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2019.09.27

リードブレーン株式会社

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【ブログ】発起設立における検査役の調査の結果、妥当ではないとの結論が出た場合は?

発起設立における検査役の調査の結果、妥当でないとの結論が出た場合は?

事例

出資総額を700万円として株式会社を設立するのに、発起人Aは現金400万円を出資し、発起人Bは300万円相当の販売用商品を現物出資することとし、定款に記載して認証を受けました。その後、裁判所が選任した検査役の調査を受けたところ、Bが現物出資する販売用商品の価値は60万円しかないことが判明しました。発起人Aはどのような設立手続を進めたらよいのでしょうか。

ポイント

実務解説

現物出資について検査役が調査し、不当という結論が出た場合には、次のように進められます。

検査役の調査

現物出資について、出資者の氏名・名称、出資する財産とその価額、出資者に割り当てる設立時発行株式の数を定款に記載したときは(会社28一)、発起人は、公証人による定款の認証後遅滞なく、裁判所に検査役の選任を申し立てなければならず(会社33①)、裁判所が選任した公正中立な立場の検査役は、必要な調査を行い、結果を裁判所に報告しなければなりません(会社33④)。

裁判所の定款変更の決定

裁判所は、検査役の報告を受けて、現物出資の定款記載事項を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければなりません(会社33⑦)。

本事例では、発起人Bが現物出資する販売用商品の価額を300万円から60万円に減少し、これに応じてBに割り当てる設立時発行株式の数も減少する旨の定款変更を、裁判所が決定することになります。

裁判所は、この決定をする場合、設立時取締役及び現物出資する発起人Bの陳述を聴取しなければなりません(会社870三)。また、この決定は即時抗告により争うことができます(会社872四)。

この裁判所の決定が確定することにより、 定款は強制的に変更されます。

発起人による引受けの取消し

発起人は、裁判所の決定により定款が変更された場合には、当該決定の確定後1週間以内に限り、設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができます(会社33⑧)。本事例では、発起人Bは300万円の設立時発行株式の引受けを取り消すことができます。

発起人による定款の一部変更

発起人が設立時発行株式の引受けを取り消した場合には、発起人は、全員の同意により、裁判所の決定の確定後1週間以内に限り、当該決定により変更された事項についての定めを廃止する定款の変更をすることができます(会社33⑨)。

本事例では、発起人Bが販売用商品を現物出資して設立時発行株式を引き受ける部品を廃止する旨の定款変更を行い、設立手続を続行することができます。

 


出資後問題が起きるのを防ぐためにも、現物出資する物の時価総額を正しく把握しましょう。

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