COLUMN

お役立ちコラム

2020.07.08

リードブレーン株式会社

テーマ:

取締役会を廃止:既存の代表取締役をそのまま代表取締役とすることは可能か?

先日、取締役会を設置する意義や廃止する手続きについての記事を書きましたが、廃止の際、既存の代表取締役の地位の変動、および代表取締役の選定の流れについて解説したいと思います。

非公開会社(株式譲渡制限会社)が定款変更により取締役会を廃止すると、各取締役が会社の業務執行権を有し(会社348①)、会社を代表する権限を有するので(会社349①②)、実質上は、従前の代表取締役の地位に変動はないといえます。

しかし、複数の取締役がいる場合には、定款の定めのない限り、会社の業務は取締役の過半数をもって決定されることになる(会社348②)など従前の代表取締役の権限とは異なることになり、また「代表」取締役との肩書きを使用できなくなるので、定款により手当てすることも必要です。

取締役間の業務執行の決定

取締役非設置会社では、各取締役が業務執行権限を有することになるので、取締役が2人以上いる場合には、会社運営上、業務執行の意思統一を図るため、定款で別段の定めのない限り、取締役の過半数で業務執行の決定を行うことになります。定款で別段の定めをする場合、どのような内容にするかは、その会社の経営の在り方を踏まえて決めることになるでしょう。

代表取締役の選定はどのようにされるのか?

取締役会非設置会社では、各取締役が会社を代表する権限を有しているため、特に「代表取締役」の選定が必要とされていません。

しかし、複数の取締役がいる場合(あるいは1人の取締役である場合であっても)、その会社の実情に応じて、対外的に代表取締役を定めておくことが望ましいと考えられる会社もあるでしょう。このような場合に、定款で代表権を有する者を定めておけば、他の取締役には会社を代表する権限はなくなります(会社349①ただし書)。定款の定め方としては、定款に代表取締役となる者を定める、あるいは、取締役の互選又は株主総会の決議によって代表取締役を定める、という方法があります(会社349③)。

代表取締役が選定されると、会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有することになります(会社349④)。代表取締役が選定された場合、他の取締役には業務・財産状況の調査権及び重要な業務執行への同意権(会社348②③)を除く業務執行権は原則としてない、との見解もありますが、対内的な業務執行権限は原則として残存するとの見解が有力です(江頭憲治郎『株式会社法』375頁(有斐閣、第3版、2009年)。なお、調査権は、複数の取締役がいる場合、相互の牽制・監督が期待されることから、他の取締役の業務執行に対する監督権があり、その前提として認められます。

代表取締役選定の流れ

 

 

ピックアップ