給与支払事務所等の開設届出書とは?書き方や提出の手順を詳しく解説
2026.09.07
リードブレーン株式会社
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給与支払事務所等の開設届出書とは?書き方や提出の手順を詳しく解説

給与支払事務所等の開設届出書は、役員報酬を含めて給与を1円でも払うなら原則として必要な書類です。
従業員がいない一人社長の会社も対象になります。
期限は開設日から1か月以内。
期限を過ぎても罰則はありませんが、源泉所得税の納付もれにつながるリスクがあります。
気づいた時点で速やかに対応しましょう。
本記事では、給与支払事務所等の開設届出書について詳しく解説します。
提出不要と誤解されやすいケースや併せて提出する書類についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
- 提出が必要かを判定する3ステップ
- 一人社長で提出が「不要」と誤解するケース
- 新様式の書き方7項目と、窓口・郵送・e-Taxそれぞれの提出手順
- 期限を過ぎたときにすべき4ステップと、不納付加算税が課されない要件
給与支払事務所等の開設届出書とは
まずは、「給与支払事務所等の開設届出書」の目的や提出期限から解説します。
源泉徴収義務者であることを税務署に伝える書類
給与支払事務所等の開設届出書は「給与支払いを始めたので源泉徴収義務者になりました」と税務署に知らせる書類です。
給与を支払う人は、そこから所得税を天引きして国に納める義務を負います。
この立場を「源泉徴収義務者」といいます。
届出を受けた税務署はあなたを源泉徴収義務者として把握。
納付書や年末調整の関係書類を送ってくれるようになります。
ここで注意したいのは、「届出書を提出したことで源泉徴収義務者になる」という仕組みではない点です。
届出を出していなくても、給与(役員報酬を含む)を支払った時点で源泉徴収義務は生じます。
「届出を出さなければ源泉徴収義務を免れる」ということにはなりません。
提出期限は事実があった日から1か月以内
提出期限は、開設・移転・廃止の事実があった日から1か月以内と定められています。
「事実があった日」がいつを指すかは、以下の表を参考にしてください。
| あなたの立場 | 起算日 |
| 法人を設立した | 給与支払事務を開始した日 |
| 個人事業主が後から従業員を雇った | 原則として、従業員を雇い入れた日 |
| 家族に青色事業専従者給与を払う | 給与の支払いを開始した日 |
届出の提出期限は、会社設立や採用の手続きで最も慌ただしい時期と重なります。
後回しにすると忘れやすいため、ほかの届出とまとめて早めに提出しましょう。
給与支払事務所等の開設届出書は必要?3ステップ判定
開設届出書の提出必要か確認してみましょう。
不要と誤解されやすいパターンもあわせて紹介します。
開設していなければ、現時点では提出する必要はありません。
開設した場合はステップ2へ。
法人は原則として提出が必要です。
個人事業主はステップ3へ。
2026年1月1日以後に開業した場合は、給与支払事務所等の開設届出書を提出します。
2025年12月31日以前に開業した場合は、開業届の記載内容を確認してください。
「給与等の支払の状況」欄に記載済みなら、原則として提出不要です。
法人は「従業員ゼロ・一人社長」でも提出が必要
法人の場合は「給与支払事務所等の開設届出書」の提出が必要です。
ここでいう給与等には従業員に支払う給与だけでなく、役員報酬も含まれます。
従業員がいない一人社長でも、自分に役員報酬を払う時点で給与支払事務所に該当します。
提出期限は、給与支払事務所等を開設した日から1か月以内です。
会社の設立日や実際に給与・役員報酬を支払う日が期限の起算日になるとは限りません。
会社設立後でも当面は役員報酬を支払わない場合など、起算日に迷ったら税務署に確認しましょう。
個人事業主は開業届の記載内容によって変わる
個人事業主は、開業が2026年1月1日以後か、それ以前かによって取扱いが変わります。
まずは、2026年1月1日以後に開業した場合。
給与支払事務所等を開設したときは、開業届とは別に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出します。
提出期限は、給与支払事務所等を開設した日から1か月以内です。
一方で、2025年12月31日以前に開業した場合。
個人事業の開業届を提出することで、給与支払事務所等の開設届出書を別途提出する必要がない場合があります。
以下の表を参考にしてください。
| あなたのケース | 要否 | 期限 |
