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2022.02.10

リードブレーン社会保険労務士法人

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給与の大前提!賃金支払い5原則とは?

労働基準法第24条では、賃金が労働者に対して確実に支払われるように下記「賃金支払いの5原則」を定めています。

① 現物給与の禁止(通貨払いの原則)

② 直接払いの原則

③ 全額払いの原則

④ 毎月1回以上払いの原則

⑤ 一定期日払いの原則

5原則について、それぞれの内容と例外、違法例について解説していきます。例外を適用するのに「労使協定」の締結が必要となるものもあります。

又、違法の場合は30万円以下の罰金刑となるケースもあるので注意しましょう。

①現物給与の禁止(通貨払いの原則)※原則賃金は、現金かつ日本円で支払わなければなりません。

【例外1】本人名義の銀行口座に振り込み

労働者本人の同意を経て銀行口座の情報を受け取った場合など、本人の同意があれば現金ではなく、銀行口座に振り込みで支給することが可能です。

【例外2】通勤手当の現物支給

定期券や乗車券を付与する場合などがこちらにあたります。但し、定期券や乗車券で支給するには、労働組合と労使協約を締結している必要があります。

※労使協約を締結しないと定期券での支給はできないので注意!

【例外3】退職金を小切手にて支給

労働者本人の同意があれば可能です。

違法例:外国人労働者に、外資で給与を支給

外国人労働者でも、日本円以外の通貨で払うことは認められていません。

②直接払いの原則

【例外】使者に支払う場合

使者とは、労働者本人が入院等で受取ができないなどの際に配偶者の方の代わりに支払うなど、受け取った賃金をそのまま労働者本人に渡す場合にあたります。

違法例1:代理人に支払う

未成年の労働者の賃金を法定代理人である、本人の親に支払うことは本人の同意の有無に関わらず違法となります。

違法例2:債権者に支払う

労働者が金融機関に借金などをしている場合でも、その債権者である金融機関に賃金を支払うことは違法となります。

③全額払いの原則

【例外】法令の定めまたは労使協定がある場合

社会保険料や源泉所得税のように、法律上に天引きの根拠がある場合は合法です。その他はいかなる名目であっても、労働者の過半数を代表する者と労使協定を締結しなければ控除できません。

※賄い費、社宅費、社内積立金、福利厚生費などを給与から控除する場合は、労使協定の締結が必要なので注意が必要です!

違反例:会社が本人に金銭を貸し付けている場合であっても、賃金と借金を相殺することはできません。

④毎月1回以上払いの原則*賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。

【例外】臨時で支給することが明らかな賃金

結婚祝い金や賞与のような臨時で支給されることが定められている賃金には適用されません。

違反例1:2か月分をまとめて支給

入社月に日割りで1日分しか給与が発生しないようなケースでも、次月分と一緒にまとめて支給するという処理は認められません。

違反例2:年俸給与の一括支給

年俸制で賃金を定めている場合、年俸制だからといって一括で支給することは認められておらず、12回以上に分割し、月に1回は支給されるようにしなければなりません。

⑤一定期日払いの原則※賃金は、「末日締め翌月25日払い」などと一定の期日を定めて支給しなければなりません。

【例外1】定めている支給日が休日の場合

支給日が休日の場合はその月のみ別日に支払っても問題はありません。

【例外2】末日支給という定め方

末日は28日~31日と月によって変動はありますが、一定期日が定められているという解釈として問題ありません。

【例外3】非常時払い

出産や、病気等の労働基準法に定めのある非常時に労働者から請求があった場合は、支給日でなくても支払わなくてはなりません。

違反例1:曜日指定

毎月第4金曜日など、月によって期日が変動する定め方は認められません。

違反例2:条件を定めて指定する

ノルマを達成できた時など、条件を定めて期日を指定することは認められません。

以上、賃金支払い5原則について解説させていただきました。

賃金支払い5原則は、ひとつでも違反があれば法律違反となってしまいます。「労使協定を締結していないのに、積立金を天引きしていた」など気づかないところで違反となっているケースもあります。この機会にチェックしていただくことをお勧めします。

 

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