随時改定はいつから反映される?4月昇給の具体例で解説

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2026.07.31

リードブレーン株式会社

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随時改定はいつから反映される?4月昇給の具体例で解説

redetermination

「昇給の手続きをしたけど、社会保険料っていつから変えればいいの…?」
「うちは翌月払いだけど、この人は結局何月分から保険料が変わるの?」
 「間違えて従業員の手取りがズレたら、自分の責任になる…」

随時改定(月額変更)の手続きで、こんなふうに手が止まった経験はないでしょうか。
4か月目から反映されることはわかっても自社の締め日・支払日に当てはめた瞬間によくわからなくなる。

はじめて月額変更を担当する方が多く経験するところです。

随時改定とは
  • 随時改定が反映されるのは、昇給後の給与を初めて支払った月から起算して「4か月目」
  • ただし、実際に給与から天引きされる金額が変わる月は、保険料の控除方法によってさらに1か月ずれることがある
  • 「標準報酬月額が変わる月」と「手取りが変わる月」は別物として押さえる必要がある

この記事では、「改定月」と「天引きが変わる月」の違いを、当月払い・翌月払い別の早見表で解説。
実務で最も多い4月昇給のカレンダー図で整理します。

さらに、定時決定(算定基礎)と重なった場合の処理、月額変更届の「改定年月」欄の書き方まで、担当者の疑問を順番に解消。

この記事でわかること
  • 昇給後の初回支給月を基準とする随時改定の正しい起算点
  • 当月・翌月払いなど給与体系別の天引きが変わるタイミング
  • 対象者を正しく見極める随時改定の3つの必要条件
  • 手取り減少に関する従業員説明と手続き遅延の防ぎ方

【結論】随時改定はいつから反映される?

随時改定によって決まった新しい標準報酬月額が反映されるのは、変動後の報酬(昇給後の給与)を初めて受けた月から起算して4か月目です。

最も重要なのは、「起算する月」を間違えないこと。
多くの方が「昇給を決めた月」や「昇給を発令した月」から数えてしまいますが、これは誤りです。

起算のルール(記事全体で共通の大前提)
数え始めるのは「昇給を決めた月」ではなく、昇給後の給与を初めて支払った月(=変動月)です。

なぜここを強調するかというと、 給与の支払い形態が「当月払い」か「翌月払い」かで、変動月が1か月ずれるからです。
たとえば4月に昇給を決めても、翌月払いの会社では昇給後の給与が実際に支払われるのは5月です。

この場合、起算月は4月ではなく5月になります。
まずは「変動月=昇給後の給与を初めて支払った月」から4か月目と押さえてください。

なぜ「4か月目」なのか

そもそも、どうして「4か月目」という中途半端な数え方になるのでしょうか。
ここを理解すると、支払い形態が変わっても自分で正しく判断できるようになります。

「4か月目」という数字は、随時改定の判定の仕組みからきています。
随時改定は、昇給や降給などで固定的賃金が変動したときに、新しい標準報酬月額を決める制度です。

変動月から3か月間に支払われた報酬の平均額をもとにしています。
つまり、改定するかどうかを判断するには、 3か月分の給与データが出そろう必要 があります。

流れを分解すると、次のようになります。

随時改定の流れ
  • 1か月目(変動月):昇給後の給与を初めて支払う
  • 2か月目・3か月目:引き続き昇給後の給与を支払う
  • 3か月目の終了時点:ここで3か月分の報酬が確定し、平均額を計算できる
  • 4か月目:確定した新しい標準報酬月額を反映する

3か月分の実績を集めてから、その翌月(=4か月目)に反映するため、「変動月から4か月目」という数え方になります。
「3か月経過した翌月」と説明されることもありますが、指している月は同じです。

月末締め・当月払いの会社で、4月の給与から昇給が反映された場合を考えてみましょう。
判定に使うのは、4月・5月・6月の報酬です。
この場合、新しい標準報酬月額が反映されるのは7月ということになります。

