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2020.05.26
リードブレーン株式会社
テーマ:
[新型コロナ資金繰り] 「雇用調整助成金」特例措置の申請要件・助成内容と必要書類
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新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年1月以降、事業を営む人のほとんどは雇用維持に不安を抱えているのではないでしょうか。
こうした窮状への支援策として、厚生労働省では「雇用調整助成金」に特例を設け、従業員に支払う手当の積極的な給付を開始しています。助成金制度について初めて知る人でも特例申請を検討できるよう、申請要件と支援内容について分かりやすく解説します。
そもそも「雇用調整助成金」とは
そもそも「雇用調整助成金」とは、経営事情により稼働人数を減らす必要に迫られた事業所へ、申請に応じて休業・シフト短縮・教育訓練の際に支払う従業員手当を給付する制度です。
従来からある通常の制度は、申請要件が厳しく手続きも複雑であり、手当に対する給付の割合(=助成率)も限られていました。
今回の感染症拡大の危機を受けて、より申請しやすく充実した支援内容とするべきとの考えから、一時的に制度内容の拡充を図った「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例」(以下“特例措置”または“感染症特例”)が設けられています。
雇用調整助成金の感染症特例とは
今回の特例措置は、2020年4月1日~同年6月30日に届出を提出した事業主が適用対象です。ただし、助成の範囲は感染症拡大の状況に対応し、同年1月24日以降にさかのぼって以降の休業に対し給付されます。
下記の表では、先述の通常制度に対する拡充内容をまとめています。
比較項目 |
感染症拡大に伴う特例措置 |
通常制度 |
---|---|---|
助成率 |
中小企業:4/5~1/1 |
中小企業:2/3 |
受給要件 |
生産指標:前年同期比5%以上減 |
生産指標:前年同期比10%以上減 |
申請対象者 |
事業主・労働者 |
事業主 |
その他 |
通常の支給限度日数とは別に給付される |
支給限度日数あり |
※赤字=特例措置による拡充部分
以降は申請を検討する事業主の参考となるよう、表の拡充内容を交えて感染症特例の詳しい内容を解説します。
感染症特例の申請要件
雇用調整助成金の感染症特例では、申請要件として以下4点すべてを満たすことが挙げられています。
【雇用調整助成金】事業者の要件(感染症特例)
- 感染症の影響で経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
- 一斉休業もしくはシフト調整をしている(短期一斉休業の要件)
- 労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている(生産指標の要件)
- 最近1か月間の生産指標が前年同月比で5%以上減少している
特例措置のポイントは②と③の要件です。
②では、営業自粛期に一斉に従業員を休ませた場合のみだけではなく、シフト短縮での営業・在宅での教育訓練実施も申請要件とみなされます。
感染症の影響を具体的に示す③では、売上高あるいは「売上高÷従業員」を生産指標とします。
また、生産指標の減少幅は「休業月の前々年の同月」もしくは「休業月の前々月からさかのぼった1年間のうちの任意の1月」と比較しても構わないとされています。
こうした柔軟な対応により、設立まもない事業所・売上高が変動しやすい事業所でも申請要件を満たせるようになりました。
感染症特例の助成額
感染症特例の助成額は、原則として労働者1人あたり1日8,330円が限度です。
その上で、解雇しなかった事業者のほうが多く給付を受けられるよう助成率が定められています。
【助成率】(いずれも上限額は8,330円)
中小企業:支払った手当の5分の4(解雇なしの場合は10分の9)
大企業:支払った手当の3分の2(解雇なし場合は4分の3)
下記で解説する中小企業向けの追加助成を含め、本特例措置による助成金は、通常制度の支給限度日数(1年間で100日かつ3年間で150日)には含まれません。
感染拡大前の直近で助成を受けていても、特例措置による給付を日数無制限で受けられます。
【中小企業向け】60%超過分の手当は全額給付の対象に
下記の要件を満たした中小企業は、支払った手当の60%分について10分の9の助成を得た上で、残りの40%については8,330円を限度に全額給付されます。
【100%助成の要件】※中小企業のみ
- 解雇せずに雇用を維持した
- 特措法に基づく休業要請(もしくは営業時間短縮の要請)に協力している
- 「休業手当の100%」もしくは「手当全額のうち60%以上かつ8,330円以上」を支払っている
【例】都道府県庁の要請に従い20日間休業し、従業員1名に対し休業手当の全額にあたる20万円(日額1万円)を支払った場合
→支給額は18.8万円(12万円÷10×9+8万円)
雇用調整助成金の申請方法
雇用調整助成金の申請先は、事業所所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークです。
通常制度では休業実施前にその計画(下記①)を届け出る必要があるところ、感染症特例では休業明け以降の届出でも構いません。
申請の際は以下の書類を提出します。
【申請書類】
- 休業等実施計画(変更)届
- 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
- 支給要件確認申立書
- 助成額算定書
- 休業・教育訓練実績一覧表
- 役員等一覧表
※上記申請書類は厚生労働省ホームページ(リンク)で書式ダウンロード可能です。
【添付書類】
- 労使間で締結した休業協定書
- 売上の低下が分かる書類
- 事業所規模が分かる書類(労働者名簿や役員名簿でも可)
- 所定の労働条件が分かる書類(就業規則・給与規定など)
- 休業期間中の労働実績が分かる書類(タイムカードなど)
- 休業期間中の手当支給実績が分かる書類(賃金台帳の写しなど)
※休業前にその計画を届け出る場合、①に⑦~⑨を添付して提出します。
感染症拡大に伴う特例措置では、資本額の確認に必要な「履歴事項全部証明書」は必須ではありません。⑧に記載した通り、事業所規模は在籍人数が分かる書類で証明できます。
また、⑦休業協定書は労働者代表の署名捺印があれば良く、労使間協定に対する各従業員の同意書(委任状)は不要です。
「雇用調整助成金」感染症特例のまとめ
「雇用調整助成金」の新型コロナウイルス感染流行による特例措置は、申請要件・必要書類の両方がシンプルに整理された上で、通常制度に比べて手厚い給付を受けられるのが特徴です。
雇用維持を図りつつも営業自粛に協力した中小企業にとっては、支給した従業員手当のうち限りなく100%に近い額を回収できるのがメリットと評せます。
2020年5月現在、各地の労働局に助成金の申請が集中しています。手続きが簡素とはいえ、申請時に不備を指摘され、助成開始が遅れる可能性は否めません。
弊社では、事業主の皆様が一刻も早く助成を受けて再起の糧に出来るよう、個別の丁寧なアドバイスと申請のスピード化を図っています。まずはご相談ください。
■この記事の参考
『雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)』/厚生労働省