欠勤1日で給料はいくら減る?計算方法と手取りへの影響を解説
2026.07.31
リードブレーン株式会社
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欠勤1日で給料はいくら減る?計算方法と手取りへの影響を解説

「体調不良で3日休んだだけなのに、給料がこんなに減るとは思わなかった」
「1日休んで1万円以上引かれている。これって普通なの?」
給与明細を受け取ってはじめて、欠勤の重さに気づく人は少なくありません。
自分でも電卓を叩いてみたけれど、明細の金額とどうしても合わない。
そんな状態でこのページにたどり着いた方も多いはずです。
結論から言います。
欠勤で引かれる金額は「月給 ÷ 1ヶ月の所定労働日数 × 欠勤日数」で計算します。
月給25万円で所定労働日数が20日の会社なら、1日あたり12,500円が目安です。
ただし、ここに落とし穴があります。
実際の手取りは、この計算で出た金額よりもさらに減ります。
給与が減っても、社会保険料は原則として満額引かれ続けるためです。
【結論】欠勤で引かれる金額は「月給÷所定労働日数×欠勤日数」
まず知りたいのは制度の名前ではなく「欠勤したら給料はいくら減るのか」かと思います。
欠勤して働かなかった分の給与が差し引かれる仕組みを「欠勤控除」と呼びます。
これは「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づくものです。
労働の提供がなかった時間について、会社に賃金を支払う義務はない、という考え方だと理解してください。
計算式は次のとおりです。
「欠勤控除額 = 月給 ÷ 1ヶ月の所定労働日数 × 欠勤日数」
月給25万円、所定労働日数20日の会社で1日欠勤した場合で計算してみます。
- 1日あたりの給与:250,000円 ÷ 20日 = 12,500円
- 欠勤控除額:12,500円 × 1日 = 12,500円
- その月の支給額:250,000円 - 12,500円 = 237,500円
ここで押さえておきたいのが、欠勤控除の計算方法は法律で定められていないという点です。
就業規則や賃金規程で会社ごとに決めるルールになっています。
そのため、月給も欠勤日数も同じなのに、会社が違えば引かれる金額が変わります。
ネット上の計算式と自分の明細が一致しない原因の多くは、ここです
月給別・欠勤日数別の控除額早見表
まずは自分の月給の行を探してください。
おおよその金額がすぐにわかります。
-
- 日給月給制(欠勤した分が控除される一般的な月給制)を想定しています
- 月給は控除対象となる賃金の合計として計算しています
- 何が控除対象になるかは会社によって異なります(詳細は次章)
- 円未満は四捨五入しています
表1:所定労働日数が20日の場合
| 月給 | 1日あたり | 2日 | 3日 | 5日 | 10日 | 1か月(20日) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 18万円 | 9,000円 | 18,000円 | 27,000円 | 45,000円 | 90,000円 | 180,000円 |
| 20万円 | 10,000円 | 20,000円 | 30,000円 | 50,000円 | 100,000円 | 200,000円 |
| 22万円 | 11,000円 | 22,000円 | 33,000円 | 55,000円 | 110,000円 | 220,000円 |
| 25万円 | 12,500円 | 25,000円 | 37,500円 | 62,500円 | 125,000円 | 250,000円 |
| 30万円 | 15,000円 | 30,000円 | 45,000円 | 75,000円 | 150,000円 | 300,000円 |
| 35万円 | 17,500円 | 35,000円 | 52,500円 | 87,500円 | 175,000円 | 350,000円 |
表2:所定労働日数が21日の場合
| 月給 | 1日あたり | 2日 | 3日 | 5日 | 10日 | 1か月(21日) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 18万円 | 8,571円 | 17,143円 | 25,714円 | 42,857円 | 85,714円 | 180,000円 |
| 20万円 | 9,524円 | 19,048円 | 28,571円 | 47,619円 | 95,238円 | 200,000円 |