しかし、同じ4月昇給でも翌月払いの会社では反映月が異なるので注意が必要です。
翌月払いの場合、昇給後の給与が支払われるのは5月。
そのため判定に使う3か月は5月・6月・7月となり、反映は8月にずれます。

【早見表】改定月と「実際に天引きが変わる月」は違う

随時改定を調べる担当者が混乱するのは、次の2つを同じものだと思い込んでしまうためです。

一つは、標準報酬月額そのものが切り替わる月。
もう一つは、従業員の給与明細で実際に天引き額が変わる月です。
実は、この2つは必ずしも一致しません。

さらに制度を正しく理解するには「保険料が何月分なのか」という考え方も合わせて整理する必要があります。
まずは、次の3つの違いを押さえておきましょう。

  • 改定月(=月額変更届の「改定年月」)
    新しい標準報酬月額が適用され始める月。昇給後の給与を初めて支払った月(変動月)から起算して4か月目にあたります。保険料の「何月分」という考え方の基準になる月です。
  • 保険料が変わる「何月分」
    改定月以降の保険料が、新しい標準報酬月額で計算されるようになります。改定月と同じ月を指します。
  • 天引きが変わる月(=給与明細に反映される月)
    従業員の給与から実際に控除される金額が変わる月です。会社が保険料を「当月控除」か「翌月控除」のどちらで運用しているかによって、改定月と同じ月になることもあれば、1か月あとになることもあります。

つまり、給与明細にいつ反映されるかは会社の給与計算方法によって変わるということです。
ここを理解したうえで、自社がどのパターンに当てはまるのかを次の早見表で確認してみましょう。

まずは給与の支払い形態(当月払いか翌月払いか)と、保険料の控除方法(当月控除か翌月控除か)を確認してください。

◾️支払い形態×控除方法 4パターン早見表(4月昇給が実施された場合)

パターン 給与の支払い形態 保険料の控除方法 昇給後給与の初回支給(変動月) 判定に使う3か月 改定月(標準報酬月額が変わる月/改定年月) 給与天引きが変わる月
A 当月払い 当月控除 4月 4月・5月・6月 7月 7月支給分
B 当月払い 翌月控除 4月 4月・5月・6月 7月 8月支給分
C 翌月払い 当月控除 5月 5月・6月・7月 8月 8月支給分
D 翌月払い 翌月控除 5月 5月・6月・7月 8月 9月支給分

各パターンをみていきましょう。

パターンA(当月払い・当月控除) は昇給後の給与を4月に支払い、その月の保険料をその月の給与から控除するケースです。

変動月が4月なので改定月は7月、天引きも7月支給分から変わります。
当月控除のため、給与明細の天引き額も7月支給分から変わります。

パターンB(当月払い・翌月控除) も変動月は4月なので、標準報酬月額が改定されるのは7月です。

しかし保険料を翌月の給与から控除するため、7月分の保険料が反映されるのは8月支給分になります。
改定月と天引きの月が1か月ずれます。

パターンC(翌月払い・当月控除) は4月に昇給を発令しても、昇給後の給与が実際に支払われるのは5月です。
変動月が5月にずれるため改定月は8月になり、当月控除なので天引きも8月支給分から変わります。

パターンD(翌月払い・翌月控除) は変動月が5月、改定月が8月となり、さらに翌月控除のため天引きに現れるのは9月支給分です。

支払い形態と控除方法の両方でずれが生じるため、4パターンの中で改定月と天引きの月の差が最も大きくなります。

つまり、翌月払いだから自動的に翌月控除になるわけではありません。
自社が「いつの給与を支払っているか」と「保険料をいつの給与から引いているか」を、それぞれ分けて確認
する必要があります。

なお、上の表は代表的な4パターンを示したものです。
締め日や支給日の細かな設定によって変動月の判定が変わる場合があるため、自社の条件を一つずつ確認してください。

4月昇給の場合はいつから反映?

