【2026年最新】転職の年末調整はどうする?入社月別の判定チャート付き
2026.07.31
リードブレーン株式会社
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【2026年最新】転職の年末調整はどうする?入社月別の判定チャート付き

転職して迎える、初めての年末。
新しい職場から「前職の源泉徴収票を提出してください」と言われて、戸惑っていませんか。
「年末調整って、前の会社と今の会社、どっちでやるんだろう…?」
「源泉徴収票がまだ届かない。自分で確定申告しないとダメなの?」
結論からお伝えします。
転職した年の年末調整は、転職先の会社で行うのが原則です。
前の会社に連絡して手続きしてもらう必要はありません。
ただし、入社した月や源泉徴収票が間に合うかどうかで、自分で確定申告が必要になるケースもあります。
- 転職した年の年末調整は新しい会社で行う
- 必要なのは前職の源泉徴収票を出すことだけ
- 間に合わなくても自分で確定申告すれば損しない
- 令和8年分の減税(178万円ルール)は年末調整で精算される
転職した年の年末調整は「転職先の会社」で行うのが原則
「退職した会社にお願いしないといけないのでは」と考える方もいるでしょう。
しかし、その必要はありません。
転職先が前職分の給与も合算し、1年分の所得税をまとめて精算するからです。
なぜそうなるのか、仕組みから整理します。
年末調整の対象は「12月31日時点で在籍している人」
年末調整の対象になるのは、その年の年末まで会社に在籍している人です。
国税庁は、12月に行う年末調整の対象者を次のように定めています。
- ✓ 会社などに1年を通じて勤務している人
- ✓ 年の中途で就職し、年末まで勤務している人
つまり、年の途中で転職した人も、12月31日時点で転職先に在籍していれば対象になります。
一方で、年の途中で退職したまま年末を迎えた人は、原則として対象外です。
だからこそ、前職では年末調整が行われないのです。
なお、次の人も年末調整の対象外です。
- △ 1年間に支払われることが確定した給与の総額が2,000万円を超える人
- △ 災害減免法により、所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人
もう一つ、見落とされがちな条件があります。
年末調整を受けられるのは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整の日までに勤務先へ提出している人だけです。
提出を忘れると、在籍していても対象から外れます。
なお、前職分との合算計算は会社側が行います。
自分で前職の金額を集計したり、申告書に書き写したりする必要は基本的にありません。
源泉徴収票を提出するだけで完了します。
出典:国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人
年末調整と確定申告の違い【比較表】
2つの手続きは、どちらも所得税を精算するという点では同じです。
違いは「誰がやるか」と「どこまでカバーできるか」にあります。
| 年末調整 | 確定申告 | |
|---|---|---|
| 誰がやる | 勤務先の会社 | 自分 |
| 対象期間 | 1月1日〜12月31日の給与所得 | 1月1日〜12月31日のすべての所得 |
| 期限 | 会社が指定(11月中旬〜12月上旬が目安) | 翌年2月16日〜3月15日<br>※還付のみなら翌年1月1日から5年間 |
| できる控除 | 基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除(2年目以降)など | 上記すべて+医療費控除、寄附金控除、雑損控除、住宅ローン控除(初年度) |
会社員の多くは年末調整だけで納税が完結します。
転職した年も、前職の源泉徴収票を提出できていれば確定申告は原則不要です。
逆に言えば、年末調整を受けられなければ自分で確定申告するしかありません。
次章では、あなたがどちらに当てはまるかを入社月ごとに見ていきます。
【転職・入社月別】年末調整か確定申告か、あなたのケースを完全判定
「自分は年末調整だけで済むのか、確定申告が必要なのか」。
最も知りたいのはその一点だと思います。
判定を分けるのは、入社した月と年内に転職先から給与を受け取ったかの2つです。
ケースごとに答えを出していきます。
1月〜10月入社:転職先で年末調整(大多数はここ)
年の途中で転職した方の大半は、このパターンに当てはまります。
1月から10月に入社していれば、年内に転職先から給与を複数回受け取っているはずです。
12月31日時点で在籍していれば年末調整の対象になり、確定申告は原則不要です。
やることは2つだけです。
- 前職の源泉徴収票を、会社の締切までに提出する
- 会社から配られる申告書に記入して提出する
