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2020.07.14

リードブレーン株式会社

テーマ:

会社役員を株主に限定することはできるのか?

非公開会社の場合、取締役又は監査役の資格を株主に限定することは可能かどうか、もしくは、株式譲渡制限を廃止して公開会社となる場合はどうなるのか、について今日は解説致します。

結論から言うと非公開会社(全株式譲渡制限会社)であれば、定款で取締役及び監査役(以下、「役員」といいます)の資格を株主に限ることができます。

しかしながら、公開会社(発行する株式の一部についてでも定款による株式の譲渡制限を定めていない会社。会社2五)ではそのような限定をすることはできません。

したがって、非公開会社が株式の譲渡制限を廃止して公開会社となるためには、当該定款の定めを変更する必要があります。

会社法の原則

会社法は、役員が株主でなければならない旨を定款で定めることができないと規定しています(会社331②・335①)。

株式会社では所有と経営の分離が進んでいるため、会社の所有者である株主よりも、会社経営又は監査に関する専門的知識や能力を有する者に任せた方が合理的であると考えられているからです。

非公開会社が役員を株主に限る背景

一方、会社法331条2項ただし書及びこれを準用する335条1項は、「公開会社でない株式会社においては、この限りでない。」と定めています。

非公開会社においては、所有と経営の分離が必ずしも進んでいるわけではないので、会社経営又は監査に人材を広く確保するという要請があるわけではなく、定款自治の原則によりこのような限定も許されると考えられているからです。

また、非公開会社では、株主相互の人的関係が強く、株主の変動も少ないため、役員を株主に限るとの要請が強いこともその背景にあると考えられます。

取締役の資格制限のある非公開会社が株式の譲渡制限を廃止する場合

定款の定めにより、役員の資格を株主に限定している非公開会社が株式譲渡制限を廃止して公開会社となる場合には、当該会社は上記定款の定めを変更する必要があります。

したがって、当該会社は、譲渡制限を廃止する旨の定款の定め及び取締役の資格を株主に限る旨の定款の定めを変更する必要があります。

また、定款変更を行うためには、株主総会を開催して、特別決議を経る必要があります(会社466・309②十一)。

なお、取締役の資格を日本国籍を有する者に限定することが可能であるか否かについて議論がありますが、定款自治の原則により有効と判断した裁判例があります(名古屋地判昭46・4・30判時629・28)。

小規模な会社の場合、役員を株主に限定して、所有と経営を一致させた方が物事がスムーズにいく場合も多いでしょう。反対に大企業の場合、それだけ株主の数も増えるため、ガバナンス強化の面でも所有と経営の分離がメリットとなり得るでしょう。

“会社役員を株主に限定できるかどうか“まとめ

 

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