体調不良で有給は当日でも使える?欠勤との違いと対処法を解説
2026.10.05
リードブレーン株式会社
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体調不良で有給は当日でも使える?欠勤との違いと対処法を解説

結論から言います。
体調不良でも有給休暇は使えます。
ただし「当日の申請」を認めるかどうかは、会社の就業規則しだいです。
「朝起きたら熱がある…。今日は休むけど、これって有給になるの?欠勤扱いだと給料減るよね?」
「上司に『有給で』って自分から言っていいの?図々しくないかな…」
急な体調不良で休むとき、有給になるか欠勤になるかは給料に直結します。
とはいえ朝の数十分で就業規則を読み込むのは現実的ではありません。
この記事では、次のことがわかります。
【今日これから休む方へ】まずやるべき3ステップ
始業まであと30分。
細かい法律の話は後回しで構いません。
まずはこの3つだけ押さえてください。
STEP1|始業10〜15分前までに電話で連絡する
原則として電話で連絡します。
上司がメールをいつ読むかは分からず、当日の欠勤は業務の割り振りに直結するためです。
メールやチャットでの連絡が社内ルールとして認められている場合は、それに従って構いません。
伝えるのは次の3点だけで十分です。
- 今日は出勤できないこと
- 症状と、このあと通院するかどうか
- 引き継ぎが必要な業務があるか
「おはようございます。〇〇部の△△です。
本日、朝から発熱があり出勤が難しい状況です。
大変申し訳ありませんが、本日はお休みをいただけますでしょうか。
このあと病院へ行き、結果は改めてご連絡いたします。
本日15時の〇〇の件は、□□さんに引き継ぎをお願いできますと助かります。」
STEP2|連絡時に「有給扱いにできますか」と一言添える
ここが最大のポイントです。
何も言わなければ、そのまま欠勤として処理される可能性があります。
有給にしたいなら、自分から申し出て構いません。
図々しいことでも何でもなく、労働者に認められた権利の行使です。
「あわせてご相談なのですが、本日のお休みは有給休暇として扱っていただくことは可能でしょうか」
「可能でしょうか」と相談の形にするのがコツです。
当日申請を認めるかどうかは会社の判断になるため、断定形よりも角が立ちません。
STEP3|出社後に有給の申請手続きをする
電話で口頭の了承を得ても、それだけでは手続きが完了していないことがほとんどです。
申請書や勤怠システムでの手続きを忘れると、そのまま欠勤控除されてしまいます。
復帰した日のうちに、所定の方法で申請を済ませてください。
件名:〇月〇日の有給休暇申請について
〇〇部長
おはようございます。
〇〇部の△△です。
〇月〇日は体調不良によりお休みをいただき、ご迷惑をおかけいたしました。
当日ご相談いたしましたとおり、同日を有給休暇として申請いたします。勤怠システムより申請書を提出しておりますので、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
【警告】連絡せずに休むのは絶対に避けてください。
事前の連絡も許可もないまま欠勤すると「無断欠勤」にあたります。
正当な理由のない無断欠勤は、戒告・減給・出勤停止といった懲戒処分の対象になり得ます。
後から「あの日は有給で」と申し出ても通らないことがほとんどです。
どんなに体調が悪くても、連絡だけは一本入れてください。
【結論】体調不良で有給は使える。ただし当日申請は会社の判断次第
「有給は労働者の権利なんだから、当日でも使えるはず」
そう思って調べ始めた人は多いはずです。
しかし実際の結論は少し違います。
体調不良で有給を使うこと自体に問題はありません。
ですが当日や事後の申請を認めるかどうかは、会社の判断に委ねられているのが法律上の建前です。
ここを最初に正確に理解しておくと、このあとの対応を間違えずに済みます。
有給休暇は「事前申請」が原則(労働基準法39条)
有給休暇のルールは、労働基準法39条5項に定められています。
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。
ただし「事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時期に変更できる」とも規定されています。
この条文は前半と後半で役割が分かれています。
-
- 前半=時季指定権:いつ有給を取るかは労働者が決められる
