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2019.08.30
リードブレーン社会保険労務士法人
テーマ:
【コラム】職場でありがちなトラブル事例
職場でありがちなトラブル事例
派遣は正社員応募の資格なし? 不誠実な対応に怒り心頭
派遣社員Aさんは正社員登用を希望し、当初は派遣先の上司もその働きぶりを評価していました。しかし、具体的な話が進まない中、会社がハローワークに正社員募集の求人票を出すという話を耳にします。
Aさんは上司に相談しましたが、案に相違して「派遣社員が応募しても見込みは薄い。派遣元との関係も悪化させたくないし」と冷たい返事。その後は、人間関係も気まずくなり、やる気も失せたために、退職を選択しました。
併せて、派遣先の対応に納得がいかなかったので、本社総務課に説明を求めるメールを出しました。ところが、こちらも「なしのつぶて」。思い余ったAさんが都道府県労働局の助言・指導を求めたのが、本事案です。
従業員の言い分
派遣を始めて1年が経過したころ、製造課長の方から「正社員でやりたくないか」と声をかけられました。その後、正社員と同じラインに入り、同様の作業も任されるようになりました。
ところが、せっかく正社員募集の機会が生じたというのに、逆に製造課長からストップをかけられる形となりました。課長および本社総務課に対して、派遣社員の人事についてどのような方針・姿勢で臨んでいたのかキチンとした説明を要求します。
事業主の言い分
メールによる問い合わせについては、派遣元会社や当社責任者とも協議し、事実関係等の確認も行いました。Aさんと電話でやり取りしたところ、正社員登用の経緯について誤解があったので、必要な説明を行い、当社としては既に責任を果たしたと認識しています。
指導・助言の内容
電話による回答の有無については、双方のいい分に食い違いがあるため、会社に対して再度、文書により回答を行うように助言しました。
仮に会社側が「派遣元との関係を考慮し、採用を見送った」のであれば、それは採用に関する権利侵害(および派遣法の趣旨にも抵触)となる点も指摘しました。
結果
会社側が「Aさんの人事に関する一連の動きは製造課長の個人の判断によるもので、本社としてその内容を把握していなかった。今後は、雇用管理の改善に努める」と謝罪する回答文を提出し、Aさんも「既に別会社に勤務していて、復帰は求めない」という意向を表明し、決着しました。
派遣に限らず、正社員登用を口約束しトラブルになるケースがあります。トラブルを避けるためにも担当の上司だけでなく、人事担当の方ときちんと話をし、必ず労働条件通知書を交付してもらいましょう。