| 22万円 | 10,476円 | 20,952円 | 31,429円 | 52,381円 | 104,762円 | 220,000円 |
| 25万円 | 11,905円 | 23,810円 | 35,714円 | 59,524円 | 119,048円 | 250,000円 |
| 30万円 | 14,286円 | 28,571円 | 42,857円 | 71,429円 | 142,857円 | 300,000円 |
| 35万円 | 16,667円 | 33,333円 | 50,000円 | 83,333円 | 166,667円 | 350,000円 |
2つの表を見比べると、同じ月給25万円・1日欠勤でも、20日なら12,500円、21日なら11,905円と約600円の差が出ます。
5日欠勤なら約3,000円、10日欠勤なら約6,000円の差です。
欠勤日数が増えるほど、この差は無視できない大きさになります。
- 就業規則または賃金規程の「欠勤控除」「賃金の計算」に関する条文
- 労働条件通知書・雇用契約書
- 給与明細の勤怠欄(「所定労働日数」「就業日数」などの表記)
なお、分母には所定労働日数以外の考え方もあります。
会社がどれを採用しているかで金額が変わる点については、次の章で詳しく解説します。
半日・遅刻・早退は「時間単位」で計算される
丸一日休んだわけではなく、半日だけ休んだ場合や、寝坊して1時間遅刻した場合はどうなるのでしょうか。
この場合は日単位ではなく、時間単位で計算するのが一般的です。
「控除額 = 月給 ÷ 1ヶ月の所定労働時間 × 不就労時間」
月給25万円、1日8時間勤務、所定労働日数20日(=月の所定労働時間160時間)の場合で見てみます。
- 1時間あたりの給与:250,000円 ÷ 160時間 = 1,562.5円
| 休んだ時間 | 控除額の目安 |
|---|---|
| 遅刻・早退 1時間 | 約1,563円 |
| 2時間 | 約3,125円 |
| 半日(4時間) | 6,250円 |
| 1日(8時間) | 12,500円 |
8時間分を計算すると12,500円となり、日単位で計算した金額と一致します。
時間単位の計算は、この日額を時間で割り直しているだけだと考えるとわかりやすいと思います。
注意したいのが端数の扱いです。
5分の遅刻を30分、または15分を1時間で切り上げて控除している場合、実際に働かなかった時間を超えて差し引いていることになります。
これは就業規則の内容や控除方法によっては、問題になる場合があります。
明細に遅刻・早退の控除がある方は、実際の遅刻時間と照らし合わせて確認しておくとよいでしょう。
1ヶ月まるごと欠勤した場合は原則ゼロ
体調を崩して長期間休んでいる方にとって、最も気がかりな点だと思います。
結論として、その月の所定労働日をすべて欠勤した場合、給与は原則としてゼロになります。
ノーワーク・ノーペイの原則により、労働の提供がない期間について会社に賃金を支払う義務はないためです。
ただし、話はゼロで終わりません。
長期欠勤には、次の2つの問題が続きます。
- △ 社会保険料は給与が減っても発生し続ける
健康保険・厚生年金の保険料は、その月の給与が減ったからといって連動して下がるわけではありません。
給与がゼロだと天引きする原資がないため、会社から別途請求されるケースがあります。 - △ 給与明細がマイナス表示になることがある
控除額が支給額を上回ると、支給額がマイナスになる場合があります。
この仕組みについては後半で詳しく説明します。
なお、病気やケガで長期間休む場合には、健康保険の「傷病手当金」という制度があります。
給与のおよそ3分の2が支給されるもので、条件を満たせばうつ病や適応障害も対象です。
なぜ人によって金額が違う?欠勤控除の「分母」
欠勤控除の計算方法に法律上の決まりはなく、労働基準法にも、欠勤した分をいくら差し引くかを定めた条文は存在しません。
会社が就業規則や賃金規程で独自にルールを決め、それに従って計算しています。
同じ月給25万円の人が同じ1日を欠勤しても、A社では12,500円、B社では11,364円と金額が変わるのはこのためです。
ネット上の計算式と自分の明細が一致しない原因は、多くの場合この「会社ごとのルールの違い」にあります。
差が生まれる要因は、大きく2つです。
順番に見ていきます。
分母は3パターンある|会社ごとに金額が変わる理由
分母の決め方には、主に次の3つの考え方があります。
表:分母3パターンの比較(月給25万円・1日欠勤の場合)
| 分母の決め方 | 計算の内容 | 控除額の例 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ①欠勤した月の所定労働日数 | その月に出勤すべき日数で割る | 20日の月:12,500円 22日の月:11,364円 |