- 後半=時季変更権:業務に支障が出る場合、会社は別の日に変更できる
ポイントは後半にあります。
時季変更権は「事業の正常な運営を妨げる場合」にのみ行使できる権利です。
しかし会社がこれを判断するには、事前に申請が出ていなければなりません。
申請が当日の朝に来たのでは、変更するかどうかを検討する時間そのものがないわけです。
この構造があるため、有給は事前申請が原則とされています。
体調不良は前もって予定できない、という現実との間にズレが生じるのはこのためです。
当日・事後の申請を認めるかは会社の裁量とされている
「では、当日に申請しても認めてもらえないのか」という疑問については、参考になる最高裁判例があります。
此花電報電話局事件(最高裁 昭和57年3月18日)
従業員が始業時刻の約20分前に電話で年次有給休暇を請求し、当日は出勤しなかったという事案です。
就業規則には「年次有給休暇を請求する場合は、原則として前々日の勤務終了時までに請求するものとする」と定められていました。
会社は休暇の理由によっては認めるつもりで本人に理由を確認します。
ですが従業員がこれを拒んだため請求を認めず、その日を欠勤扱いとして賃金を減額しました。
この裁判で、「前々日の勤務終了時までに請求する」という就業規則の定めは労働基準法39条に違反しないとした原審の判断を是認しています。
つまり、会社が就業規則で申請期限を定めること自体は適法であり、当日申請を認めなくても直ちに違法とはいえません。
ただし、会社の裁量が無制限というわけでもありません。
事後申請に期限を設ける場合は労働者に過度な不利益とならない合理的な範囲で設定する必要があります。
就業規則で定めた申請期限を過ぎたことのみを理由に、有給の取得そのものを拒否することはできません。
近年には、申請を5営業日前に行うルールが否定され、前日夜のメールによる有給休暇の取得が認められた裁判例もあります。
ただし多くの会社は就業規則で事後振替を認めている
ここまで読んで「うちは無理かも」と思った人も、諦めるのはまだ早いです。
法律上の原則と、実際の会社の運用は別物と言えます。
多くの企業では、就業規則に「やむを得ない事由がある場合は事後の振替を認める」といった規定を設けています。
急病や忌引きなど、やむを得ない事情がある場合には事後申請を認める運用をおこなっている企業も少なくありません。
体調不良は、まさにこの「やむを得ない事由」の代表例です。
答えを決めるのは法律ではなく、あなたの会社の就業規則を確認しましょう。
まずは上司に相談してみてください。
自分の会社のルールを確認する方法
就業規則は、会社が金庫にしまっておくものではありません。
労働基準法106条により、使用者は就業規則を労働者に周知させる義務を負っています。
周知の方法は次の3つが定められています。
- 職場の見やすい場所に掲示する、または備え付ける
- 書面を交付する
- 電子データで、従業員が自由に確認できる状態にする
社内イントラネットや共有サーバー、クラウド型の勤怠管理システムに保存する方法も含まれます。
ただし閲覧にパスワードが必要な場合は全従業員がそれを把握している必要があります。
上司の許可がなければ見られない状態では周知とは認められません。
確認すべきなのは次の3点です。
- 年次有給休暇の申請期限(前日まで、〇日前までなど)
- 事後申請・欠勤からの振替に関する規定の有無
- 病気休暇・傷病休暇など、有給とは別の制度の有無
見当たらなければ、人事や総務に「就業規則を確認したい」と伝えて構いません。
これは正当な要求です。
あなたの休みは有給になる?欠勤になる?判定フローチャート
YES → Q2へ
NO・わからない → Q3へ
NO →欠勤扱いになる可能性が高い
有給と欠勤、結局どっちが得?給料はいくら変わる
「有給が減るのは嫌だけど、欠勤で給料が減るのも困る」
どちらを選ぶべきか迷っている方へ、先に結論をお伝えします。
金銭面だけで判断するなら、有給のほうが確実に得です。
有給なら給与が支払われ、欠勤なら働かなかった分が差し引かれるからです。
では実際にいくら変わるのか。
具体的な金額で見ていきましょう。
有給・欠勤・病気休暇の違い【比較表】
まず、3つの休み方の違いを整理します。
| 有給休暇 | 欠勤 | 病気休暇・傷病休暇 | |
|---|---|---|---|
| 給与 | 支払われる | 支払われない | 会社の規定による |
| 有給の残日数 | 1日減る | 減らない | 減らない |
| 出勤率の算定 | 出勤扱い | 欠勤扱い | 会社の規定による |