あとは会社が前職分と合算して所得税を計算してくれます。
11月入社:源泉徴収票が締切に間に合うかが分かれ目
11月入社も年末調整の対象になります。
ただし間に合うかどうかがギリギリです。
多くの会社は書類の提出期限を11月中旬〜12月上旬に設定します。
一方、前職の源泉徴収票は退職後1か月以内の交付が原則です。
10月末に退職した場合、交付は11月末になることもあります。
つまり、源泉徴収票が届く前に会社の締切が来てしまうおそれがあります。
11月入社の方は、入社後すぐに次の2つを進めてください。
- 転職先の人事に、源泉徴収票の提出期限を確認する
- 前職に、源泉徴収票の発行時期を問い合わせる
12月入社:年内に給与支払いがなければ確定申告
12月入社は、転職先から年内に給与が支払われたかで結論が変わります。
判定のポイントは入社日ではなく給与の支給日です。
年末調整の対象となるのは、その年の1月1日から12月31日までに支払うことが確定した給与です。
国税庁でもそのように定められています。
たとえば「当月末締め・翌月25日払い」の会社に12月1日入社した場合、12月分の給与が振り込まれるのは翌年1月25日です。
この給与は翌年分の収入として扱われます。
- 年内に給与が支払われた → 転職先で年末調整。源泉徴収票を提出する
- 年内に給与が支払われなかった → 転職先では年末調整できない。自分で確定申告する
12月入社の方は、まず給与の締め日と支給日を確認してください。
出典:国税庁 No.2668 年末調整の対象となる給与
年内に2回以上転職した場合:全社分の源泉徴収票が必要
年内に2回、3回と転職した場合も、年末調整を行うのは最後に在籍している1社だけです。
ただし、その年に給与を受け取ったすべての会社の源泉徴収票を提出する必要があります。
2社分あれば2枚、3社分あれば3枚です。
国税庁は、前職の給与額や源泉徴収税額を確認できない場合、年末調整を行えないとしています。
その場合は、本人が確定申告で精算すると明記しています。
1社分でも欠ければ年末調整はできません。
なお前職で扶養控除等申告書を提出していなかった場合(源泉徴収票に「乙欄」と記載されるケース)、その給与は合算対象外となります。
そのため確定申告が必要です。
迷ったら源泉徴収票を人事に見せて確認しましょう。
【一覧表】入社月 × 年末調整の可否 × やること
ご自身のケースを探してみてください。
| あなたの状況 | 年末調整 | やること |
|---|---|---|
| 1月入社(前年12月に給与支給が完了) | 転職先で実施 | 前職分の提出は原則不要 |
| 1月入社(前職の12月分が1月振込) | 転職先で実施 | 当年分の源泉徴収票を提出 |
| 1月〜10月入社 | 転職先で実施 | 前職の源泉徴収票を提出 |
| 11月入社 | 転職先で実施(締切次第) | 至急、源泉徴収票を入手 |
| 12月入社(年内に給与あり) | 転職先で実施 | 前職の源泉徴収票を提出 |
| 12月入社(年内に給与なし) | 対象外 | 自分で確定申告 |
| 年内に2回以上転職 | 転職先で実施 | 全社分の源泉徴収票を提出 |
| 年内に再就職しなかった | 対象外 | 自分で確定申告(還付の可能性大 |
1月入社の方は要注意です。
前職の12月分給与が翌年1月に振り込まれた場合、その給与は支払日ベースで当年の収入になります。
「12月に辞めたから関係ない」と思い込まず、最後の給与の振込日を必ず確認してください。
いずれのケースでも鍵を握るのは前職の源泉徴収票です。
【転職時の年末調整】前職の源泉徴収票のもらい方・提出期限
「そもそも源泉徴収票はいつ届くの?」
「まだ来ないけど催促していいの?」
入手のタイミングと提出期限がわかれば、焦る必要があるかどうかを判断できます。
なぜ前職の源泉徴収票が必要なのか
理由は明快です。
その書類がないと、会社は法律上あなたの年末調整ができないからです。
国税庁は中途入社者の年末調整について、前職の給与額や源泉徴収税額を源泉徴収票などで確認するとしています。
この確認ができないときは年末調整を行えず、本人が確定申告で精算すると定めています。
つまり源泉徴収票の提出は、会社への義理でも社内ルールでもありません。
年末調整を受けるための条件です。
いつもらえる?退職後1か月以内の交付義務がある
源泉徴収票の交付は会社の任意ではありません。
所得税法第226条により、年の途中で退職した人には退職の日以後1か月以内に交付する義務があります。
10月15日に退職したなら、11月14日までに交付されるのが原則です。
実務上は最後の給与が確定してから発行されます。
退職月の給与が翌月払いの会社では、その支給日以降になることもあります。
なお、正当な理由なく交付しない場合には、罰則の対象です。
「まだ届かない」という状況は、遠慮せず問い合わせて構いません。
転職先への提出はいつまで?