月ごとに控除額が変動する |
| ②1ヶ月平均所定労働日数 | 年間の所定労働日数÷12で割る | 年間240日→20日:12,500円 | 毎月一定で分かりやすい |
| ③欠勤した月の暦日数 | その月のカレンダー日数で割る | 30日の月:8,333円 | 採用している会社は少数 |
①を採用している会社では、同じ1日の欠勤でも月によって引かれる金額が変わります。
ゴールデンウィークや年末年始で出勤日が少ない月は、1日あたりの金額が大きくなり、逆に営業日が多い月は小さくなります。
「先月と今月で同じ1日休んだのに金額が違う」という場合は、この方式の可能性が高いです。
②は年間の所定労働日数を12で割って平均を出す方式になります。
毎月同じ日額になるため、会社としても従業員としても分かりやすいのが利点です。
実務上はこの方式を採用する会社が比較的多いとされています。
ただし②には注意点があります。
分母が平均値のため、その月の実際の所定労働日数とずれることがあるという点です。
たとえば分母が20日の会社で、当月の所定労働日数が22日あり、その全日を欠勤したとしましょう。
この場合、控除額は日額×22日となり、月給を上回ってしまいます。
給与がマイナスになる仕組みについては、後ほど詳しく解説します。
控除方式と支給方式という違いもある
もう一段細かい話になりますが、会社によっては次の2つの方式を使い分けています。
- 控除方式:月給から、欠勤した日数分を差し引く
- 支給方式:出勤した日数分だけを支給する
欠勤が数日であれば結果はほぼ同じと言えます。
差が出るのは、月のほとんどを欠勤したケースです。
支給方式であれば支給額がマイナスになることはありませんが、控除方式では条件によってマイナスが生じます。
- 就業規則・賃金規程の「欠勤控除」「賃金の計算」に関する条文
- 労働条件通知書、雇用契約書
- 給与明細の勤怠欄に記載された所定労働日数
規程に記載がない、または見当たらない場合は、人事・給与担当部門に確認できます。
賃金の計算方法は就業規則の必須記載事項とされているため、確認を求めること自体に問題はありません。
何から引かれる?基本給だけか、手当も対象か
分母と並んで金額を左右するのが、どの賃金項目を控除の対象にするかです。
基本給だけを対象とする会社もあれば、諸手当を含めた金額を対象とする会社もあります。
一般的な取り扱いは次のとおりです。
ただしこれも法律の定めではなく、就業規則によって異なります。
| 賃金項目 | 控除対象になるか | 考え方 |
|---|---|---|
| 基本給 | 対象になる | 労働の対価の中心 |
| 役職手当・職務手当 | 対象になることが多い | 労働の対価としての性格が強い |
| 精皆勤手当 | 対象になる、または別途減額 | 出勤実績に連動する手当 |
| 家族手当・住宅手当 | 対象外とする会社が多い | 生活補助的な性格が強い |
| 通勤手当 | 対象外とする会社が多い | 実費を補填する性格。 ただし日額支給の場合は出勤日数分のみ支給 |
| 残業代 | 対象外 | 実際に働いた時間に対して支払われるため |
この違いは金額に直結します。
基本給20万円と諸手当5万円で総支給25万円の人を例にします。
-
- 基本給のみを対象とする会社:200,000円 ÷ 20日 = 1日あたり10,000円
- 手当を含めて対象とする会社:250,000円 ÷ 20日 = 1日あたり12,500円
同じ条件でも1日で2,500円、5日欠勤すれば12,500円の差です。
早見表の金額と自分の明細がずれている場合、分母が同じであれば、この控除対象の範囲が原因である可能性が高いといえます。
給与明細のどこを見るか|欠勤控除・勤怠控除・遅刻早退控除の違い
明細上の呼び方は会社ごとに異なり、同じ内容でも、次のような表記が使われています。
-
- 欠勤控除:欠勤分のみを差し引く項目
- 勤怠控除:欠勤・遅刻・早退をまとめて差し引く項目
- 遅刻早退控除:遅刻・早退のみを差し引く項目
- 不就労控除、欠勤減額:上記と同じ意味で使われる表記
「勤怠控除」とだけ記載されている場合、欠勤分と遅刻早退分が合算されている可能性があります。
内訳が知りたい場合は、給与担当部門に開示を求めることが可能です。
探す場所に注意しましょう。
社会保険料や所得税が並ぶ「控除」欄を探しても、欠勤控除が見つからないことがあります。
欠勤控除は「支給」欄にマイナス金額で記載されるのが一般的だからです。
「控除」という名前がついているため控除欄にあると思い込み、見つけられないまま検索している方も少なくありません。