| 法律上の位置づけ | 労働基準法39条の権利 | 規定なし | 法定外の制度 |
| 申請のタイミング | 原則として事前 | ― | 会社の規定による |
注目したいのが「出勤率の算定」の行です。
有給休暇を取得して就労しなかった期間は、出勤したものとして取り扱うこととされています(昭和22年9月13日 発基第17号)。
有給が翌年も付与されるには「全労働日の8割以上の出勤」という要件があります。
有給を使った日はこの計算上プラスに数えられ、欠勤はマイナスに働くということです。
目先の給与だけでなく、翌年の有給付与にも関わってきます。
欠勤控除の計算式(1日あたり/時間あたり)
欠勤で差し引かれる金額を「欠勤控除」といいます。
まず前提として、欠勤控除の計算方法は法律で定められていません。
各社が就業規則や賃金規程で定めることになっており、会社によって金額が変わります。
もっとも一般的なのは次の式です。
欠勤控除額 = 月給 ÷ 月平均所定労働日数 × 欠勤日数
分母となる日数の取り方には、主に3つのパターンがあります。
- 1か月平均所定労働日数(年間の総所定労働日数÷12)…月ごとの変動がなく安定するため、多くの企業が採用
- その月の所定労働日数…月によって1日あたりの単価が変わる
- その月の暦日数…分母が大きくなるため控除額は小さくなる
遅刻や早退のように1日未満の場合は、時間単位で計算されます。
控除額 = 月給 ÷ 1年間の月平均所定労働時間数 × 不就労時間数
なお、基本給だけを控除対象とするか、諸手当も含めるかについても法律上のルールはなく、会社が任意で定めることができます。
【早見表】月給20万・25万・30万で1日欠勤した場合の減額
月平均所定労働日数を20日として試算すると、次のようになります。
| 月給 | 1日あたり | 半日 | 1日欠勤 | 2日欠勤 | 3日欠勤 |
|---|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 10,000円 | 5,000円 | -10,000円 | -20,000円 | -30,000円 |
| 25万円 | 12,500円 | 6,250円 | -12,500円 | -25,000円 | -37,500円 |
| 30万円 | 15,000円 | 7,500円 | -15,000円 | -30,000円 | -45,000円 |
月給25万円の方が風邪で3日休めば、約3万7,500円の減額です。
決して小さくない金額だとわかります。
この表はあくまで一例です。
月平均所定労働日数を20日、月給全額を控除対象として計算しています。
実際の控除額は、勤務先の月平均所定労働日数、どの手当を控除対象とするかによって変わります。
正確な金額は就業規則の賃金規程をご確認ください。
欠勤は勤怠評価・賞与・皆勤手当に影響するのか
給与以外の影響も気になるところです。
欠勤の場合、出勤日数が減ったという記録が残ります。
給与の減額にとどまらない影響が出る可能性があります。
なぜなら、勤怠評価や賞与の算定に欠勤日数を考慮する会社もあるためです。
ですが有給の場合は、法律上の保護があります。
労働基準法136条は、次のように定めています。
「使用者は有給休暇を取得した労働者に対して賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」
行政解釈でも、精皆勤手当や賞与の算定において有給取得を抑制する不利益な取扱いはしないようにすべきとされています。
ただし注意点もあります。
沼津交通事件(最高裁 平成5年6月25日)では、労基法136条は使用者の努力義務を定めたものです。
そのため、不利益取扱いの私法上の効力を否定するまでの効力はないと判断されました。
そのうえで、給与月額に対する割合が最大1.85%程度の皆勤手当の減額については、公序に反し無効とはいえないとされています。
有給休暇の権利行使を抑制し権利を実質的に失わせるものとまでは認められないとされているためです。
つまり、有給なら100%安全というわけではありません。
それでも、保護の厚さという点では欠勤とは比較になりません。
後から有給に振り替えられる?事後申請のやり方
「昨日は熱で連絡するのが精一杯だった。今からでも有給にできる?」
結論から言えば、会社が認めれば可能と言えます。
そして体調不良は、多くの会社が事後申請を認めている代表的なケースです。
ここでは、認められる条件から申請書の書き方まで、手続きの流れを具体的に見ていきます。
