COLUMN
お役立ちコラム
2020.12.29
リードブレーン社会保険労務士法人
テーマ:
【労災保険】複数の会社等に雇用されている労働者への労災保険給付が変わりました!
2020年9月に労働者被害補償保険法(労災保険法)が改正され、複数の会社等で働いている労働者への労災保険給付が変更となりました。
改正法の施工日(2020年9月1日)以降に、怪我や病気になった労働者、お亡くなりになった労働者の遺族への給付が改正事項の対象となっています。概要を確認しましょう。
制度の概要
休業をした場合の給付額がすべての勤務先の賃金を基に決定
●改正前:事故が起きた勤務先の賃金額のみを基礎に給付額等が決定
●改正後:すべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎に給付額等が決定
※事故のほか、亡くなった場合や障害が残った場合の給付等も対象です。
すべての勤務先の負荷(労働時間やストレス等)が総合的に評価され労災認定されます
●改正前:それぞれの勤務先ごとに負荷(労働時間やストレス等)を個別に評価して労災認定できるかどうかを判断
●改正後:それぞれの勤務先ごとに負荷(労働時間やストレス等)を個別に評価して労災認定できない場合は、すべての勤務先の負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価して労災認定できるかどうかを判断
※対象疾病は、脳・心臓疾患や精神障害などです。
「複数の会社で働いている」の要件
今回の制度改正では、けがをしたときや病気になったときなどに、2つ以上の会社等で雇用されている方や、けがをしたときや病気になったときなどに1つの会社のみ雇用されている場合(又はすべての会社等を退職している場合)であっても、そのけがや病気などの原因・要因となるもの(例:長時間労働、強いストレスなど)が、2つ以上の会社等で雇用されている際に存在していたならば、対象となります。
※労働者の方だけでなく、特別加入者の方についても今回の制度改正の対象となります。
今回の改正は、多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えているなど、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から行われました。
従業員が被災したり、説明を求められたときに適切に対応し安心してもらえるよう、複数就業している労働者を雇用している事業主の方はぜひ覚えておきましょう。