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お役立ちコラム

2020.08.10

リードブレーン株式会社

テーマ:

社外取締役を必ず設けなければならないか

ある会社から以下の質問を頂いたので今日はそれに答えていきます。

“我が社は取締役会設置会社で、これまで代表取締役社長の長男で税理士資格のあるAさんを社外取締役に選任していました。平成26年の会社法改正により社外取締役の資格が厳しくなったそうですが、Aさんは社外取締役の要件を満たすでしょうか。仮に満たさない場合、我が社は別の社外取締役を選任しなければならないでしょうか。なお、当社は指名委員会等設置会社又は監査等委員会設置会社ではなく、特別取締役による取締役会の決議も行っていません。”

結論から述べると、Aさんは代表取締役の一親等親族ですから社外取締役の資格を満たしません。しかし、当社において社外取締役の選任は必須ではありません。ただし、金融商品取引法の有価証券報告書提出会社である監査役会設置会社においては、選任は義務ではありませんが、一定の手続は要求されます。

社外取締役の資格

以下の要件の全てを満たす必要があります。①現在、その会社又は子会社の業務執行取締役・執行役・使用人でなく、かつ、その就任前10年間その会社又は子会社の業務執行取締役・執行役・使用人であったことがないこと、②その就任前10年内のいずれかの時にその会社又は子会社の取締役・会計参与・監査役であったことがある者については、当該職への就任の前10年間その会社又は子会社の業務執行取締役・執行役・使用人であったことがないこと、③その会社の自然人である親会社等又は親会社等の取締役・執行役・使用人でないこと、④その会社の姉妹法人の業務執行取締役・執行役・使用人でないこと、⑤その会社の取締役・執行役・重要な使用人又は自然人である親会社の配偶者又は二親等内の親族でないこと(会社2十五)。上記のうち、①及び②は従前、無制限であったものが10年以内とされることにより要件が緩和され、③から⑤は新たに追加された要件です。

Aさんは代表取締役の長男とのことですので、上記⑤に該当します。したがって、Aさんは社外取締役の要件を満たしません(ただし、通常の取締役としての業務は行うことができます。)。

社外取締役の設置は義務か

取締役会設置会社で、取締役会が①重要な財産の処分及び譲受け、②多額の借金の決定(会社362④一・二)を特別取締役の決議に委ねるのではない限り(会社373①二)、社外取締役の選任は義務化されたわけではありません(なお、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社では社外取締役の選任は必須です。)。

したがって、あなたの会社では社外取締役を改めて選任する必要はありません。

社外取締役を置くことが相当でない理由の説明

ただし、有価証券報告書提出会社であって監査役会設置会社が事業年度の末日において社外取締役を置いていない場合、取締役は、定時株主総会で社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければなりません(会社327の2)。また、当該会社は、その理由を事業報告の内容とする必要があります。平成26年会社法改正では社外取締役の義務化にまでは至りませんでしたが、金融商品取引法の適用会社は社外取締役の選任を推進すべきであるとの考慮によるものです。

社外取締役を置くことが相当でない理由というのは、一体どのようなものなのか非常に抽象的でわかりにくいですね。
適任者がいないとなど単純なものにしたいところですが、これだと根拠が弱く認められません。かといって誰もが納得するような根拠を考えるのも難しいものです。以上のことを考えると、社外取締役を置くことが相当でない理由を考えるよりも最初から社外取締役を設置する方が賢明かもしれません。

社外取締役の資格・設置のまとめ

 

 

 

 

 

 

 

 

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