COLUMN
お役立ちコラム
2020.07.29
リードブレーン行政書士法人
テーマ:
外国人の不法就労などによる退去強制
外国人の一部には、不法に日本に入国したり、在留許可の範囲を超えて日本に滞在する人たちがいます。そのような外国人を法令に基づいた手続により強制的に国外へ退去させ、日本国民の安全や利益が害されるのを防ぐことも入管の仕事です。そういう場合に退去強制されることになるかは入管法に定められています。
外国人の不法就労
我が国に不法残留する外国人の数は、平成5年(約29万9千人)をピークにその増加に歯止めがかかったものの、現在でも約6万6千人に及び、その大部分は不法就労しているものと見られています。
不法就労する外国人の存在は、外国人受入れのための法制度をないがしろにし、日本の労働市場に悪影響を与えるだけでなく、風俗、治安などいろいろな分野にわたって様々な問題を引き起こしている一方で、劣悪な環境下での労働を強いられているなどの被害に遭う事案も生じています。
不法残留を理由に退去強制や出国命令を受けて日本を出国した外国人は、原則、再び日本に上陸することは一定期間できません。例えば、退去強制は5年、出国命令は1年です。不法滞在者の中には、母国での生活を支えるために、出稼ぎ目的の留学生も多いそうです。留学生を受け入れる日本側にも問題はないか、考える必要がありそうです。
退去強制手続の流れ
退去強制するか否かの決定に際しては、違反調査、違反審査、口頭審理等を通じ、事実関係のほか、外国人の情状をくみとるための手続きが慎重に行われています。退去強制事由に該当する外国人については、退去強制手続を執ることとなりますが、我が国では入管法に定める退去強制事由に該当した外国人の全てが国外へ退去されるのではなく、日本で生活歴、家族状況等が考慮され法務大臣から在留を特別に許可される場合があります。
退去強制と決定された外国人は、速やかにその国籍国などへ送還されることとなっています。直ちに送還することができないときは、送還できるようになるまで、茨城県牛久市及び長崎件大村市にある入国管理センターに収容されることとなります。
出国命令制度とその要件とは
また、不法滞在者の自発的な帰国推進のため、入国法違反者のうち、一定の要件を満たす不法在留者について、身柄を収容しないまま簡易な手続きにより出国させる「出国命令制度」があり、2018年にこの制度の対象者として出国命令書を交付された人は6,223人です。 ※出国命令により出国した者の上陸拒否期間は1年になります。
【要件】
①速やかに出国する意図をもって自ら入国管理官署に出頭したこと
②不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
③入国後窃盗罪等の所定の罪により懲役等に処されていないこと
④これまでに退去強制されたり、出国命令により出国したことがないこと
⑤速やかに出国することが見込まれること
出国命令手続の流れ
入国管理局の摘発ではなく、出国の意をもって自ら出頭して「出国命令制度」の要件を満たす場合は、収容されることなく出国することができます。摘発後にはこの選択はできませんので注意が必要です。また、出国後1年間は日本へ入国不可です。
オーバーステイになってしまった外国人の自発的な出頭を促していると言えます。
不法就労外国人対策キャンペーン月間
外国人の雇用を適正化して不法就労を防止するため、警視庁・法務省・厚生労働省が連携・協力して諸対策の推進に当たることが合意されているほか、毎年6月、政府の「外国人労働者問題啓発月間」の一環として「不法就労外国人対策キャンペーン月間」を実施し、不法就労外国人問題に係る啓発活動を行っています。