随時改定の相談で最も多いのが、4月昇給のケースです。
4月は多くの企業で昇給が実施される月であり、そのぶん「4月に昇給したら、いつから反映すればよいのか」という疑問が集中します。

ここでは、月末締め・翌月15日払い(翌月払い)、翌月控除の会社を例に、4月昇給から保険料が給与に反映されるまでの流れを確認します。

このケースでは、変動月は5月、改定月は8月、給与明細に反映されるのは9月です。
なぜこのようになるのかを順番に見ていきましょう。

最初に押さえたいのは、4月に昇給しても翌月払いのため、昇給後の給与が初めて支払われるのは5月という点です。
そのため、随時改定の起算点となる変動月は5月になります。

変動月から3か月(5月・6月・7月)の報酬で判定し、標準報酬月額が改定されるのは8月です。
さらに翌月控除のため、新しい保険料が給与明細に反映されるのは9月支給分になります。

以上の流れを月ごとに整理すると、次のようになります。

◾️4月昇給・月末締め翌月15日払い・翌月控除の場合の流れ

その月に起こること 随時改定の進行状況
4月 昇給を発令(4月分の給与を確定) 起算点にはならない。翌月払いのため、昇給後の給与はまだ支払われていない
5月 昇給後の給与を初めて支払う(4月分を5月15日に支給) 変動月(1か月目)。ここから3か月の判定期間が始まる
6月 昇給後の給与を支払う 判定期間の2か月目
7月 昇給後の給与を支払う 判定期間の3か月目。7月支給分で3か月のデータが確定し、平均額を計算して2等級以上の差を判定
8月 標準報酬月額が改定される(保険料が新しい金額に切り替わる) 改定月(4か月目)。月額変更届の「改定年月」は8月。速やかに届出を行う
9月 新しい保険料が給与から天引きされる(8月分を9月15日に控除) 天引きが変わる月。従業員の手取りが実際に変わるのはここから

この表からわかるのは、4月に昇給を発令してから、従業員の手取りが実際に変わる9月まで、5か月の開きがあるという点です。
条件が変われば、当然この月も変わります。

たとえば同じ4月昇給でも、当月払い・当月控除なら、変動月は4月。
改定月と給与明細への反映は7月です。

「4月昇給は必ず7月から」が間違いになる理由

4月昇給の反映時期について、実務で非常に多い誤解があります。
「4月に昇給したのだから、4か月目にあたる7月から標準報酬月額が変わる」というものです。

これは、当月払いの会社では正しいものの、翌月払いの会社では誤りになります。
起算点になるのが昇給を発令した月ではなく、昇給後の給与を初めて支払った月だからです。

支払い形態ごとに整理すると、次のように分かれます。

■4月昇給の反映時期(支払い形態による違い)

給与の支払い形態 昇給後の給与を初めて支払う月(変動月) 判定に使う3か月 改定月(標準報酬月額が変わる月)
当月払い 4月 4月・5月・6月 7月
翌月払い 5月 5月・6月・7月 8月

当月払いの会社では、4月に支払う給与から昇給後の金額が反映されます。
したがって変動月は4月となり、4か月目の7月から標準報酬月額が変わります。

一方、翌月払いの会社では、4月に昇給を発令しても昇給後の金額が実際に支払われるのは5月からです。

そのため変動月は5月となり、4か月目は8月になります。
「7月から」と考えていると、1か月ずれた誤った月で改定してしまいます。

随時改定の対象になる3つの条件

前提として、そもそも自社の従業員が随時改定の対象になるのかを判断する必要があります。
随時改定は、給与が変動した従業員すべてが対象になるわけではありません。

次の3つの条件をすべて満たした場合に限って手続きが必要になります。
一つでも欠けていれば対象外です。

随時改定の3要件
  1. 昇給や降給などで固定的賃金に変動があったこと
  2. 変動前の標準報酬月額と、変動後3か月間の報酬の平均額による標準報酬月額との間に、2等級以上の差が生じたこと
  3. 変動後3か月とも、給与の支払基礎日数が17日以上であること(一部の短時間労働者は11日以上)

