COLUMN
お役立ちコラム
2019.07.03
リードブレーン株式会社
テーマ:
【コラム】外国人のみで日本に株式会社を作る場合の注意事項は?
〇外国人のみで日本に株式会社を作る場合の注意事項は?
事例
私はA国法人に勤務しているA国人で、これまでに何度も商用で日本に出張しています。すっかり日本が気に入り、ビジネス上の人脈もできたので、意気投合した日本在住のB国人と日本で株式会社を作ろうという計画が持ち上がっています。どのような点に注意すればよいのでしょうか。
ポイント
実務解説
会社法では、外国人が発起人となることを制限する規定はなく、日本人の場合と設立手続は基本的に同じです。従前は、代表取締役のうち少なくとも1名は日本に住所を有しなければ会社設立登記の申請は受理すべきでないとされていましたが(昭59・9・26民四4974民事局第四課長回答)、この住居者要件は撤廃されました(平27・3・16法務省民商29)。
会社設立の手続
外国人が発起人となって会社を設立した場合でも、定款を作成して公証人の認証を受ける必要があり(会社30①)、定款認証を受けるためには、印鑑登録証明書等を提出して発起人が人違いでないことを証明する必要があります(公証人62の3④・60・28①②)。
本事例のB国人が日本において住民登録されているものと思われますので、印鑑登録をして印鑑登録証明書の発行を受け、これを提出します。また、本事例のA国人がA国に居住していて、日本の印鑑登録証明書の発行を受けることはできない場合には、A国の領事等公的機関の署名(サイン)証明を得て、これを提出します。なお、発起人は日本人とすることも考えられます。
在留資格の取得・変更
外国人が実際に日本で会社の経営に携わる場合には、「投資・経営」をする在留資格が必要です。
まず、本事例のB国人が「日本人の配偶者等」「定住者」「永住者」「永住者の配偶者等」の在留資格を得ている場合には、日本での活動に制限がありませんので、在留資格を取得・変更する必要はありません。これに対し、「人文知識・国際業務」「企業内勤務」「技術」「技能」など、日本で活動制限のある在留資格を得ている場合、会社設立後に「投資・経営」の在留資格に変更しなければなりません。また、本事例のA国人は、日本への出張の都度「短期滞在」の在留資格を取得していたと考えられますので、会社設立後に「投資・経営」の在留資格を取得しなければなりません。
設立登記一一代表取締役の住所
会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることにより成立し(会社49・579)、株式会社の代表取締役の氏名及び住所は登記事項とされています(会社911③十四。持分会社については記載を省略)。
冒頭記載のとおり、代表取締役に関わる居住者要件は撤廃されましたが、本事例とは異なり、A国人がA国において設立した会社が日本において取引を継続してしようとする場合には日本における代表者を定めなければならず、その代表者の1名以上は日本に住所を有する者でなければなりません(会社817①)。このように、外国会社の日本における代表者については居住者要件がありますので注意が必要です。
外国人が日本で会社を設立する際の規制は緩和され、以前より敷居が低くなりました。しかし日本で活動するにあたって、自国の言葉と違う言語に苦戦することもあるのではないでしょうか。今後経営をするにあたって、自ら日本語を学び補完していくことはもちろんですが、信頼でき協力してくれる人を増やしていくことも大切です。