- 勤怠欄を見て、欠勤日数・遅刻早退時間が実際と合っているかを確認する
- 支給欄でマイナス表記の項目を探す(見つからない場合は控除欄も確認する)
- 就業規則の計算式に当てはめて自分で計算し、明細の金額と照合する
計算が合わない場合、まず疑うべきは分母と控除対象の範囲です。
この2つを確認しても説明がつかない金額であれば、控除そのものが適切でない可能性も出てきます。
【注意】手取りは控除額よりもっと減る|社会保険料は満額引かれる
欠勤控除額を計算しても、手取りの減り方は計算どおりにはなりません。
給与が減っても、社会保険料は連動して下がらないためです。
早見表で「1日12,500円」と確認して安心していたところ、明細を見て想定以上に生活が苦しくなったと感じるのは、この仕組みが原因です。
ここでは何が減って何が減らないのかを整理し、実際の手取り額まで計算します。
給与が減っても健康保険・厚生年金の保険料は原則そのまま
健康保険料と厚生年金保険料は、その月の給与額ではなく「標準報酬月額」という基準額をもとに計算されます。
標準報酬月額は、原則として年1回の「定時決定」で決まります。
4月・5月・6月に支払われた報酬の平均額から算出され、その年の9月から翌年8月までの1年間に適用される仕組みです。
つまり、その月に支払われた金額とは切り離されて決められています。
年度の途中で見直される「随時改定」という制度もあります。
ですが、こちらは昇給や降給といった固定的賃金の変動があった場合が対象です。
欠勤による給与の減少は固定的賃金の変動にはあたらないため、原則として随時改定の対象にはなりません。
結果として、欠勤で給与が減った月も、健康保険料と厚生年金保険料は通常どおりの金額が引かれます。
表:欠勤で減るもの・減らないもの
| 項目 | 欠勤で減るか | 理由 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 減らない | 標準報酬月額をもとに計算されるため |
| 厚生年金保険料 | 減らない | 同上 |
| 介護保険料(40歳以上) | 減らない | 同上 |
| 住民税 | 減らない | 前年の所得をもとに計算されるため |
| 雇用保険料 | 減る | その月に実際に支払われた賃金額に料率を掛けるため |
| 所得税(源泉徴収) | 減る | 実際の支給額をもとに計算されるため |
減らない項目のほうが金額として大きいのが実情です。
ここが、手取りへの影響を読み違える原因になります。
【シミュレーション】月給25万円・5日欠勤の手取り
具体的な数字で確認します。
次の条件で試算しました。
-
- 月給25万円(標準報酬月額26万円)/所定労働日数20日
- 協会けんぽ・東京都・40歳未満(介護保険料の負担なし)
- 扶養親族なし/住民税は月12,000円と仮定
- 欠勤控除額:12,500円 × 5日 = 62,500円
| 項目 | 通常の月 | 5日欠勤した月 | 差 |
|---|---|---|---|
| 総支給額 | 250,000円 | 187,500円 | -62,500円 |
| 健康保険料 | 13,104円 | 13,104円 | 0円 |
| 厚生年金保険料 | 23,790円 | 23,790円 | 0円 |
| 雇用保険料 | 1,250円 | 938円 | -312円 |
| 所得税 | 約4,900円 | 約2,900円 | 約-2,000円 |
| 住民税 | 12,000円 | 12,000円 | 0円 |
| 手取り額 | 約194,900円 | 約134,800円 | 約-60,100円 |
ここで注目したいのが、減り方の割合です。
-
- 総支給額の減少率:62,500円 ÷ 250,000円 = 25.0%
- 手取り額の減少率:約60,100円 ÷ 約194,900円 = 約30.8%
欠勤したのは20日のうち5日、つまり4分の1です。
ところが手取りで見ると3割以上が失われています。
社会保険料と住民税という固定的な支出が、給与が減っても変わらず残るためです。
生活費は総支給額ではなく手取り額を前提に組み立てていることがほとんどでしょう。
そのため、「4分の1休んだから4分の1減る」という感覚で家計を見積もると、実際にはそれ以上に苦しくなります。
なお、この試算は2026年度の保険料率にもとづく一例です。
保険料率は都道府県や年度によって、また加入している健康保険組合によって異なります。
住民税額や所得税額も個人の状況で変わるため、金額はあくまで目安として捉えてください。
給料がマイナスになることはある?