| 2026年1月1日以後に開業し、給与支払事務所等を開設した | 必要 | 開設日から1か月以内 |
| 2025年12月31日以前に開業し、開業届の提出によって開設届出書が不要となる場合 | 原則不要 | ー |
| 開業後、新たに給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設した | 必要 | 開設日から1か月以内 |
2026年1月1日以降、取扱いが変わっているため注意しましょう。
「不要」と誤解されやすい5つのケース
ひとつでも当てはまる場合は提出の対象になります。
①給与が少額で源泉徴収額が0円になる
月額105,000円未満では税額が発生しないことがありますが、それでも提出は必要です。
納付額が0円であっても、税務署は納税状況を確認しています。
②家族にしか給与を払っていない
配偶者や親族を青色事業専従者にする場合も対象です。
身内であっても支払うものが給与である以上、扱いは変わりません。
あわせて「青色事業専従者給与に関する届出書」も必要になります。
③個人事業主から法人成りした
個人時代の届出は引き継がれません。
法人化すると、会社から自分へ役員報酬を支払う形に変わるため、改めて提出します。
④雇っているのはパート・アルバイトだけ
雇用形態は関係ありません。
短期の勤務でも、週に数時間だけの勤務でも、対象外にはなりません。
⑤開業届は出したが給与欄が空欄だった
開業届で代替できるのは、給与の支払状況を記載していた場合だけです。
この思い込みが最も多いパターンなので、必ず控えを確認してください。
給与支払事務所等の開設届出書の入手方法と書き方
ここからは、開設届出書の入手方法と記入の仕方について解説します。
①国税庁サイトからPDFをダウンロードする
国税庁のWebサイト「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」から様式をダウンロードできます。
プリンターがない場合は、税務署の窓口で用紙を受け取りましょう。
市区町村の役場では取り扱っていないため、税務署へ行ってください。
なお、e-Taxで提出する場合は用紙の印刷そのものが不要です。
e-Taxの提出方法については後述します。
②「届出書種別」と「各種年月日」
「届出内容」にある「届出書種別」欄には、今回の開設手続きに該当する数字「1」を記載します。
旧様式は開設・移転・廃止の該当項目を選択する形式でしたが、新様式では数字を記載する形式に変更されました。
開設・移転・廃止年月日
「開設・移転・廃止年月日」欄には、給与支払事務所等を開設した年月日を記載します。
法人の設立日や従業員の雇入れ日、実際に給与を支払った日を一律に記載する欄ではありません。
給与支払事務所等を開設した日を記載してください。
給与支払を開始する年月日
給与支払事務所等を開設した月中に給与の支払いを開始しない場合のみ記載します。
翌月以降に給与の支払いを始める場合は、実際の支払開始日または開始予定日を記載してください。
なお、「開設・移転・廃止年月日」と「給与支払を開始する年月日」は意味が異なります。
給与支払事務所等の開設日と、実際に給与の支払いを開始する日は必ずしも一致しません。
③ 事務所開設者の住所・氏名・番号
「事務所開設者」の各欄には、届出者の基本情報を記載します。
法人と個人事業主で記載する内容が異なるため注意しましょう。
| 欄 | 法人 | 個人事業主 |
| 郵便番号 | 住所または所在地 | 電話番号 |
| 本店または主たる事務所の所在地 (外国法人の場合は国外の本店所在地) |
住所または居所 (申告所得税の納税地) |
氏名または名称 |
| 法人名 | 氏名 | 番号 |
| 法人番号 | 個人番号 (マイナンバー) |
代表者氏名 |
| 法人の代表者氏名 | ー |
外国法人の場合は、国外の本店所在地を記載します。
個人事業主は個人番号、法人は法人番号を記載してください。
法人番号が分からない場合は、国税庁の法人番号公表サイトから名称などで検索できます。
④「届出の内容及び理由」
「届出の内容及び理由」欄には、今回の届出に該当する区分の数字を記載します。
名称変更など、すでに届け出ている事項に変更があった場合は「その他の内容」欄に記載してください。
「給与支払事務所等について」欄にも変更前後の内容など必要な情報を記載します。
⑤「給与支払事務所等について」
会社設立や新規開業に伴って給与支払事務所等を新たに開設する場合は、原則として記入する必要はありません。
事務所の移転や名称変更がある場合は、必要に応じて「開設・異動前」「異動後」の情報を記載します。