会社が指定する年末調整の書類提出期限が、そのまま源泉徴収票の提出期限になります。
目安は11月中旬から12月上旬です。
- 10月頃:会社から年末調整の書類が配布される
- 11月上旬〜中旬:申告書と源泉徴収票を提出
- 12月:会社が計算し、12月または1月の給与で過不足を精算
締切は会社によって異なります。
入社したばかりで社内スケジュールがわからない場合は、人事担当者に直接確認するのが確実です。
コピーではダメ?原本が必要な理由
原則として多くの会社では原本の提出が求められます。
ただし、法律上、紙の原本を提出しなければならないと一律に定められているわけではありません。
勤務先によって提出方法は異なり、原本を求められる場合もあれば、コピーや電子データで受け付けてもらえる場合もあります。
提出方法は事前に担当部署へ確認しましょう。
原本を提出すると手元に残らなくなるため、不安に感じる方もいるでしょう。
手元に控えを残したい場合は、次の方法があります。
- 前職に再発行を依頼する……控えが必要な場合は再発行が可能か相談してみましょう
- 提出前にコピーやスキャンを取っておく……手元用の控えとして残せます
確定申告で使う予定がある方も、事前に控えを取っておくと安心です。
なお源泉徴収票は電子データでの交付も認められています。
前職がクラウド型の給与システムを導入していた場合、退職後もマイページからダウンロードできることがあります。
郵送を待つ前に確認してみてください。
【ケース別】源泉徴収票がない・間に合わないときの対処法
「もう年末調整の締切が近いのに、源泉徴収票が届かない」
「退職時にもらった気がするけど、どこにやったかわからない」
この章が、この記事でいちばん重要なパートです。
結論から言えば、どのケースにも打ち手があります。
最悪の場合でも、あとから税金を取り戻す方法が残されています。
ケース1:発行が遅れている → まず転職先の人事に事前相談する
前職に催促する前に、先に転職先の人事へ相談してください。
これがいちばん効果的です。
会社が設定している年末調整の締切は、社内の給与計算スケジュールから逆算した日付です。
事情を伝えれば、数日から1週間程度の猶予をもらえるケースは珍しくありません。
伝えるべきことは3つです。
- 前職の源泉徴収票がまだ届いていないこと
- 前職に確認した発行予定時期
- 提出期限を延長してもらえるか
最もまずいのは、何も言わずに締切を過ぎることです。
会社は「この人は提出しない」と判断して処理を進めてしまいます。
あとから提出しても受け付けてもらえません。
並行して、前職にも発行予定日を問い合わせておきましょう。
ケース2:紛失した → 前職に再発行を依頼する
再発行を依頼できるのは、給与を支払った会社だけです。
税務署や市区町村の窓口では再発行できません。
なお、会社が電子提出している場合は、マイナポータルで源泉徴収票の情報を取得できるケースがあります。
ただし、マイナポータルでは源泉徴収票を再発行することはできません。
必要な情報を取得できない場合や紛失した場合は、前職へ再発行を依頼しましょう。
依頼するときの実務的なポイントは次のとおりです。
- ◎ 連絡先は人事・総務・経理。退職者向けの問い合わせ窓口があればそこへ
- ◎ 発行回数に制限はない。源泉徴収票は1枚しか発行できない書類ではないので、何度でも依頼できます
- ◎ 目安は1〜2週間。郵送を含めるとそれ以上かかることもあります
年末調整の締切が迫っている場合は、依頼と同時にケース1の相談も進めてください。
ケース3:前職に連絡しづらい → 依頼メール・手紙の例文
「円満に辞めたわけではない」「担当者と気まずい」。
連絡をためらう理由は人それぞれです。
ただ、源泉徴収票の交付は会社の法的義務です。
お願いごとではありません。
事務手続きとして淡々と依頼すれば十分です。