この3つは「いずれか」ではなく「すべて」を満たす必要があります。
固定的賃金が変動しても2等級以上の差が出なければ対象外。
2等級以上の差が出ても、1か月でも支払基礎日数が17日未満なら対象外です。

① 固定的賃金の変動があった(通勤手当・現物支給の変動も含む)

1つ目の条件は、固定的賃金に変動があるかです。

固定的賃金とは、勤務時間や業績に関係なく、毎月一定額が支給される賃金のこと。
具体的には次のものがあたります。

固定的賃金にあたるもの(例)
  • 基本給
  • 役職手当、家族手当、住宅手当など、支給額が決まっている諸手当
  • 通勤手当
  • 時給や日給の単価(時給制、日給制の場合)

見落とされやすいのが通勤手当です。
通勤手当は固定的賃金に含まれるため、運賃の改定や引っ越しによって支給額が変わった場合も、固定的賃金の変動にあたります。

通勤定期券などを現物支給しているケースでも、支給額が変われば同様に変動として扱われます。
つまり、基本給が変わっていなくても随時改定の対象になる可能性があるということです。

また、昇給や降給といった金額の増減だけでなく、時給制から月給制への変更や新しい手当の新設など。
給与体系そのものの変更も固定的賃金の変動に含まれます。

まずはこの変動があったかどうかを確認し、変動があった場合に次の条件へ進みます。

② 従前と2等級以上の差が生じた

2つ目の条件は、標準報酬月額に2等級以上の差が生じたかどうかです。
標準報酬月額とは、社会保険料を計算するための基準額のこと。

報酬を一定の幅ごとに区切った等級に当てはめて決められています。
変動前と変動後で2等級以上の開きがあれば、二つ目の条件の該当者です。

判定の手順
  • 変動前の標準報酬月額(現在の等級)を確認する
  • 変動月から3か月間の報酬の平均額を計算する
  • その平均額を等級表に当てはめ、新しい等級を求める
  • 変動前と変動後の等級を比べ、2等級以上の差があるかを確認する

たとえば変動前が20等級の従業員について、昇給後の3か月平均が22等級以上になった場合は随時改定の対象となります。

ここで注意すべき重要なルールが、「固定的賃金の増減方向」と「標準報酬月額の変動方向」が一致していなければならないという点です。

  • 昇給(固定的賃金アップ)の場合: 変動後3か月の平均報酬による標準報酬月額が、従前より2等級以上「上がった」場合のみ対象。
  • 降給(固定的賃金ダウン)の場合: 変動後3か月の平均報酬による標準報酬月額が、従前より2等級以上「下がった」場合のみ対象。

そのため、「基本給は上がったが、残業代が激減したため3か月の給与平均が下がって18等級以下(2等級ダウン)になった」というようなケースでは、2等級以上の差があっても随時改定の対象外となります。

なお、等級表の上限または下限に近い場合は例外があります。
等級表の上限・下限付近では、報酬が大きく変わっても2等級以上動かないことがあるでしょう。

こうしたケースでは2等級以上の差がなくても対象になる場合があるので注意が必要。
自社の従業員が上限付近または下限付近の等級にあたる場合は別途確認してください。

③ 3か月とも支払基礎日数が17日以上(短時間労働者は11日以上)

3つ目の条件は、変動後の3か月とも、給与の支払基礎日数が17日以上であるかどうかです。

支払基礎日数とは、給与計算の対象となった日数のことです。自社の給与形態によって数え方が異なります。

  • 完全月給制(欠勤控除がない場合): 欠勤の有無にかかわらず、その月のカレンダー上の日数(暦日数:30日や31日など)が支払基礎日数となります。
  • 日給月給制(欠勤控除がある場合): 就業規則等で定められた「所定労働日数」から「欠勤日数」を差し引いた日数が支払基礎日数となります(暦日数から引くのではないためご注意ください)。

