
50 |
埼玉県 |
1078 |
1028 |
50 |
千葉県 |
1076 |
1026 |
50 |
東京都 |
1163 |
1113 |
50 |
神奈川県 |
1162 |
1112 |
50 |
新潟県 |
985 |
931 |
54 |
富山県 |
998 |
948 |
50 |
石川県 |
984 |
933 |
51 |
福井県 |
984 |
931 |
53 |
山梨県 |
988 |
948 |
50 |
長野県 |
998 |
948 |
50 |
岐阜県 |
1001 |
950 |
51 |
静岡県 |
1034 |
984 |
50 |
愛知県 |
1077 |
1027 |
50 |
三重県 |
1023 |
973 |
50 |
滋賀県 |
1017 |
967 |
50 |
京都府 |
1058 |
1008 |
50 |
大阪府 |
1114 |
1064 |
50 |
兵庫県 |
1052 |
1001 |
51 |
奈良県 |
986 |
936 |
50 |
和歌山県 |
980 |
929 |
51 |
鳥取県 |
957 |
900 |
57 |
島根県 |
962 |
904 |
58 |
岡山県 |
982 |
932 |
50 |
広島県 |
1020 |
970 |
50 |
山口県 |
979 |
928 |
51 |
徳島県 |
980 |
896 |
84 |
香川県 |
970 |
918 |
52 |
愛媛県 |
956 |
897 |
59 |
高知県 |
952 |
897 |
55 |
福岡県 |
992 |
941 |
51 |
佐賀県 |
956 |
900 |
56 |
長崎県 |
953 |
898 |
55 |
熊本県 |
952 |
898 |
54 |
大分県 |
954 |
899 |
55 |
宮崎県 |
952 |
897 |
55 |
鹿児島県 |
953 |
897 |
56 |
沖縄県 |
952 |
896 |
56 |
中小企業への影響と対策とは?
最低賃金の引き上げは、コスト増加が経営に圧力をかけ労働力の確保が一層困難になる恐れがあります。そのため、中小企業に対する補助金や税制優遇措置を拡充し、賃金引き上げに伴う負担を軽減する対策を進めています。また、労働力不足を補うために、外国人労働者の受け入れやIT化、業務効率化の推進も一つの解決策として提案されています。
最低賃金引き上げがもたらすメリットと課題
賃金が上がることで、非正規雇用から正規雇用へのシフトや、働き方改革が進展し、より安定した労働環境が整うと予想されます。しかし、一方で賃金引き上げが企業の経営に与える負担や、物価上昇が伴うリスクも存在します。特に中小企業にとっては、コスト増が利益率を圧迫し、場合によっては倒産や事業縮小のリスクが高まる可能性があります。このため、賃金引き上げと同時に、生産性向上のための技術革新や、労働環境の整備が重要です。
最後に
意外と盲点になりがちなのが、「最低賃金を下回らない従業員への処遇改善」です。事業場内で下限となる賃金を引き上げる場合でも、最低賃金を上回る従業員の賃金に関しての見直しが手薄になっているケースを散見します。「新人の時給は毎年上がっているのに、ベテランは長年据え置き」、これでは従業員のモチベーションは低下するばかりとなってしまいます。最低賃金対応と全従業員の処遇の見直しを最低賃金引き上げのタイミングで必ず確認しましょう!