退職理由に触れる必要も、謝罪する必要もありません。
書き方のコツは4つです。
- 件名に用件を明記する
- 氏名・在籍期間・社員番号など、相手が確認に必要な情報を先に書く
- 感情的な表現や退職の経緯には一切触れない
- 希望期限を書き添える。期限がないと後回しにされがちです
【メール例文】
件名:源泉徴収票の再発行のお願い(〇〇 〇〇)
〇〇株式会社 人事部 御中
お世話になっております。20〇〇年〇月まで〇〇部に在籍しておりました〇〇 〇〇と申します。(社員番号:〇〇〇〇)
転職先での年末調整に必要なため、20〇〇年分の給与所得の源泉徴収票をご送付いただけますでしょうか。
お手数ですが、下記までお送りいただけますと幸いです。
〒〇〇〇-〇〇〇〇 〇〇県〇〇市〇〇1-2-3 〇〇 〇〇
恐れ入りますが、〇月〇日までにお送りいただけると助かります。
ご対応のほど、よろしくお願いいたします。
メールアドレスがわからない場合は、同じ内容を手紙で送ります。
その際は返信用封筒(切手貼付・宛名記入済み)を同封すると、相手の手間が減り対応してもらいやすくなります。
ケース4:会社が応じない・倒産した → 源泉徴収票不交付の届出書
依頼しても応じてもらえない。
連絡先そのものがなくなった。
そんなときは税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出できます。
これは、源泉徴収票を交付されなかった人が使える正式な手続きです。
提出すると、税務署からその会社に対して交付するよう行政指導が行われます。
手続きの概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 源泉徴収票を交付されなかった人 |
| 提出書類 | 源泉徴収票不交付の届出書(国税庁サイトで様式を配布) |
| 添付書類 | 給与明細書が残っていればその写し |
| 提出先 | 納税地等を所轄する税務署 |
| 提出時期 | 随時(いつでも可) |
| 手数料 | 不要 |
会社が倒産した場合も同じ手続きが使えます。
破産管財人が事後処理を行っているケースでは、そこから発行してもらえることもあります。
ただしすぐに届くわけではありません。
行政指導を経るため時間がかかり、年末調整に間に合わせるのは難しいと考えてください。
急ぎの場合はその旨を税務署の担当者に伝えましょう。
間に合わなくても損はしない:還付申告は翌年1/1から5年間可能
ここまで読んで「結局間に合わなそうだ」と感じた方へ。焦る必要はありません。
年末調整に間に合わなくても、自分で確定申告すれば所得税は精算できます。
そして税金が戻ってくる還付申告なら、翌年1月1日から5年間さかのぼって提出できます。
3月15日の期限に追われる必要すらありません。
さらに、2019年4月1日以降、確定申告書に源泉徴収票を添付する必要はなくなりました。
ただし、確定申告書を作成する際は、次の項目を確認することが多いため、控えがあると安心です。
- 支払金額(額面の年収)
- 源泉徴収税額
- 社会保険料等の金額
どうしても源泉徴収票が入手できない場合、給与明細をもとにした申告が認められるケースもあります。
給与明細は必ず保管しておいてください。
手続きはスマホとマイナンバーカードがあれば、e-Taxで自宅から完結します。
ただし、2つだけ避けてください。
- △ 金額を推測で書かないこと。 事実と異なると、あとから修正申告を求められます
- △ 未提出のまま放置しないこと。 納めすぎた税金は、申告しない限り戻ってきません
確定申告と聞くと身構えてしまいますが、いまは会計ソフトの案内どおりに入力するだけで申告書を作成できます。
無料で試せるものが多いので、まずは画面を見てみるところから始めてみてください。
前職の源泉徴収票を「提出したくない」場合はどうする?