時給制・日給制: 実際に出勤した日数(有給休暇取得日数を含む)が支払基礎日数となります。

【パート・アルバイト等の短時間労働者の基準】

社会保険に加入している短時間労働者の場合、加入要件によって基準が分かれます。

  • 特定適用事業所の短時間労働者(週20時間以上等の要件で加入): 変動後3か月とも各月11日以上が必要です。
  • 一般の短時間就労者(正社員の4分の3以上の勤務で加入): 原則として各月17日以上が必要です。ただし、3か月とも17日未満の場合は15日以上ある月のみを対象に平均を計算します(3か月とも15日未満の場合は対象外)。

社会保険に加入しているパートやアルバイトを判定する際は、短時間労働者にあたるかどうかを確認したうえで基準を判断してください。

【注意】残業代の増加だけでは対象にならない

最も多い誤解の一つが、残業代が増えて給与が上がったから随時改定が必要ではないか、というものです。
結論から言うと、残業代の増加だけでは対象になりません。

随時改定はあくまで固定的賃金の変動がきっかけになります。
残業代は残業時間に応じて金額が変わる非固定的賃金であり、随時改定の起点になりません。

両者を整理すると次のとおりです。

固定的賃金と非固定的賃金の区分
  • 固定的賃金(変動が随時改定のきっかけになる)
    基本給、役職手当、家族手当、住宅手当、通勤手当、時給や日給の単価など
  • 非固定的賃金(これ単独ではきっかけにならない)
    残業手当、休日出勤手当、深夜手当、歩合給やインセンティブなど

ただし、非固定的賃金がまったく関係しないわけではありません。
2等級以上の差を判定するときの3か月の平均報酬には、残業代などの非固定的賃金も含めて計算します。

つまり、きっかけになるのは固定的賃金の変動ですが、差を判定する段階では、その3か月に支払われた残業代なども合算した金額で判断します。

やるべき手続きの見落としだけでなく、対象外の従業員に不要な手続きをしてしまうことも余計な事務負担や誤りのもとになります。
3つの条件をそれぞれ確認し、すべて満たしているかどうかで判断してください。

随時改定の手続き:月額変更届の書き方と提出

随時改定の対象になる従業員が確認できたら、実際の手続きに進みます。
随時改定は、月額変更届という書類を年金事務所などに提出することで行います。
ここでは、書類のどこに何を書くか、特に迷いやすい「改定年月」欄を中心に確認します。

月額変更届の正式名称は、健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届です。
この書類に、対象となる従業員の情報と、変動前後の報酬額、新しい標準報酬月額などを記入しなくてはなりません。

用紙は日本年金機構のホームページからダウンロードでき、1枚で複数人分をまとめて届け出ることができます。
記入する主な項目は次のとおりです。

月額変更届の主な記入項目
  • 被保険者の氏名、生年月日、被保険者整理番号
  • 変動があった月と、その前後の報酬月額
  • 変動後3か月間に支払われた報酬額(各月の支払基礎日数を含む)
  • 変動前と変動後の標準報酬月額
  • 改定年月

このなかで担当者が最もつまずくのが、改定年月の欄です。
ここには、変動月から起算して4か月目にあたる月を記入しましょう。

4月昇給でも当月払いなら7月、翌月払いなら8月というように、改定年月は自社の支払い形態によって変わります。
改定年月を誤って記入すると、保険料が正しい月から反映されません。

提出先・提出方法

提出先は、会社が加入している健康保険の種類によって異なります。

  • 協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入している事業所:事業所を管轄する「年金事務所」または「日本年金機構 事務センター」へ提出します(厚生年金保険と健康保険の手続きが一括で完了します)。
  • 健康保険組合(組合健保)に加入している事業所:「年金事務所(厚生年金保険分)」と「加入中の各健康保険組合(健康保険分)」の双方にそれぞれ提出する必要があります。