事後申請が認められやすいケース・認められにくいケース
その前に、一つ知っておきたいことがあります。
そもそも何時から「事後」なのか、という点です。
有給休暇は原則として暦日単位で取得するものとされています。
つまり、朝起きて熱に気づいて連絡した時点で、それはすでに事後申請になる可能性があるということです。
決して例外的なことをしているわけではありません。
そのうえで、認められやすさには傾向があります。
- 急な発熱・体調不良
- けが、事故
- 家族の急病、看護
- 身内の不幸
- 災害、公共交通機関の大規模な乱れ
- 寝坊
- 二日酔い
- 遊びの予定
会社に時季変更権を行使する機会がなかったという点は同じでも、本人の責任によるかどうかで扱いが分かれます。
遊びや寝坊といった事情では、基本的に事後申請を認めてもらえません。
なお、就業規則に事後申請の記載がなくても、慣例的に認めている事例があれば認められる可能性があります。
規程に書かれていないからと諦める前に、同僚や先輩に前例を聞いてみるのが早道です。
いつまでに申請すればいい?(給与締め日との関係)
法律には申請期限の定めがありません。
会社の就業規則によります。
ただし、実務上の現実的なリミットがあります。
給与計算の締め日です。
締め日を過ぎてから申請すると、その月の給与計算に間に合わず、翌月での調整になることがあります。
いったん欠勤控除された給与が翌月に戻ってくる形になり、手続きも複雑になります。
確実なのは、復帰した初日のうちに申請を済ませることです。
就業規則で定められた申請期限を過ぎてしまった場合でも、諦める必要はありません。
事後申請の期限は労働者に過度な不利益とならない合理的な範囲で設定する必要があるとされています。
そのため、期限を過ぎたことのみを理由に有給の取得そのものを拒否することはできないと解されています。
まずは事情を説明して相談してみてください。
申請書の「理由」欄の書き方【記入例】
申請書に理由を書く欄があると、手が止まる方は多いはずです。
難しく考える必要はありません。記入例を3パターン挙げます。
| 書き方 | 記入例 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| シンプル型 | 体調不良のため | 迷ったらこれで十分 |
| 振替明示型 | 体調不良による欠勤の振替 | 事後申請だと明確に伝えたいとき |
| やや具体型 | 発熱による体調不良のため | 上司にすでに症状を伝えているとき |
勤務先に所定のフォーマットや記入ルールがある場合は、それに従ってください。
判断に迷ったら、人事や総務に「どう書けばいいですか」と一言確認するのが最も確実です。
「体調不良」とだけ書けばOK。病名を書く義務はない
理由欄に病名まで書く必要はありません。
年次有給休暇は、理由を詳しく説明しなければ使えない制度ではないからです。
急な欠勤で業務調整が必要になるため休むことを伝えるのは実務上必要ですが、病名や症状を細かく報告し続ける義務があるわけではありません。
ただし、ここには一つ現実的な注意点があります。
此花電報電話局事件では、会社が休暇の理由によっては認めるつもりで本人に理由を確認します。
しかし従業員がこれを明らかにすることを拒んだため、年休が認められず欠勤扱いとなりました。
最高裁もこの取扱いを違法としていません。
整理すると、こうなります。
- 有給の取得に理由の申告義務はない
- しかし、当日・事後という例外的な扱いを認めてもらう場面では、事情を伝えたほうが通りやすい
病名まで明かす必要はありません。
「発熱があり出勤が難しい状況です」という程度の説明で十分です。
申請を忘れると欠勤控除されるので注意
最後に、最も多い失敗を挙げておきます。
電話で上司から「わかりました、有給にしておきます」と言われても、それだけで手続きが完了していることはほとんどありません。
申請書や勤怠システムでの手続きが別途必要です。
これを忘れると、そのまま欠勤として処理され、給与から控除されます。
対策はシンプルです。
- 復帰した初日に申請を済ませる
- 申請後、承認されたかどうかを確認する
- 翌月の給与明細で、欠勤控除が入っていないか必ずチェックする
なお、正当に有給が成立していたにもかかわらず欠勤控除されてしまった場合、その分は未払い賃金として請求できる余地があります。
明細に不審な点があれば、まず人事に確認してください。
有給がない・使い切った場合はどうなる?
