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2020.07.17
リードブレーン株式会社
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会社法秩序を破った者に関する欠格事由にはどのようなものがあるか
犯罪者は取締役の欠格事由となりますが、会社法秩序を破る罪とそれ以外の罪とでは扱いに違いがあるのかどうか皆さんはご存知でしょうか。また、欠格事由となる会社法秩序を破る罪にはどのようなものがあるのかについて今日は解説します。
取締役の欠格事由 会社法関連の罪とそれ以外の罪との違い
会社法秩序を破る者に対する罪とそれ以外の罪とでは、前者は罰金刑でも欠格事由になるなど違いがあります。また、欠格事由となる会社法秩序を破る罪とは会社法上の特別背任罪などのほか、金融商品取引法、破産法等の倒産法制上の一定の罪を犯した場合も含まれます。
会社法331条1項3号は会社法秩序を破る罪を犯した場合、4号はそれ以外の犯罪を犯した場合の取締役の欠格事由を定めています。
前者は罰金刑でも欠格事由となり、また、執行猶予中及び刑の執行が終わり又は刑の時効が完成した後2年を経過するまで欠格事由となる点で後者よりも厳しい取扱いを受けています。これは、会社法秩序を破る罪を犯した者はそうでない罪を犯した者よりも取締役にふさわしくない者と判断されるため、厳しい取扱いをすることが適切であるとの理由によるものです。
取締役の欠格事由となる会社法秩序を破る罪
取締役の欠格事由となる会社法秩序を破る罪とは、①会社法が定める罪、②一般社団法人及び一般財団法人に関する法律上の罪のほか、③金融商品取引法に定める一定の罪、④各種倒産法制(民事再生法、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律、会社更生法、破産法)に定める一定の罪をいいます。
会社法だけでなく、金融商品取引法や各種倒産法制上の犯罪についても取締役の欠格事由とした理由は、前者はわが国の金融商品取引の基本法であって、とくに公開会社に関する秩序と密接不可分であり、また、各種倒産法制は同法制が株式会社の精算処理手続を規律する法律として会社法秩序と密接不可分であるからです。
ただし、金融商品取引法に定める罪であっても、例えば業態変更の認可違反の罪(金商205の2の2)など金融商品取引業者だけを対象とした犯罪や、各種倒産法制に定める罪であっても、例えば破産管財人の特別背任罪(破267)など当該法制上特別な地位にある者だけを対象とした犯罪があります。
そこで、会社法は会社法秩序の維持と密接不可分であるか否かの観点から、金融商品取引法ないし各種倒産法制に定める罪のうち、一定の罪だけを欠格事由としています(会社331①三)。
会社法秩序を破った者に関する欠格事由のまとめ