COLUMN

お役立ちコラム

2020.03.11

リードブレーン株式会社

テーマ:

【コラム】1人で設立する中小企業に適した機関設計は?

1人で設立する中小企業に適した機関設計は?

事例

将来、有望な事業分野に進出しようと思い、会社を設立することを考えています。資金は全て自己資金で用意できますので、その際に新たに設立する会社の機関設計はどのようにしたらよいのでしょうか。

ポイント

実務解説

事業資金を全て自己資金でまかなえるのであれば、最もシンプルな機関設計である株主総会と取締役1名の会社から出発すべきでしょう。その後、事業の拡大に応じ、その会社に適した機関設計を考えていくというのが妥当といえます。

株主総会と取締役1名から成る会社のメリット

会社法は、発起人の人数について制限しておらず、一人でもよく、出資者が発起人となって、発起設立により、全株式を引き受け、設立当初が一人会社の設立ができます。一人会社では、1名の出資者以外に株主はいないのですから、会社と株主の利益は一致し、その出資者が取締役となって会社の業務執行をするのであれば、取締役の業務執行を監視する必要性も乏しいといえます。したがって、その会社を定款により非公開会社(全株式譲渡制限会社)とすれば、会社法上、株主総会と取締役1名の機関構成の会社とすることができます(会社295①・326①)。

このような機関構成の会社であれば、取締役会や監査役などの他の機関を設置した場合に比べ、負担が軽く、より機動的な会社経営が行えるという利点があります。

対外的信用の確保等の観点からの機関設計

しかし、株主総会と取締役1名からなる株式会社では、従来の有限会社と実質上変わらず、個人業に近い会社形態であることから、対外的信用性が充分ではないという欠点もあります。せっかく会社を設立したのであれば、将来の会社の発展も考え、ある程度の機関の仕組みを考える、あるいは、取引先等の債権者からみて信頼性ある会社組織にしたいというのであれば、監査役や会計参与を置くという機関設計も考えられます。

今後の会社の成長に応じ機関設計を変更

取締役を複数ないし取締役会を置くということも考えられますが、設立当初は、個人資金で会社を設立して事業を開始するのであれば、複数の取締役ないし業務執行取締役を必ずしも必要としないでしょうし、一人会社であれば、いつでも株主総会を開き、定款変更(会社466・309②十一)が可能ですから、会社の成長、発展に応じて機関設計を変更していくという方が現実的と思われます。

 


株式会社の機関設計は、株主総会、取締役1名がもっともシンプルな機関設計となり、まずはこの形でのスタートを考える方も多いかもしれません。その後は上記記載のとおり、会社の成長に合った機関設計に変えていくことがスタンダードな流れといえるでしょう。

ピックアップ