COLUMN
お役立ちコラム
2018.10.16
リードブレーン社会保険労務士法人
テーマ:
【コラム】職場でありがちなトラブル事例②
シフト減で賃金が大幅ダウン 教室統廃合により異動も連続
学習塾の受付事務として採用されたものの、当初の約束と違って、勤務時間・日数が極端に減らされたケースです。入社時に交付された労働条件通知書には、週5日・1日7時間勤務と記載され、異動があり得る点については何も説明されていませんでした。
ところが、学習塾側の都合によって何度も異動を命じられたうえに、シフト減(1日2時間勤務や自宅待機等)により収入が落ち込んだ従業員が、困り果てて、都道府県労働局長による助言・指導を求めました。
従業員の言い分
求人広告には当初勤務地の記載しかなく、入社時の面接でも、異動があるという話は聞かされていませんでした。異動があっても1日7時間・週5日勤務の約束が守られれば我慢もできます。しかし、シフトが減らされた結果、収入は半分ほどにダウンしてしまいました。
総務課長に苦境を訴えましたが、「今、教室の統廃合をしているので、他の人も似たり寄ったりの状態だ。あなただけじゃないから、わがままをいわないで」と取り合ってくれません。契約どおりに仕事をさせてもらえるようにしてください。
事業主の言い分
当社の就業規則には異動に関する規定が設けられているし、県内に教室が十数か所あると説明する際、転勤の可能性についても本人に伝えてあったと、当方としては認識しています。
しかし、契約内容と実態に隔たりがあることは事実なので、早急に改善を図ろうという気持ちはあります。
あっせんの内容
就業規則に記載はありますが、本人と話し合いの機会を設けることもなく、一方的に配置転換およびそれに伴う賃金ダウンという決定を行った点に関しては、人事権の濫用として無効とされるおそれもあるところです。
事業主として、できるだけ早く従来の勤務シフトに戻すように助言・指導を行いました。
結果
話し合いの結果、事業主側が「勤務場所の異動はあっても、週5日・1日7時間労働の契約は順守する」ことを約束しました。異動に関しては、従業員側が一歩譲ったうえで、円満な解決が図られた事案です。
入社契約と多少の違いなら許せるけれど、ここまで大きく違ってしまうと、従業員も困ります。
話し合いの場を持ち、双方が納得できる形で解決するために、歩み寄りが大切になります。