COLUMN
お役立ちコラム
2020.06.04
リードブレーン株式会社
テーマ:
コロナの影響による経営難で納税の支払いができない?納税猶予・納付期限の延長措置について
多くの企業や個人が新型コロナウイルスの影響による資金繰りに困り、一時的に納税が困難になってしまった方が多くいらっしゃったかと思います。緊急経済対策として、無担保かつ延滞税なしで納税の猶予、納付期限の延長という措置がとられました。今回はその特例制度について詳しく解説します。納付において不安を抱えてらっしゃる事業主様および個人の方は、ぜひ参考にしてください。
税務申告・納付期限の延長
新型コロナ感染拡大防止のため、確定申告会場の混雑を緩和するという観点と、外出自粛期間中でもあったことから、個人事業者の確定申告書の提出を4月17日以降であっても柔軟に受け付けてもらえることになりました。
感染拡大防止のため、申告相談は原則として事前予約制となっています。また、個別の申請についてはわざわざ確定申告会場に行かなくても、自宅などから簡単に申請できるe-Taxというオンライン申請の利用が可能となりました。感染リスク回避のために可能であればオンライン申告を利用しましょう。
法人の消費税についても、新型コロナウイルス感染症の各地での感染の拡大状況を踏まえ、個人の取扱いと同様に、柔軟に確定申告を受け付けてもらえるようです。ただ新型コロナの影響でどうしても4月16日までに申告・納付できないやむを得ない理由がある場合のみに、個別で延長が認められるようです。
収入減により納税(国税・地方税)の支払いができない事業者向けの特例措置
新型コロナウイルスの影響を受け、事業収⼊が一気に減ってしまい納税が困難となった事業者の方に対して、無担保かつ延滞税なしで納税が猶予される特例が発動されました。法人税や消費税、固定資産税など、基本的に全ての税が対象となります。
対象者
2020年2月以降、事業収入が前年同月と比べ20%以上減少したすべての事業者が対象となります。この場合法人だけでなく、フリーランスやパートなど個人も特例の対象となります。
この場合の事業収入とは、法人の収入であれば売上高を指し、個⼈であれば経常的な収入(事業の売上、給与収⼊、不動産賃料収⼊)などを指します。ただし、個⼈の「⼀時所得」については、通常、新型コロナウイルスの影響により減少するものではないと考えられますので、該当しません。
猶予が認められた場合の措置について
- 原則1年間納税の猶予が認められる
- 無担保
- 延滞税なし(猶予期間中の延滞税の免除)
申請手続きと申請期間
申請手続きは、ご自身の収入や手元資金がわかる資料を用意した上で申請書を記入し、税務署に提出することになります。窓口の混雑緩和、また新型コロナの感染拡大防止の観点から、原則e-Taxによる電子申請や郵送による申請となっています。申請方法や各種必要な申請書類、申請書のダウンロードなどは居住地の税務署のページに詳しく記載されているので、事前に確認が必要です。
申請期限は、令和2年6月30日までに、あるいは申告納付期限が延⻑され後の期限のいずれか遅い日までになります。
個別の事情により国税の支払いができない場合の納税猶予制度
新型コロナウイルス感染症の影響により国税を一時的に納付することが困難な場合には、税務署に申請することで、換価の猶予(財産の差押えや売却などを猶予する制度)が認められることがあります。
こちらの制度が適用されるか税務署による審査がまずは必要になりますが、以下の事情がある場合には、納税の猶予が認められます。
①災害により財産に相当な損失が生じた場合
新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸資産を廃棄した場合
②ご本人又はご家族が病気にかかった場合
納税者ご本人又は生計を同じにするご家族が病気にかかった場合、国税を一時に納付できない額のうち、医療費や治療等に付随する費用
③事業を廃止し、又は休止した場合
納税者の方が営む事業について、やむを得ず休廃業をした場合、国税を一時に納付できない額のうち、休廃業に関して生じた損失や費用に相当する金額
④事業に著しい損失を受けた場合
納税者が営む事業について、利益の減少等により、著しい損失を受けた場合、
国税を一時に納付できない額のうち、受けた損失額に相当する金額
引用元:https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
猶予が認められた場合の措置について
- 原則1年間納税の猶予が認められる
(状況に応じてさらに1年間猶予が認められる場合もあるので要確認) - 財産の差押えや財産売却の猶予が認められる
- 延滞税全額、または一部免除
個別の事情により地方税の支払いができない場合の納税猶予制度
国税の納付猶予のみならず、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、地方税においても同様に、柔軟に徴収や財産差押え・売却の猶予が認められるので、具体的条件等は、居住地の都道府県・市区町村にお問い合わせをし、確認しましょう。
最後に
今回の新型コロナウイルスの影響により多くの企業が資金繰りに困る中で、納税さえも負担となっている事業者もしくは個人の方は、上記の制度の利用を検討しましょう。特に、事業収入が減少した場合の納税猶予に関しては、無担保かつ延滞税なしなので、ぜひ活用をご検討ください。何かご不明点などありましたらいつでも弊社までご連絡ください。
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