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2020.08.14

リードブレーン株式会社

テーマ:

複数の会社において社外取締役を兼任することはできるか

社外取締役についての解説コラム第三弾です。引き続き、質問に答えていきます。

”当社には社外取締役がいるのですが、当社以外でも社外役員を務めていることから、取締役会などの日程調整を行う際、都合がつかないことがあります。複数の会社で社外役員を兼任することに問題はないのでしょうか。”

早速、解説していきましょう。

社外取締役の他社の役員兼任

社外取締役は、会社と委任関係にあり(会社330)、善管注意義務(民644)を負い、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、忠実にその職務を行わなければなりませんが(会社355)、会社法上、他の会社の役員との兼任が禁じられてはいません。問題は、複数の会社の社外取締役や社外監査役を兼任している者が、会社法上の義務を適正に履行し、その期待される役割を適切に果たしているか、ということです。

会社法上の義務と期待される役割

社外取締役は、業務執行を行うのではありませんから、業務執行上の義務を負うことはありませんが、取締役として、取締役会に出席し、業務執行の決定、他の取締役の職務の執行の監督、代表取締役の選定及び解職の執行の監督、当該会社及びグループ企業の内部統制システム構築などに関する審議や決議につき、発言や議決権を行使するなどして、その職務を行う必要があります(会社362、会社規100)。取締役の競業取引や利益相反取引における取締役会の承認(会社365①)においても、社外の者として公正な判断が求められるでしょうし、その際、「社外」の取締役として期待されるのは、モニタリングを担う者としてのチェック機能ということができます。その役割を果たすには、取締役会への出席が最も重要であり、取締役会にすら出席する機会が確保されないのであれば、社外取締役を選任した意味がないといえます。

選任時と選任後のチェック

株主は社外取締役が、その役割を充分に果たしうるかは、選任時において、他社の役員の兼任状況等により(会社規74④・124二)、事前にチェックできます。選任後は、公開会社では事業報告において、取締役会への出席や発言の状況の記載(会社規124四)により、株主によるチェックが可能です。

出席率が著しく低い場合

年間スケジュールが決まっていないなど日程調整の在り方の問題もありますが、取締役会への出席率が著しく低い場合など、その期待される役割を果たしていないと認められる状況がある場合には、監督権限を有する取締役会として、改善をうながす、解任議案を株主総会に提出する、その前段階として辞任を勧告する、ということもあり得るでしょう。

また、委任契約上の債務不履行として、報酬相当額等の損害賠償請求をすることも考えられます。

社外取締役の兼任と選任後のチェックのポイント

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