COLUMN
お役立ちコラム
2018.12.01
リードブレーン株式会社
テーマ:
【コラム】大衆食堂⑩ -審査のポイント(後編)ー
昨日からの続きです。
3 財務諸表の見方
(1) 決算書・財務状況の見方
大衆食堂の決算書に見方は、飲食店の一般的な方法で問題はない。収益性については、売上高に占める利益、あるいは売上高に占める費用を算出する。さらに、その結果を決算期ごとに比較する、あるいは他店舗と比較することで評価を行う。また安全性に関しては、貸借対照表の費目ごとのバランスを計算して評価するという方法をとる。以下でポイントとなる経営指標について解説する。
①総資本回転率・・・・総資本回転率は、数値が大きいほど資本の効率性が高いことを表す。飲食店の平均的な総資本回転率は1.6回程度である。
②売上総利益率・・・・大衆食堂のポイントとしては、売上高から売上原価を減じた売上総利益(粗利益)が、売上げ60%以上であることが望ましい。
(2) 収益性、安全性、成長性などの経営指標
ここでは「食堂、レストラン(専門料理店を除く)」のTKC経営指標を用い、大衆食堂の経営指標分析を行う(別紙図表7参照)。
近年、総資本経常利益率は4%台で推移しており、総資本回転率も1.6回程度であることから、資本の効率性が改善しているわけではない。
売上総利益率は横ばいであり、60%を依然下回っている。販売費・一般管理費が高いため、売上高営業利益率の向上はむずかしといえる。
短期の安全性は、当座比率が100%を下回るものの、おおむね問題ない。
また、自己資本比率は30%前後で推移しており、借入金に依存する企業・店舗が多いことを示している。
(3) 営業力・人材面等・係数データ以外の見方
飲食店全般にいえることではあるが、①決算書に家計経費を計上する、②売上高を意図的に削除する等で、比較的容易に粉飾決算が行われていることも意識しておきたい。粉飾の見抜き方としては、決算ごとに経営指標分析を行い、大きく変化した指標があれば、それを追求するなどの方法がある。
4 キャッシュフロー分析
(1) 業種によるキャッシュフローの特徴
棚卸資産(在庫)をあまりもたないことから、キャッシュフローを悪化させる要因は少ないが、掛売の多い店舗については、売掛金がキャッシュフローを悪化させる原因となるため、注意を要する。
(2) キャッシュフローのチェック
営業キャッシュフローがプラスであることを確認したい。営業キャッシュフローを悪化させる要因としては売掛金の増加が考えられる。
明日は取引上のポイントについてです。