自社が加入状況を確認したうえで提出してください。

提出方法には、主に次の3つがあります。

月額変更届の提出方法
  • 窓口へ持参する
  • 郵送する
  • 電子申請する(e-Govなど)

資本金や出資金の額が一定額を超える法人など、一部の事業所については電子申請が義務付けられています。
自社が電子申請の義務対象にあたるかどうかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。

提出期限は?

いつまでに月額変更届を提出すればよいのかも担当者が気にするところです。
明確な期日が定められていないため、悩む人も多いでしょう。

しかし、事業主は速やかに届け出ることとされています。
明確な期日がないからといって、提出を後回しにするのは避けるべきです。

提出が遅れると、本来反映されるべき月から保険料が変更されず、後から遡って訂正や再計算が必要になる場合もあります。

標準報酬月額が改定される月、つまり変動月から4か月目が確定したら、速やかに月額変更届を作成して提出してください。

随時改定をしないとどうなる?

随時改定の対象になる従業員がいるにもかかわらず手続きをしなかった場合、あるいは提出が大幅に遅れた場合どうなるのでしょう。
届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合、厚生年金保険法などには罰則が設けられています。

6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性もあるので注意しましょう。
実務上より現実的なリスクは、年金事務所からの指摘や調査によって遡っての処理が必要になることです。

随時改定を放置した場合に起きる主なこと
  • 年金事務所の調査などで、随時改定の届出漏れを指摘される
  • 本来改定されるべきだった月まで遡って、標準報酬月額を訂正する必要が生じる
  • 過去にさかのぼって保険料を計算し直すことになる
  • 従業員負担分の保険料についても、遡って精算する必要が生じる

遡っての処理は本来であれば不要な業務です。
退職した従業員であれば、手続きも煩雑になり、負担も増えます。
後回しにせず、速やかに届け出ることがミスを防ぐ方法となります。

従業員に「昇給したのに手取りが減った」と聞かれたときの説明方法

「昇給したのに手取りが減った」と従業員から聞かれることがあるかもしれません。
昇給で標準報酬月額が上がると社会保険料も上がります。
結果、額面は増えても手取りの増え方は小さくなってしまいます。

従業員から聞かれた場合、昇給した月ではなく、随時改定が反映された月から保険料が変わることを伝えるのがポイントです。

また、標準報酬月額が上がることは、保険料の負担が増えるだけではありません。
将来の年金額や傷病手当金などの給付額にも関わるため、次の点もあわせて説明すると理解を得やすくなります。

保険料が上がることの主な影響
  • 将来受け取る厚生年金の額が増える可能性がある
  • 傷病手当金などの給付額の基礎となる金額が上がる
  • 保険料の増加分は会社と折半するため、半分は会社が負担している

口頭での説明だけでは担当者によって内容にばらつきが生じます。
給与明細への一言や社内向けの案内文を用意しておくと、問い合わせの減少につながります。

随時改定の手続きを効率化・外注する方法

随時改定は判定の条件が細かく、反映時期も支払い形態によって変わるため、負担も大きいです。
負担を減らす方法は大きく2つあります。

給与計算ソフトで判定漏れを自動アラート

自社で対応を続ける場合に有効なのが給与計算ソフトです。
負担の多くは、対象者を見落とさない確認作業と反映時期の計算です。
この部分を自動化できると負担が大きく軽くなるでしょう。

ソフトのなかには、基本給や手当に変動があった従業員について、随時改定の可能性を知らせる機能を備えたものがあります。

給与計算ソフトを使う主な利点
  • ◎ 固定的賃金の変動があった従業員を自動で検出し、判定漏れを防げる
  • ◎ 2等級以上の差が生じているかの確認を支援してくれる
  • ◎ 標準報酬月額や保険料の計算を自動で行える