「前職の年収を知られたくない」「休職していた時期がある」「副業のことを詮索されたくない」。
提出をためらう理由は人それぞれです。
結論から言えば、提出しないという選択はできます。
ただし、その場合は自分で確定申告する義務が生じます。
ここを誤解したまま「出さない」を選ぶと、あとで大きな損をします。
提出しないこと自体は違法ではない
従業員が転職先に源泉徴収票を提出する法的義務はありません。
混同されやすいのですが、法律で義務づけられているのは「会社が退職者に源泉徴収票を交付すること」です。
受け取った本人が次の会社に提出する義務までは定められていません。
提出は、年末調整を会社に代行してもらうための条件にすぎないのです。
ただし、所得税を納める義務そのものは消えません。
会社に年末調整してもらうか、自分で確定申告するかの違いです。
提出したくないなら「自分で確定申告する」と伝えればよい
やることはシンプルです。人事担当者にこう伝えてください。
「前職分は自分で確定申告しますので、年末調整は御社の給与分のみでお願いします」
理由を説明する必要はありません。
実務上まったく珍しい対応ではないので、人事担当者も慣れています。
やってはいけないのは、何も言わずに出さないことです。
会社は督促を続けますし、あなた自身も確定申告を忘れてしまいます。
意思表示だけは必ずしてください。
源泉徴収票から会社にわかること・わからないこと
何が伝わるのかを知れば、判断しやすくなります。
| わかること | 直接はわからないこと |
|---|---|
| 前職の会社名・所在地 | 退職理由 |
| 前職での年収(支払金額) | 月ごとの勤務状況 |
| 源泉徴収された所得税額 | 休職していたかどうか |
| 社会保険料の金額 | 職位や評価 |
| 扶養親族の情報 | 転職回数 |
ただし過信は禁物です。
在籍期間に対して年収が極端に低ければ、短期間の勤務や休職を推測されることはあります。
「絶対にわからない」と考えるのは危険です。
副業を知られたくない場合の本当の論点は「住民税」
副業が理由で提出を迷っている方は、論点がずれている可能性があります。
副業が会社に伝わる典型的な経路は、源泉徴収票ではなく住民税です。
- 各勤務先が「給与支払報告書」を市区町村に提出する
- 市区町村がすべての収入を合算して住民税額を決定する
- 本業の会社に「特別徴収税額決定通知書」が届く
- 経理担当者が「前年より天引き額が多い」と気づく
つまり、源泉徴収票を出さなくても、住民税の経路は塞げません。
対策としては確定申告書第二表の「住民税に関する事項」で「自分で納付」(普通徴収)を選ぶ方法があります。
ただし、適用には限界もあります。
- △ 副業がアルバイト・パートなど給与所得の場合、原則として特別徴収が義務とされ、切り替えられないことがほとんどです
- △ 自治体によって運用が異なり、普通徴収を認めないケースもあります
なお、就業規則上の副業の可否は税務とは別問題です。
まずは自社の規定を確認してください。
【注意】確定申告を自分でしないと追徴・延滞のリスクがある
「提出しない」を選ぶなら、確定申告はセットです。
納税が必要だったにもかかわらず期限内に申告しないと、無申告加算税がかかります。
税務調査を受けてからの申告では、納付すべき税額のうち50万円までは15%、50万円超300万円までは20%、300万円超は30%が上乗せされます。
さらに納付日までの延滞税もかかります。
税務署の調査は最大5年、悪質と判断されれば7年さかのぼれます。
一方、還付になるケースにペナルティはありません。
ただし申告しなければ、戻るはずの税金は戻ってこないままです。
転職した年は還付になる人が多いので、これも実質的な損失です。
いずれにしても、リスクは「提出しないこと」ではなく「申告しないこと」にあります。
期限を過ぎた場合も、税務調査の前に自主的に申告すれば加算税は軽減されます。
気づいた時点で早めに動いてください。
転職者の年末調整に必要な書類と書き方
「書類の名前が長すぎて、何を書けばいいのかわからない」。
年末調整でつまずくのは、たいていここです。
安心してください。転職者だからといって特別な書類はありません。
通常の従業員と同じ申告書に、前職の源泉徴収票を1枚添えるだけです。
なお令和8年分の様式は、令和8年6月末に国税庁で公開されています。
用紙の年分表記を確認してから記入してください。
転職者が提出する3つの申告書
年末調整で使う申告書は3種類です。実務では略称で呼ばれることもあります。
| 申告書 | 略称 | 対象 |
|---|---|---|
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | マル扶 | 全員必須 |
| 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 | マル基配特所 | ほぼ全員 |
| 給与所得者の保険料控除申告書 | マル保 | 該当者のみ |