支給額よりも控除額が大きくなり、給与明細の差引支給額がマイナスで表示されることは実際に起こることがあります。
主に次の2つのパターンです。
パターン1:欠勤日数が分母を上回るケース
分母に「1ヶ月平均所定労働日数」を採用している会社で起こります。
たとえば分母が20日の会社で、その月の実際の所定労働日数が22日あり、全日を欠勤したとします。
-
- 控除額:12,500円 × 22日 = 275,000円
- 総支給額:250,000円 - 275,000円 = -25,000円
分母が平均値であるために、実際の欠勤日数のほうが多くなり、控除額が月給を上回ってしまうという構造です。
パターン2:社会保険料が支給額を上回るケース
長期欠勤で給与がほぼゼロになった場合です。
支給額がゼロでも社会保険料と住民税は発生するため、差し引くと必ずマイナスになります。
- 総支給額:0円
- 社会保険料:36,894円/住民税:12,000円
- 差引支給額:-48,894円
いずれのケースも、就業規則に沿って正しく計算されているのであれば、マイナスになること自体が違法というわけではありません。
ノーワーク・ノーペイの原則により、働いていない期間の賃金は発生せず、一方で社会保険料の本人負担分は在籍している限り発生し続けるためです。
会社から返還を求められたときの扱い
差引支給額がマイナスになった分は、会社が立て替えている状態です。
そのため、本人が会社に支払う必要があります。
方法は主に2つです。
-
- 本人が直接支払う:指定口座への振込や現金での精算
- 翌月以降の給与から差し引く:不足分を次回以降の支給額から控除する
注意したいのが2つ目の方法です。
労働基準法24条は、賃金は全額を支払わなければならないという「賃金全額払いの原則」を定めています。
給与から法定控除以外のものを差し引くには、労使協定を締結していることが前提です。
労使協定がないまま一方的に翌月の給与から差し引かれている場合、この原則に反する可能性があります。
まずは就業規則や賃金規程に、立替分の精算方法について定めがあるかを確認してください。
定めがない、あるいは説明を受けていないという場合は、給与担当部門に確認を求めることができます。
長期欠勤すると社会保険料の請求書が届く
給与がゼロ、またはゼロに近い状態が続くと、社会保険料を給与から天引きできなくなります。
この場合、会社が本人負担分を立て替えて納付し、後日本人に請求するのが一般的な流れです。
請求のタイミングは会社によって異なります。
- 毎月、指定口座へ振り込む方式
- 復職後の給与から分割して差し引く方式
- 復職時または退職時に一括で精算する方式
いずれの方式であっても、休んでいる間も保険料は毎月積み上がっていきます。
月額36,000円程度の負担であれば、半年で20万円を超える計算になります。
「収入がないうえに請求が来る」という状況は、長期欠勤中の方が最も追い詰められる場面のひとつです。
産前産後休業と育児休業の期間は社会保険料が免除されますが、私傷病による欠勤や休職は免除の対象になりません。
病気やケガで休んでいるから保険料も止まるだろう、という理解は誤りなので注意してください。
なお、業務外の病気やケガで長期間休む場合には、健康保険から「傷病手当金」が支給される制度があります。
給与のおよそ3分の2が最長1年6ヶ月にわたって支給されるもので、社会保険料の支払い原資として活用している方も少なくありません。
欠勤したのに給料が減っていない3つの理由
欠勤したはずなのに給与が減っていない、という状況は珍しくありません。
原因は主に3つあり、そのうち2つは後からまとめて引かれるケースです。
減っていないこと自体は喜ばしく感じられますが、翌月に想定外の減額が起きたり、後から一括で請求されたりする可能性があります。
