COLUMN

お役立ちコラム

2023.04.07

リードブレーン社会保険労務士法人

令和5年度「業務改善助成金」について

これまでお役立ちコラムの中でも度々取り上げてきた業務改善助成金ですが、今年度も引き続き受付が始まっています。令和5年4月1日に情報が解禁され、今回はその制度概要についてみていきます。

▶業務改善助成金とは?

中小企業・小規模事業者の生産性向上支援のため、事業場内の最低賃金を引き上げ、生産性向上につながる設備投資(機械設備やコンサルティング導入)などを行った場合に、その費用の一部を助成するものです。

 

対象となる事業者とは?

業務改善助成金を活用できる事業者は下記の3つの内容を満たす必要があります。

✓中小企業・小規模事業者であること
✓ 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること
✓解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

また申請は1法人単位での申請ではなく、工場や事務所などの労働者がいる事業場ごとに申請します。例えば事務所Aと工場B、工場Cを運営する事業者の場合、A,B,Cそれぞれの事業場ごとに申請を行います。

 

最大600万円!助成額の上限と助成率

助成上限額については、賃金を引き上げる労働者数と、引き上げる金額(コース)によって様々です。また助成率についても申請する事業場の最低賃金の金額によって異なります。下の表をご確認ください。

助成率の( )内は生産性要件を満たした事業場の場合です。生産性要件とは?

ここでの「引き上げる労働者数」の数え方は

▶事業場内最低賃金である労働者
▶事業場内最低賃金である労働者の賃金を引き上げることにより、賃金額が追い抜かれる労働者

のことを指します。事業場内最低賃金とは、事業場で最も低い時間給のことを指します。ただし、賃金引上げの対象となる労働者は雇入れ後3か月を経過した労働者にかぎります。

 

助成対象経費の拡充となる特例事業者について

以下の要件に当てはまる事業者は「特例事業者」に該当し、助成対象経費の拡充が受けられます。

▶生産量要件
売上高や生産量などの事業活動を示す指標の直近3か月間の月平均値が前年、前々年または3年前の同じ月に比べて、15% 以上減少している事業者
▶物価高騰等要件
原材料費の高騰など社会的・ 経済的環境の変化等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1か月の利益率が3%以上低下している事業者

 

受けられる拡充とは?

下記①➁の経費についても助成対象に入れることができるというものです。

①生産性向上に資する設備投資等のうち、
・定員7人以上または車両本体価格 200 万円以下の乗用自動車や貨物自動車
・PC 、スマホ、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入

➁生産性向上に資する設備投資等に「関連する経費」

 

助成金受給までの流れ

まずは事業場所在地を管轄する都道府県労働局に対し、 交付申請を行います 。労働局による申請内容の審査を経て交付決定がなされたら、申請内容に沿って事業を実施します。事業完了後、労働局に事業実績報告と助成金支給申請を行うと労働局による報告内容の審査を経て、助成金が支給されます。

つまり、交付申請や交付決定の前に導入したり、支払ってしまった経費については申請することができません。そのため賃金引上げや生産性向上に資する設備投資を検討されている場合はお早めにお近くの専門家へご相談下さい。

 

昨今の物価上昇や働き方改革など、様々な要因から従業員の賃金引上げを検討されている事業者もいらっしゃるのではないでしょうか。また効率化の為の設備投資をお考えの方もいらっしゃると思います。業務改善助成金はそんな事業者さまにぜひ活用していただきたい助成金です。しかしながら、助成金受給目的だけに取り組むことはリスクとなる場合もあり、就業規則等との兼ね合いもあるため専門家の相談のもと慎重な取組みが必要です。少しでもご検討されている場合は、ご相談から受給可能診断含め是非お気軽にお問い合わせください!

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