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2019.09.01

リードブレーン社会保険労務士法人

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【コラム】賃金払いの5原則

賃金支払いの5原則

 

〇全額払の原則

賃金の一部を控除して支払うことを禁止する趣旨です。

労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすことのないようにしてその保護を図るということです。

例外的に控除できるのは次の場合です。

(1)法令に別段の定めがある場合(社会保険料、税等)

(2)労働者過半数代表との協定(いわゆる「24協定」)がある場合(社宅使用料、社内預金、労働組合費など事理明白なものについてのみ)

なお、遅刻・早退等の欠勤分の控除は、ノーワークノーペイの原則により労働者に賃金請求権がない場合、全額払いの原則の問題にはなりません。

また、賃金計算ミスなど過払い分の賃金を相殺して調整することは、予告をする、多額ではないなど、経済生活の安定が害されるおそれがない場合に、全額払いの原則に違反しません。

 

〇毎月1回以上払の原則

賃金は少なくとも月に1回以上支払わなければならない趣旨です。

賃金支払期の間隔が開き過ぎることによる労働者の生活上の不安を除くことを目的としています。

毎月とは、暦日で毎月1日から末日までです。

年俸制であっても、分割して毎月支払わなければなりません。なお、毎月一定額である必要はありません。

 

〇一定の期日払の原則

日を特定して賃金を支払わなければならない趣旨です。

支払日が不安定で間隔が一定しないことによる労働者の計画的生活の困難を防ぐことを目的としています。

特定とは、「毎月25日」などの暦日や、月給制の「月の末日」、週給制の「金曜日」などでも差し支えありません。ただし、「毎月第2土曜日」など、月7日の範囲で変動するような期日は定められません。

なお、所定支払日が休日にあたる場合は、支払日を繰り上げまたは繰り下げて支払うことが認められています。

なお、毎月1回以上払の原則、一定の期日払の原則については、以下3種の賃金について例外が認められています。

・臨時に支払われる賃金(退職手当、私傷病見舞金等)

・賞与(定期的に支給されかつ支給額が確定しているものは該当しません)

・その他上記に準ずるもので労働基準法施行規則第8条に掲げる算定期間が1カ月を超える精勤手当、勤続手当、能率手当等

 


上記の通り、法令に別段の定めがある社会保険料や税金を除いて給与は、全額支払いが決められています。労働者過半数代表との協定によって社宅使用料等の控除は可能ですが、うっかり協定にないものを控除してしまった、などといったことのないよう気を付けましょう。

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