どのケースに当てはまるかを先に確認しておくことをおすすめします。
理由①完全月給制なら欠勤しても月額は変わらない
月給制には大きく分けて2つの種類があります。
この違いを知らないまま「月給制なら欠勤控除がある」と思い込んでいるケースが少なくありません。
| 完全月給制 | 日給月給制 | |
|---|---|---|
| 欠勤したとき | 月額は変わらない | 欠勤した分が控除される |
| 遅刻・早退したとき | 原則として控除されない | 控除される |
| 採用している会社 | 管理監督者、一部の専門職など | 一般的な会社の多く |
重要なのは、一般に「月給制」と呼ばれているものの多くは日給月給制だという点です。
求人票や労働条件通知書に「月給25万円」と書かれていても、それが完全月給制を意味するとは限りません。
自分がどちらに該当するかは、次の方法で確認できます。
- 就業規則・賃金規程に「欠勤控除」に関する条文があるか
- 労働条件通知書、雇用契約書の賃金に関する記載
- 過去に欠勤した月の給与明細に控除があったか
完全月給制であっても、欠勤が自由に認められるわけではない点には注意しましょう。
給与が減らないことと、労働契約上の出勤義務があることは別の問題です。
欠勤が続けば人事評価や賞与に影響する可能性があり、無断欠勤であれば懲戒の対象になり得ます。
なお、年俸制であっても欠勤控除は行われるのが一般的です。
年俸額を12回や16回に分けて支給する形が多く、欠勤した分は同じように差し引かれます。
年俸制だから欠勤しても減らない、という理解は誤りなので注意してください。
理由②翌月の給与でまとめて調整される
給与計算には「締め日」があり、締め日を過ぎてからの欠勤は、その月の給与計算に間に合いません。
この場合、翌月の給与でまとめて控除されることになります。
具体例で確認します。
- 給与の締め日:毎月20日
- 支給日:当月25日
- 欠勤した日:5月22日
このケースでは、5月22日の欠勤は5月20日の締め日を過ぎているため、5月25日に支給される給与には反映されません。
控除されるのは翌月、6月25日に支給される給与からです。
つまり「今月は減っていない」のではなく、「来月まとめて減る」状態になります。
今月の手取りを基準に家計を組むと、翌月に想定外の落ち込みが起きます。
このケースかどうかは、給与明細の勤怠欄で判別可能です。
休んだ日数が欠勤日数として計上されていなければ、翌月回しになっている可能性が高いといえます。
自分の会社の締め日と支給日は、就業規則または労働条件通知書で確認できます。
理由③会社の計算漏れ|後から請求される可能性がある
3つ目は、単純に会社側の処理が漏れているケースです。
次のような原因が考えられます。
-
- 勤怠システムへの入力漏れ、承認漏れ
- 欠勤届や休暇申請書が処理されていない
- 有給休暇と欠勤の取り違え
- 給与計算の担当者が変わったタイミングでの引き継ぎ漏れ
会社が後から気づいた場合、過払いとなった分は翌月以降の給与で調整されるのが一般的です。数日分であれば大きな金額にはなりませんが、複数月にわたって漏れていた場合、まとまった額を一度に請求されることがあります。
計算漏れに気づいたときに「黙っていてよいのか」と迷う方もいるかもしれません。
判断は個人の状況によりますが、後から請求されたときに生活に響くのは自分自身です。
使ってしまってから返還を求められる事態を避ける意味でも、早めに確認しておきましょう。
欠勤と給料に関するよくある質問
分母が21日の会社なら約9,524円と金額が変わります。
なお、給与が減っても社会保険料は変わらないため、手取りの減り方は総支給の減り方より大きくなります。