「まだ入社したばかりで有給がない」
「子供の看病で使い切ってしまった」
この状況で体調を崩すと、不安は一気に大きくなります。
結論を先にお伝えすると、欠勤扱いになりますが、休むこと自体は問題なくできます。
有給が付与されるのは原則「入社6か月後」(労基法39条)
労働基準法39条では、下記の通りに定められています。
「雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して10日の有給休暇を与えなければならない」
その後の付与日数は、勤続年数に応じて増えていきます。
| 継続勤務年数 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
4月に入社した場合、付与は10月になるのが原則です。
つまり法定どおりの付与制度であれば、入社から半年間は有給がゼロの状態が続きます。
なお、パートやアルバイトに有給がないわけではありません。
週の所定労働日数が4日以下かつ週30時間未満の場合も、日数に応じて比例付与されます。
有給ゼロの状態で休むとどうなる?
有給がなければ、その日は欠勤として扱われ、働かなかった分の給与が差し引かれます。
金額の目安は、この記事の前半にある早見表をご確認ください。
ただし、ここで誤解してほしくないことがあります。
有給がないからといって、休めないわけではありません。
会社は従業員が安全に働くための配慮をする義務、いわゆる安全配慮義務を負っています。
発熱や体調不良で働くことができない状態なのに欠勤を認めず労働を強制することは、この安全配慮義務に違反するおそれがあります。
給与は減りますが、休むことは可能です。
無理して出勤する必要はありません。
新入社員・新卒が休むときに気をつけること
「入社したばかりで休むなんて、評価に響くのでは」
そう心配する人は多いはずです。
ただ、評価されるのは休んだという事実そのものではありません。
休むに至った背景と、その後の対応です。
意識したいのは次の3点です。
- 連絡を丁寧にする。始業前に自分から連絡を入れる
- 引き継ぎを明確に伝える。何が止まるか、誰に頼めるかを具体的に
- 復帰後にお礼と報告をする。カバーしてくれた人への一言を忘れない
体調が悪いまま無理に出社して周囲に感染を広げたり、業務効率を落としたりするほうが、結果的に迷惑をかけることになります。
多くの企業は、健康管理も仕事のうちだと認識しています。
子供の看病で有給が足りない → 子の看護等休暇
子育て中の人は、有給とは別枠の制度を使える可能性があります。
2025年4月に育児・介護休業法が改正され、従来の「子の看護休暇」が「子の看護等休暇」へと名称を変えて拡大されました。
主な変更点は次のとおりです。
- 対象となる子の範囲が、小学校就学前から小学校3年生修了まで(9歳に達する日以後の最初の3月31日まで)に拡大
- 取得事由に、感染症に伴う学級閉鎖等と、入園(入学)式・卒園式への参加が追加
- 労使協定により除外できる労働者の範囲が見直され、継続雇用期間6か月未満の労働者を除外する規定が撤廃
年次有給休暇とは別の制度なので、これを使えば有給の残日数を減らさずに済みます。
給与が支払われるかどうかは会社の規定によるため、利用する前に確認しましょう。
長期化しそうなら傷病手当金を検討
数日では済まず、休養が長引きそうな場合には、健康保険の傷病手当金という制度があります。
受給の主な条件は次のとおりです。
-
- 業務外の病気やけがで療養していること
- 働くことができない状態(労務不能)であると医師が証明すること
- 連続する3日間の待期期間を経て、4日目以降も休んでいること
- その間、給与が支払われていない、または減額されていること
金額の目安は、支給開始日以前の直近12か月の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2です。
おおむね給与の3分の2と考えておくとよいでしょう。
支給期間は、支給開始日から通算して最長1年6か月です。
途中で復職して働いた期間は通算されず、日数のカウントが一時的に止まる仕組みになっています。
【違法チェック】あなたの会社の対応は問題ない?
