COLUMN

お役立ちコラム

2020.07.09

リードブレーン株式会社

テーマ:

監査役を廃止する場合の手続は

ある会社で、次の定期株主総会で任期満了となる監査役から、次期の監査役就任を辞退したいとの申し出があったそうなのですが、適切な人材が見当たらず、監査役の設置そのものを廃止することになったというケースを今日はご紹介するのですが、監査役を置かないこととする場合の手続上のポイントについて解説したいと思います。
 

そもそも監査役って何?

監査役は、非公開会社で会計参与を置かない取締役会設置会社では、必ず置かなければなりません(会社327②)。非公開会社では、取締役会の設置を強制されていませんが、任意にでも取締役会を設置すれば、会計参与を置かない限り、監査役を1名以上置かなければならなくなります。

したがって、監査役を廃止するかどうかについては、取締役会を廃止するかどうかについては、取締役会を廃止するかどうかということとセットで考えざるを得なくなります。もちろん、非公開会社の中には、取締役会を置かず、株主総会+取締役+監査役という機関構成をとっている会社もあるでしょうから、この場合では、取締役会とのセットで考える必要はなくなります。

監査役を置かない場合の機関設計

非公開会社で大会社(会社2六)ではない会社は、最低限、株主総会と取締役1名の機関が置かれていればよく(会社295①・326①)、前記の監査役の設置が強制される場合との関係等から、監査役を置かない場合の機関設計は、次の5通りとなります。

① 株主総会+取締役
② 株主総会+取締役+会計参与
③ 株主総会+取締役会+会計参与
④ 株主総会+取締役会+三委員会(指名委員会等設置会社)+三委員会(指名委員会等設置会社)+会計監査人
⑤ 株主総会+取締役会+監査等委員会+会計監査人

監査役廃止の手続

会社の機関設計については、定款で定められていますので(会社326②)、株主総会における特別決議により定款変更の決議をする必要があります(会社466・309②十一)。

(1)取締役会非設置会社であれば、監査役を廃止し、監査役に関する定款規定を全て削除する旨の議案の可決承認を得ればよいことになります。監査役廃止の定款変更議案が可決されれば、その時点で定款変更の効力が発生し、監査役の任期が満了したことになりますので(会社336④一)、この時点で監査役は退任することになり、法律上は監査役本人の了承は不要です(トラブルを避けるためには、監査役に事前に了承を得ておいた方がよいでしょう。)。
(2)取締役会設置会社の場合は、定款変更により、監査役を廃止し、監査役に関する定款規程を全て削除することに加え、取締役会を廃止するか、会計参与を設置するかしなければなりません。会計参与は、取締役と共同で計算書類等を作成する者ですが(会社374①)、公認会計士や税理士の資格を有していることが必要です(会社333①)。

監査役廃止の登記手続は、効力発生後2週間以内となります。

 

監査役を廃止する場合の手続きのポイント

ピックアップ