COLUMN
お役立ちコラム
2021.12.24
リードブレーン社会保険労務士法人
テーマ:
助成金申請における「生産性要件」とは?
助成金でよく聞く“生産性要件”について
「生産性要件をクリアすると…」助成金申請の過程でこのような言葉を聞いたことはりませんか?助成金や補助金には様々な要件が設けられていますが、今回は助成金申請で出てくる“生産性要件”について詳しく解説していきます。
そもそも“生産性”とは?
近年では少子高齢化に伴う労働力減少などの影響により、働き方改革が着実に進んでいます。また、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、長時間労働の是正や有給休暇取得率アップが推進されるなど、これまでの働き方が大きく変化しようとしています。そこで注目されているのが生産性の向上です。
生産性とは?
→成果に対する投資の割合を示すもので、アウトプット(産出・価値・成果など)をインプット(投入資源)で割った比率を指します。つまり、少ない投資で高い成果を上げるほど生産性が高い、ということになります。
助成金における生産性要件
一人一人の労働の質である“生産性”を高めることが求められている中で、行政としても生産性が高い会社や事業所には労働関係の助成金を割増にする制度を設けています。
■生産性要件の設定をしている主な助成金
雇入れ関係・・・・・・・・・地域雇用開発助成金、地域雇用開発コース
雇用環境の整備関係・・・・・人材確保等支援助成金、65歳超雇用推進助成金
キャリアアップ助成金
仕事と家庭の両立支援関係・・両立支援等助成金
人材開発関係・・・・・・・・人材開発支援助成金
最低賃金引き上げ関係・・・・業務改善助成金
たとえば、キャリアアップ助成金 正社員化コース“で申請した場合・・・
有期社員を正規社員に登用で57万円/1人 ―生産性要件クリア→ 72万円/1人
➡1人あたり15万円も割増されます!
キャリアアップ助成金は1年度1事業所あたり最大20人の申請が可能なので
生産性要件をクリアすることで最大300万円多く助成金を受給することが出来ます。
何をもって生産性の向上を示すのか?
要件を達成して助成金が割り増しされるには、行政が用意する“生産性要件算定シート”で計算をし、算出された数字が「生産性の伸び」になり、6%以上伸びている必要があります。
生産性要件算定シートに
①人件費 ②減価償却費 ③動産・不動産賃借料 ④租税公課 ⑤営業利益 を記入し
これらすべてを「付加価値」とします。※付加価値:企業が事業活動によって生み出した価値を数値で表したもの
この付加価値で表した数字に雇用保険被保険者数を割ることで生産性が算出されます。
それぞれ直近と3年前の数字を比較し、伸び率を計算します。
(直近の生産性-3年前の生産性)÷3年前の生産性
この公式によって算出された数字が6%以上あり、3年前に比べて6%以上伸びている場合に
「生産性要件」をクリアしていることになります!
<例外>
先の公式での数字が1%以上6%未満だとしても、金融期間から「事業性評価」を得ている場合、生産性予見を満たしていることになります。
「事業性評価」とは、都道府県労働局が助成金を申請する事業所の承諾を得た上で、市場での成長性、競争優位性、経営資源や強み等を金融機関に照会し、回答を参考にした上で判断します。
つまり、
3年前に比べて、従業員数は変わっていないけど利益が増えている もしくは 従業員が減っているものの利益が変わらない、あるいは利益が増えている 場合に生産性が上がっている可能性が高いと言えます。
最後に
少し難しいと感じるかもしれませんが、同じ助成金を申請するのであれば、生産性要件を満たして少しでも多くの助成金が受給できれば会社にとっても労働者にとってもプラスになります。
助成金の受給可否の診断から生産性要件について少しでも気になる方は、お気軽に弊社へご相談ください!