「急な体調不良で休んだら、有給は使えないと言われた。これって違法じゃないの?」
知恵袋などにはこうした投稿が数多く寄せられています。
ただ、ここで冷静になる必要があります。
おかしいと感じることと、法律違反であることは、必ずしも一致しないからです。
どこまでが会社に認められた裁量で、どこからが法律違反なのか。
線引きを整理します。
【一覧表】セーフ/グレー/アウトの線引き早見表
まず全体像を表にまとめます。
ご自身の状況に近いものを探してみてください。
| 会社の対応 | 判定 | 根拠 |
|---|---|---|
| 就業規則で「有給は前日までに申請」と定めている | セーフ | 申請期限の設定は判例上も適法 |
| 当日・事後の申請を認めず欠勤扱いにした | セーフ寄り | 法律上、認める義務はない |
| 申請期限を過ぎたことだけを理由に取得そのものを拒否 | グレー | 期限超過のみを理由とした拒否は認められないと解されている |
| 「病気での有給は認めない」と一律に拒否 | アウトの可能性 | 取得理由による拒否はできない(労基法39条5項) |
| 本人の同意なく、病欠を有給に振り替えた | アウトの可能性 | 時季指定権の侵害にあたる |
| 有給を取ったことを理由に賞与・手当を減額 | グレーからアウト | 労基法136条。程度によって判断が分かれる |
| 発熱しているのに出勤を強要された | アウトの可能性 | 安全配慮義務違反のおそれ |
| 正当に成立した有給を欠勤控除した | アウト | 未払い賃金にあたる |
この表は一般的な整理です。
実際の判断は個別の事情によって変わるため、最終的には専門家の確認をおすすめします。
「当日申請は認めない」→ 直ちに違法とは言えない
期待とは逆の結論かもしれませんが、この対応自体は違法とは言い切れません。
理由はブロック前半で触れたとおりです。
有給休暇は事前申請が原則であり、会社に事後申請を認める義務は法律上課されていません。
此花電報電話局事件では、「前々日の勤務終了時までに請求する」という就業規則の定めが労働基準法39条に違反しないと判断されています。
つまり、当日の申請を認めず欠勤扱いとする運用は、直ちに違法とはならないのが原則です。
ただし境界線があります。
事後申請に期限を設ける場合、その期限は労働者に過度な不利益とならない合理的な範囲である必要があります。
期限を過ぎたことのみを理由に有給の取得そのものを拒否することはできません。
事後申請を認めないことと、有給の権利自体を否定することは、別の話だということです。
本人の同意なく有給を消化された → 労基法違反の可能性
一方で、こちらは明確に問題があります。
いつ有給を取るかを決めるのは労働者です。
会社が本人の意向を確認せずに病欠を有給へ振り替える運用は、時季指定権を侵害するものとして労働基準法違反となる可能性があります。
罰則も定められています。
労働者が請求した時季に有給を取得させることを正当な理由なく拒んだ場合は労働基準法39条5項違反にあたります。
同法119条により6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象となります。
有給の取得を一律に「病気ではダメ」と拒否する対応も同様です。
有給は取得理由を問われない制度であるため、理由を根拠にした拒否は認められません。
発熱しているのに出勤を強要された → 安全配慮義務違反のおそれ
有給が使えるかどうかとは別に、より深刻な問題がこちらです。
会社は、従業員が安全に働くための配慮をする義務、いわゆる安全配慮義務を負っています。
