COLUMN
お役立ちコラム
2020.03.05
リードブレーン株式会社
テーマ:
【コラム】最も簡単な機関設計とは?
最も簡単な機関設計とは?
事例
当社は、現在、取締役3名と監査役1名がおり、取締役会設置会社となっていますが、代表取締役以外は、その他の取締役も監査役も名目的な存在に過ぎません。会社法では、簡単な機関設計ができるようですが、最も簡単な機関設計は、どのような機関設計でしょうか。
ポイント
実務解説
最も簡単な機関設計は、非公開会社では株主総会と取締役1名という機関構成となります。
会社法施行により可能となったより簡単な機関構成
現行会社法では、有限会社が廃止され、非公開会社(全株式譲渡制限会社)に吸収されました。これにより、従前の有限会社に認められていた社員総会と取締役という機関構成が、株式会社においても株主総会と取締役のみの機関構成が可能となりました。そこで、平成17年会社法制定前の、従前の株式会社において取締役会と監査役が強制されていた会社においても、機関構成を簡素化し、株主総会と取締役とする定款変更を行う例が見られるようになりました。
従前の株式会社の機関構成の簡素化の需要
会社法制定前の株式会社では、商法により株式会社の機関構成として取締役会及び監査役の設置が義務付けられていたため、3名以上の取締役や監査役となる者について適切な人材が得られないため、名前だけの名目的な取締役や監査役が就任するといった弊害が多くの小規模閉鎖会社に見られました。会社法の制定を機に、定款変更により、株主総会と取締役のみの機関とすることにより名目的な役員を設ける必要はなくなりました。
定款変更と役員の任期
定款変更の内容としては、取締役の員数につき「当会社の取締役は、1名以上とする」。とし、取締役会及び監査役の設置するとの規定等を削除することになります。
定款変更により監査役の設置を廃止することにすると、その効力発生時に監査役の任期が満了することになるため(会社336④一・三)、任期途中の監査役について、特に辞任や解任決議は不要です。
しかし、取締役については、その任期の途中に定款変更をして員数を1名にしたい場合には、1名を超える取締役に辞任してもらうか株主総会決議で解任する必要があります。解任決議の場合、解任によって生じた損害を賠償しなければならなくなる場合もあるので(会社339②)、事前の話合いにより辞任届を取得しておくべきでしょう。
解任の正当な理由として認められる主な例としては、心身の故障によって職務が遂行できない場合、法令違反があった場合、経営の失敗や能力の欠如などが挙げられます。反対に私情による解任は正当な理由として認められません。