ただし実際に働かなかった時間に対応させるのが原則になります。
計算式は「月給 ÷ 1ヶ月の所定労働時間 × 不就労時間」です。
月給25万円で月の所定労働時間が160時間なら、1時間あたり約1,563円になります。
働いた時間分だけが支給される仕組みのため、休んだ日はその分が支給されないだけです。
試用期間中や入社直後の場合も同様です。
入社から6ヶ月経過するまでは有給休暇が付与されないため、この時期に休むと欠勤扱いになりやすい点に注意してください。
賞与の算定方法に法律上の決まりはなく、就業規則や賃金規程の定めによって扱いが変わります。
賞与の計算に出勤率を用いている会社では、欠勤日数に応じて支給額が減る仕組みです。
自分の会社の扱いは、就業規則の賞与に関する条文で確認できます。
給与のおよそ3分の2にあたる金額が、最長1年6ヶ月にわたって支給される制度です。
業務外の病気やケガで働けない状態が続いた場合に、支給の対象になります。
1日休んで翌日は出社する、という状態を繰り返していると待期期間が成立せず、支給の対象になりません。
うつ病や適応障害などの精神疾患も、条件を満たせば対象になります。
免除の対象になるのは産前産後休業と育児休業のみです。
傷病手当金を保険料の支払いに充てている方も多くいます。
残業や休日出勤には割増賃金が発生するため、欠勤した時間と同じだけ働いても、賃金の計算上は相殺されない仕組みになっています。
事後の申し出では認められないことが多いため、休むことが分かった段階で相談するのが確実です。
ただし最終月は在籍日数が短いため、控除額が支給額を上回りマイナスになりやすい点に注意が必要です。
保険料は資格を喪失した日(退職日の翌日)が属する月の前月分まで発生する仕組みです。
そのため、月末に退職するか月の途中で退職するかで、最後の給与から引かれる保険料の月数が変わります。
まとめ|欠勤で損をしないために今日できること
欠勤で引かれる金額は「月給 ÷ 所定労働日数 × 欠勤日数」で計算します。
月給25万円・所定労働日数20日なら1日あたり12,500円が目安です。
ただし金額は会社ごとに変わります。
計算の分母が3パターンあり、控除の対象になる賃金項目も会社によって異なるためです。
ネット上の計算式と自分の明細が一致しないのは、多くの場合この違いが原因となっています。
そして手取りへの影響は、控除額の数字以上に大きくなります。
給与が減っても社会保険料と住民税は変わらないためです。
5日欠勤した場合、総支給は25%減でも、手取りでは3割以上が失われます。
今すぐ確認したい3つのチェックポイント
給与明細を手元に置いて、次の3点を確認してください。
- 就業規則で計算のルールを確認する:分母は何日か、控除の対象は基本給のみか諸手当を含むか。
- 給与明細の勤怠欄と支給欄を照合する:勤怠欄の欠勤日数が実際と合っているか、支給欄にマイナス表記の控除項目があるかを確認します。
- 有給の残日数と取得単位を確認する:繰り越し分を含めた残日数、そして半日単位や時間単位で取得できるかを確認しておくと、次に休むときの選択肢が増えます。
休むたびに収入が減る働き方を続けるかどうか
体調を崩したときや子どもが熱を出したときに、そのたび手取りが数万円単位で減る。
この状態が毎月のように続いているのであれば、原因は自分の休み方ではなく、休暇制度そのものにあるのかもしれません。
有給の取得しやすさ、半日単位や時間単位で取得できるか、病気休暇が有給扱いか無給扱いか。
これらは会社によって大きく異なります。
同じ月給でも、休んだときに手元に残る金額はまったく違ってきます。
今の会社を辞める必要はありません。
ただ、自分の経験や条件で他にどのような選択肢があるのかを知っておくだけでも、次に休まなければならなくなったときの判断は変わります。