発熱や体調不良で働くことができない状態なのに欠勤を認めず、労働を強制することは、この安全配慮義務に違反するおそれがあります。
「有給がないなら出社しろ」という指示は、有給制度の問題ではなく安全配慮義務の問題です。
有給の残日数がゼロであっても、出勤を強要してよい理由にはなりません。
体調不良の程度によっては、健康被害につながる重大な問題に発展しかねない領域です。
おかしいと感じたときの相談先と進め方
自分のケースが問題ありそうだと感じたら、次の順序で進めてください。
ステップ1|就業規則を入手する
まず会社のルールを確認します。
労働基準法106条により、会社には就業規則を労働者に周知する義務があります。
見られない状態にあること自体が問題です。
ステップ2|やり取りの記録を残す
いつ、誰に、どのような理由で拒否されたのかをメモしておいてください。
証拠がまったくないと相談できないわけではありませんが、資料があるほど状況を説明しやすくなります。
準備しやすい資料は次のとおりです。
-
- 雇用契約書、労働条件通知書
- 就業規則
- 有給申請書、申請メール、チャット履歴
- 給与明細、勤怠記録、シフト表
ステップ3|労働基準監督署に相談する
明らかな労働基準法違反が確認されれば、是正勧告や改善指導といった行政指導が行われます。
行政指導自体に法的強制力はありません。
ですが、従わなければ送検されて刑事罰を科されるリスクがあるため、指導によって解決するケースは多いようです。
窓口相談は平日9時から17時まで受け付けているところが多く、夜間や土日は「労働条件相談ほっとライン」が利用できます。
なお、「相談」と「申告」は別物です。
申告の形をとると会社と対立する構図になるため、穏便に済ませたい場合は相談に留めておくという選択もあります。
ステップ4|弁護士に相談する
労働基準監督署は法令違反の是正を行う機関であり、あなた個人の未払い賃金を代わりに回収してくれるわけではありません。
労働問題に強い弁護士への相談が現実的な選択肢になるパターンは次の通りです。
-
- 正当に成立していた有給が欠勤控除された分を取り戻したい場合
- 有給取得を理由に不利益な扱いを受けた場合
初回相談を無料としている事務所も多く、まず状況を説明してみるだけでも判断材料が得られます。
よくある質問(FAQ)
有給は事前申請が原則のため、当日や事後の申請を認めるかは就業規則によります。
ただし多くの会社は、やむを得ない事由として体調不良による事後の振替を認めています。
まずは上司に相談してみてください。
有給なら給与が支払われますが、欠勤では働かなかった分が差し引かれます。
出勤率の算定でも有給は出勤扱いになります。
ただし残日数を温存したい事情があるなら、欠勤を選ぶのも合理的な判断です。
診断書には費用がかかることもあり、軽い症状で医療機関に行くこと自体が現実的でない場合もあるためです。
連続して休む場合は、会社の規定を確認してください。
時間単位年休や半日単位の制度があれば適用できる可能性があります。
制度がない場合は、早退した時間分が控除されるのが一般的です。
就業規則の年次有給休暇の条項を確認してください。
半日単位の取得を認めている会社も多くあります。
導入の有無は会社によって異なるため、就業規則でご確認ください。
有給を付与するのは派遣先ではなく派遣会社だからです。
ただし実務上は、派遣先の担当者にも休む旨を連絡する必要があります。
申請方法や期限は派遣会社ごとに異なります。
気まずさを感じるかもしれませんが、体調を崩す時期は選べないものです。
通常どおり連絡してください。
ただし欠勤が長期にわたり、業務に耐えられない状態が続く場合は別の判断になり得ます。
引きそうなら、休職制度や傷病手当金の相談を優先してください。