法人の合併・分割や、支店等の閉鎖に伴って給与支払事務を引き継ぐ場合も同様です。
また、「既存の給与支払事務所等への引継ぎ理由」欄も通常の新規開設では記入不要です。
⑥従業員数
「従事員数」欄には、給与等を支払う人の人数を職種別に記載します。
「役員」と「従業員」はそれぞれ該当する人数を記載します。
それ以外の職種に給与等を支払う場合は、「その他」の「区分」欄に職種を記載し、人数を記入してください。
たとえば、役員に給与等を支払う一人社長の法人で従業員がいない場合は、「役員」に1人と記載します。
自分自身に給与を支払うものではないため、個人事業主本人は従事員数には含めません。
⑦「その他参考事項」と「税理士署名」
「その他参考事項」欄には、届出に関連して税務署へ伝える必要がある参考事項を記載します。
通常の会社設立や給与支払事務所等の開設で、該当する参考事項がなければ記載する必要はありません。
この届出書を税理士または税理士法人が作成した場合は「税理士署名」欄に作成した税理士等が署名します。
自分で届出書を作成して提出する場合は記載不要です。
給与支払事務所等の開設届出書を提出する方法は3通り
記入が終わったら届出書を提出しましょう。
提出する方法は窓口・郵送・e-Taxの3通りです。
提出先は給与支払事務所等の所在地を所轄する税務署
提出先は、給与支払事務所等の所在地を所轄する税務署です。
会社なら本店の所在地、個人事業主なら納税地として届け出ている住所を基準に判断します。
所轄が分からない場合は、国税庁サイトの「税務署の所在地などを知りたい方」で住所から検索しましょう。
窓口へ持参する場合
窓口へ持参する場合は、記入済みの届出書を提出します。
- 記入済みの届出書(提出用1部)
- 個人番号を記載した場合の本人確認書類
本人確認書類には、マイナンバーカードなどを使用できます。
なお、2025年1月から、税務署では提出書類の控えに収受日付印を押さない運用に変更されました。
控えが必要な場合は自分でコピーを取り、提出年月日を記録しておきましょう。
郵送する場合
郵送の場合も、提出用の届出書を1部送付します。
- 記入済みの届出書(提出用1部)
- 個人番号を記載した場合の本人確認書類の写し
- 切手を貼った返信用封筒(リーフレットの返送を希望する場合)
返信用封筒を同封すると、当分の間、収受した日付と税務署名などを記載したリーフレットが返送されます。
ただし、これは収受日付印が押された届出書の控えではありません。
2025年1月以降は、郵送した届出書の控えに収受日付印を押して返送する運用も廃止されています。
提出内容を確認できるよう、郵送前に届出書の写しを保管しておきましょう。
また、税務署の開庁時間外は「時間外収受箱」へ投函して提出することもできます。
e-Taxソフト(WEB版)を利用する場合
e-Taxを利用すれば、届出書をオンラインで作成・提出できます。
初めてe-Taxを利用する場合は、事前に「利用者識別番号の取得」と「電子証明書の登録」を準備しましょう。
利用する端末によって作成できる手続きは異なります。
e-Taxで「給与支払事務所等の開設等届出」を提出する場合は、パソコンから手続きを進めてください。
- 利用者識別番号を取得する
- 電子証明書を登録する
- 「給与支払事務所等の開設等届出」を作成する
- 電子署名を付けて送信する
- 送信後の受信通知を確認する
この手続きは電子署名が必要です。
事前に電子証明書を登録していない場合は「作成手続きの選択」画面に表示されません。
送信後は、メッセージボックスから受信通知や送信した申請データを確認できます。
必要に応じて帳票をPDF形式で保存・印刷することも可能です。
給与支払事務所等の開設届出書と併せて提出する3つの書類
給与を支払い始めるときに必要な書類は、この届出書だけではありません。
手続きをスムーズに進めるため、同じタイミングで提出する書類を確認しておきましょう。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(常時10人未満なら推奨)
源泉徴収した所得税は、原則として給与を支払った月の翌月10日までに納付します。
毎月の作業になるため、少人数の事業者には負担の重い手続きです。
そこで、給与を支払う人数が常時10人未満であれば納付を年2回にまとめられる特例があります。
1月から6月までの分は7月10日、7月から12月までの分は翌年1月20日が納付期限です。
提出期限はありませんが、承認されると提出した月の翌月分から適用されます。
早く出すほど早く適用されるため、開設届出書と同時に提出しておくのが効率的です。
青色事業専従者給与に関する届出書(家族に給与を払う場合)