これに加えて、転職者は前職の源泉徴収票を提出します。
追加で必要なのはこれだけです。
扶養控除等(異動)申告書の書き方
転職者の場合、この書類は入社時にすでに提出しているケースがほとんどです。
年末調整では内容に変更がないかを確認するだけで済むこともあります。
記入するのは氏名・住所・マイナンバーと、扶養している家族の情報です。
独身で扶養家族がいない方は、上部の本人情報だけで完結します。
最も注意すべきなのは、提出先を1か所に絞ることです。
誤って2社に提出すると両方で「甲欄」が適用され、毎月の源泉徴収額が本来より少なくなります。
結果として年末調整では精算しきれず、自分で確定申告して不足分を納めることになります。
令和8年分では、19歳以上23歳未満の親族の記載ルールが変わっています。
- 本人情報欄 → 転職者もここは通常どおり記入
- 提出先の会社名欄 → 提出は1社のみ(前職には出さない)
- B欄(控除対象扶養親族等) → 19〜22歳の子がいる場合、子の所得見積額に応じて判定
基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書…の書き方
転職者がいちばん注意すべきなのが、この申告書です。
理由は「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」という欄があるからです。
ここには前職分の給与も含めた金額を書きます。
転職先の給与だけで計算すると、控除額の判定を誤ります。
計算の手順はこうです。
- 前職の源泉徴収票の「支払金額」を確認する
- 転職先から年内に受け取る見込みの給与を足す
- 合計額から給与所得控除を差し引いて所得金額を出す
見積額なので、1円単位で正確である必要はありません。
ボーナスの額が確定していない場合は、おおよその見込みで構いません。
令和8年分では基礎控除額の引き上げに伴い、「控除額の計算」の表が改正後の金額に修正されています。
前年の記憶で書かず、必ず手元の用紙の表を見てください。
- 収入金額欄 → 「前職+現職の合計額を記入。ここが転職者の最重要ポイント」
- 控除額の計算表 → 「令和8年分は金額が変わっています」
- 配偶者の所得見積額欄 → 「配偶者も年内に転職している場合は合算」
保険料控除申告書の書き方
生命保険や地震保険に加入している方、離職期間中に国民年金などを自分で払った方が記入します。
該当がなければ提出不要な会社もあります。
記入する主な控除は、生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除の4つです。
いずれも保険会社などから届く控除証明書の添付が必要なので、秋ごろに郵送されてきたら捨てずに保管しておいてください。
令和8年分では、23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例に対応した記載欄が追加されています。
- 生命保険料控除欄 → 「令和8年分は23歳未満の扶養親族がいる場合の欄が追加」
- 社会保険料控除欄 → 「離職期間中に払った国保・国民年金はここ」
- 添付欄 → 「控除証明書の原本を貼付」
前職の収入はどこに書く?
前職の給与額や源泉徴収税額を書き込む欄は、申告書にはありません。
これらの数字は、会社が源泉徴収票を見て社内の帳簿(源泉徴収簿)に転記します。
合算の計算は会社側の仕事なので、自分で書き写す必要はないのです。
ただし1か所だけ、前職分が関係する欄があります。
前述した基礎控除申告書の「合計所得金額の見積額」です。
ここだけは前職分を含めて計算してください。
【見落とし注意】離職期間中の国民年金・国民健康保険は必ず記入する
ここを書き忘れると、戻るはずの税金が戻ってきません。
転職までに空白期間があった方は、その間、国民年金と国民健康保険に自分で加入して保険料を払っていたはずです。
これらはすべて社会保険料控除の対象になります。
記入場所は保険料控除申告書の「社会保険料控除」欄です。
必要な書類は、控除の種類によって異なります。
- 国民年金……日本年金機構から届く控除証明書の添付が必須
- 国民健康保険……証明書は不要。年間の支払額がわかれば記入できます
さらに知っておくと得なのが、家族分も控除できるという点です。
生計を一にする配偶者や親族の保険料を自分が支払った場合、その分も自分の控除に含められます。
一方で、失業給付(基本手当)は非課税なので記入不要です。
収入として申告する必要はありません。
【2026年・令和8年分】転職時の年末調整で変わったこと
「去年と同じつもりで書いたら、金額が合わない」。
令和8年分は、そうなりやすい年です。
令和8年度税制改正で、所得税の課税最低限が178万円まで引き上げられました。
しかも転職者にとって見逃せない事情があります。
この改正、毎月の給与にはまだ反映されていません。
所得税の非課税ラインが178万円に引き上げ
所得税がかかり始める年収ラインは、この3年で大きく動いています。
- 2024年まで……103万円