日々の給与計算は自分たちで行いたい、対象者の見落としが不安、という担当者に向いた選択肢です。

社労士・給与計算アウトソーシングに任せる

判定や手続きそのものを外部に委ねる方法もあります。
随時改定と定時決定が重なるケースや等級表の上限下限にかかるケースなど、判断に迷う場合におすすめです。
そもそも労務に時間を割きたくない小規模な会社や個人事業主にも向いています。

外部に任せる主な選択肢
  • ◎ 顧問社労士に継続的に相談し、手続きを代行してもらう
  • ◎ スポットで社労士に相談し、迷ったケースだけ確認する
  • ◎ 給与計算アウトソーシングに、計算から届出まで一括で委託する

顧問契約まではせず、迷ったときだけスポットで相談する使い方もできます。
自社の状況に応じて、どこまで自社で行い、どこから外部に任せるかを検討してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q.随時改定 は何月から適用されますか?
A.変動後の給与を初めて支払った月から起算して4か月目です。
変動月が4月なら7月、5月なら8月が適用月です。
昇給を発令した月ではなく、昇給後の給与を初めて支払った月から数えます。

Q.4月に昇給したら標準報酬月額はいつから変わりますか?
A.支払い形態によります。
当月払いは変動月が4月で7月から、翌月払いは昇給後の給与の支払いが5月のため変動月が5月で8月から変わります。

Q.随時改定は翌月払いの場合いつから反映されますか?
A.昇給を発令した月の翌月が変動月になり、そこから4か月目に改定されます。
さらに保険料を翌月控除にしている場合、天引きが変わるのは改定月のさらに翌月です。

Q.社会保険料は4〜6月の給料で決まりますか?
A.4〜6月で決まるのは定時決定(算定基礎届)による標準報酬月額で、その年の9月から翌年8月まで適用されます。
随時改定はこれとは別に、固定的賃金が大きく変動したとき変動月から3か月の報酬で判定します。

Q.標準報酬月額はいつ決まりますか?
A.主に、入社時(資格取得時)、毎年の定時決定、給与が大きく変動したときの随時改定です。
随時改定の場合は変動月から3か月の報酬をもとに4か月目から適用されます。

Q.随時改定で保険料が下がる場合も4か月目からですか?
A.はい。
随時改定は降給で固定的賃金が下がった場合も対象です。
2等級以上下がるなどの要件を満たせば、昇給と同様に変動月から4か月目に改定され、保険料が下がります。

Q.月額変更で17日未満の月があっても対象になりますか?
A.対象になりません。
随時改定は3か月とも支払基礎日数17日以上が要件で、1か月でも17日未満だと対象外です。

まとめ

随時改定がいつから反映されるかの要点を整理します。

この記事の要点
  • 新しい標準報酬月額は、昇給後の給与を初めて支払った月(変動月)から4か月目に反映される
  • 起算するのは発令月ではなく、昇給後の給与を初めて支払った月
  • 標準報酬月額が改定される月と、天引き額が変わる月は控除方法によってずれることがある
  • 4月昇給でも当月払いは7月、翌月払いは8月と、支払い形態で改定月が変わる
  • 対象は、固定的賃金の変動、2等級以上の差、3か月とも支払基礎日数17日以上の3要件をすべて満たす場合のみ
  • 7〜9月に該当する従業員は定時決定より随時改定が優先される
  • 手続きをしないと、遡っての訂正や再計算という大きな手戻りが生じる

まずは自社の支払い形態と控除方法を確認しましょう。
変動月から4か月目という原則に当てはめて、改定月と天引きが変わる月を分けて把握することが出発点です。

対象者の見落としや計算に不安があれば、随時改定の候補を自動で知らせる給与計算ソフトの活用も検討しましょう。
社労士に相談するのもおすすめです。

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