青色申告をしている個人事業主が、生計を一にする家族に支払う給与を必要経費に算入するために必要な届出です。
対象は青色申告者と生計を一にする配偶者やその他の親族かつ、その年の12月31日時点で15歳以上の人。
原則として、その年を通じて6か月を超える期間、事業に専ら従事している必要があります。
ただし、年の途中で開業・廃業した場合などは例外です。
事業に従事できる期間の2分の1を超えて専ら従事していれば、要件を満たすことがあります。
提出期限は、給与を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで。
その年の1月16日以後に開業した場合や、新たに専従者がいることになった場合は、その日から2か月以内です。
青色事業専従者給与を支払う際は、給与支払事務所等の開設届出書と併せて提出が必要か確認しておきましょう。
法人設立届出書(法人設立時)
法人を設立した場合に、会社の概要を税務署へ届け出る書類です。
提出期限は設立の日以後2か月以内で、開設届出書の1か月とは異なります。
このほか、都道府県税事務所と市区町村にも設立の届出が必要です。
税務署への提出だけで完了ではないので、注意してください。
給与支払事務所等の開設届出書を出さなかった場合のリスクと対処法
開設届出書の期限は1か月以内ですが、過ぎても届出書そのものに罰則はありません。
ただし放置すると、源泉所得税の納付漏れリスクにつながります。
未提出・期限超過そのものに罰則はない
この届出書を期限内に提出しなかったこと自体に、罰金や加算税は課されません。
所得税法第230条は届出の義務を定めていますが、違反した場合の罰則規定は置かれていないためです。
ただし、これは出さなくてよいという意味ではありません。
本当に注意すべきリスクは次にあります。
源泉所得税の納付もれに注意!
届出書を提出していなくても、源泉所得税の納付義務がなくなるわけではありません。
給与から源泉徴収した所得税は、原則として給与を支払った月の翌月10日までに納付する必要があります。
この納付が遅れると、届出書とは違って明確なペナルティが発生します。
- △ 不納付加算税:原則として納付すべき税額の10パーセント。
税務署から指摘を受ける前に自主的に納付した場合は5パーセントに軽減されます - △ 延滞税:法定納期限の翌日から完納の日まで、日割りで加算されます
しかし、以下のような要件を満たした場合は不納付加算税が課されないこともあります。
- 法定納期限までに納付する意思があったと認められる
- 税務調査による納税の告知を予知した納付ではない
- 法定納期限から1か月以内に自主的に納付している
開設届出書の提出や源泉所得税の納付が遅れている場合は、放置せず速やかに対応しましょう。
提出期限を過ぎてしまった場合にすべきこと
期限を過ぎていると気づいたら、すぐに対処しましょう。
放置しないことが何より重要です。
①源泉所得税の納付状況を確認する
これが最優先です。
天引きした所得税に未納があれば、速やかに自主的に納付します。
税務署の指摘を待つより負担が軽くなります。
②所轄の税務署に連絡する
電話で状況を伝え、提出方法を確認します。
遅れた理由を書く欄はないため、通常どおり記入すれば問題ありません。
③届出書を提出する
期限後でも受け付けてもらえます。
日付は実際の開設日をそのまま記載します。
④納期の特例の申請漏れを確認する
給与の支払人数が常時10人未満であれば、納付を年2回にまとめられる特例があります。
開設届出書と同時に申請することが多い書類です。
金銭的な影響が大きいのは、届出書の提出よりも源泉所得税の納付です。
両方遅れている場合は納付を優先してください。
給与支払事務所等の開設届出書についてよくある質問3選
給与支払事務所等の開設届出書について、特に問い合わせの多い質問をまとめました。
※納付書を使用しない納付手段(e-Tax等)で手続きした場合を除く。
その後の流れは以下の通りです。
- 給与の支払い時:所得税等を源泉徴収する
- 原則、翌月10日まで:源泉徴収した所得税等を納付する
- 年末:対象となる従業員等の年末調整を行い、源泉徴収票を作成する
- 原則、翌年1月31日まで:法定調書を税務署へ、給与支払報告書を市区町村へ提出する
公式のエクセル版はありません。
ネット上でエクセルファイルが見つかることもありますが、これらは民間サイトが独自に作成したものです。
項目の並びや様式が最新のものと異なっている可能性があるため、提出用としては推奨できません。
給与支払事務所等の名称が変わった場合は、この届出書を使用します。
「その他の内容」欄と「給与支払事務所等について」欄に変更内容を記載してください。