- 2025年(令和7年分)……160万円
- 2026年(令和8年分)……178万円
178万円は、2つの控除を足した金額です。
| 控除 | 本則 | 特例加算 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 基礎控除 | 62万円 | 最大42万円 | 最大104万円 |
| 給与所得控除の最低保障額 | 69万円 | 5万円 | 74万円 |
基礎控除の本則は58万円から62万円へ、給与所得控除の最低保障額は65万円から69万円へ引き上げられました。
基礎控除が最大104万円になるのは、合計所得金額489万円以下(給与収入のみなら約665.5万円以下)**の方です。
なお特例加算は令和8年分・令和9年分の2年間限定の時限措置とされています。
扶養親族等の所得要件が58万円→62万円に
控除額が変わると、扶養の判定基準も変わります。
配偶者控除や扶養控除の対象となる合計所得金額の要件が、58万円以下から62万円以下に引き上げられました。
勤労学生控除の所得要件も85万円から89万円に緩和されています。
配偶者やお子さんがアルバイト・パートで働いている場合、去年は扶養から外れていた方が今年は対象になることがあります。
申告書に扶養親族の所得見積額を書くときは、必ず今年の基準で判定してください。
【重要】月次の源泉徴収に反映されていない分は年末調整で精算される
ここが令和8年分で最も重要なポイントです。
今回の改正は原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。
ところが、令和8年1月から11月までの毎月の源泉徴収は、改正前の税額表のまま行われています。
税額表そのものの改正が適用されるのは令和9年1月の給与支払分からです。
- 1月〜11月……改正前の基準で多めに天引きされている
- 12月の年末調整……改正後の基準で計算し直し、差額をまとめて精算する
結果として、令和8年分は例年より還付額が大きくなる方が多くなります。
「今年はやけに戻ってきた」と感じたら、この改正が理由です。
逆に言えば、年末調整を受けそこねると、この減税分を受け取れないまま年を越します。
前職の源泉徴収票が間に合わない方は、確定申告を忘れないでください。
出典:国税庁 令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし
転職者が特に注意すべき点
改正の恩恵を確実に受けるために、転職者は2点だけ気をつけてください。
1つ目は、控除の重複申告を避けることです。
前職ですでに扶養控除等申告書を提出していても、年末調整を行うのは転職先の1社だけです。
両方に申告すると、あとで精算が必要になります。
2つ目は、合計所得金額の見積額を正確に書くことです。
令和8年分・令和9年分の基礎控除特例加算は、合計所得金額489万円(給与収入約665.5万円)と655万円(給与収入約850万円)のラインで控除額が変動します。
前職分を含め忘れて所得見積額を低く書くと、本来より高い基礎控除(104万円)が適用されてしまい、あとから追徴課税が発生するリスクがあります。
転職の年末調整に関するよくある質問
年末調整の対象は12月31日時点で在籍している人なので、前職では実施されません。
前職の源泉徴収票を提出すれば、転職先が2社分を合算して精算します。
まずは前職に再発行を依頼し、同時に転職先の人事へ提出期限の延長を相談してください。
前職の源泉徴収票を期限までに提出できれば、年末調整だけで完結します。
間に合わなかった場合にかぎり、確定申告で精算します。
1社分でも欠けると年末調整ができないため、確定申告が必要です。
提出しないこと自体は違法ではありませんが、転職先は年末調整ができません。
提出も申告もしないと、追徴課税や延滞税のリスクがあります。
年の途中で収入が途絶えた分、所得税を納めすぎているケースが多く、還付を受けられる可能性が高いパターンです。
扶養控除等申告書を提出していれば対象になります。
年内にパート先を変えた場合も、前の勤務先の源泉徴収票を提出して合算します。
10月以降は源泉徴収票が年末調整の締切に間に合わないことがあり、確定申告が必要になる可能性があります。
まとめ|転職した年の年末調整でやるべきこと
最後に、やるべきことをチェックリストで確認しましょう。
- 12月31日時点で転職先に在籍しているか確認した
- 前職の源泉徴収票を入手した(届かない場合は前職と転職先の両方に連絡した)
- 会社が指定する提出期限を人事に確認した
- 基礎控除申告書の「合計所得金額の見積額」に前職分を含めて計算した
- 離職期間中の国民年金・国民健康保険を保険料控除申告書に記入した
転職した年の年末調整は、前職の源泉徴収票さえ手元にあれば難しいものではありません。
そして万が一間に合わなくても、確定申告という道が5年間残されています。
特に令和8年分は、税制改正による減税分が年末調整でまとめて精算される年です。
手続きを飛ばすと、その分を受け取り損ねてしまいます。