最低賃金改定|月額変更に該当するケースも!月の途中の賃金変更時の考え方も解説
2026.10.01
リードブレーン社会保険労務士法人
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最低賃金改定|月額変更に該当するケースも!月の途中の賃金変更時の考え方も解説

最低賃金の改定に伴い、時給で働く従業員の給与計算を見直す中で、「月額変更届の手続きは必要なのか」「月の途中で改定された場合、どのタイミングで手続きをすればいいのか」とお悩みではありませんか。
この記事を読めば、最低賃金引き上げの対象となる従業員一人ひとりに対し、月額変更届が必要なケースか否かを正確に判定し、正しい時期に書類を提出できるようになります。
- 最低賃金改定で月額変更届が必要となる具体的な条件
- 月の途中で改定された場合の正しい計算開始タイミング(起算月)
- 手続きを怠った場合に生じる追徴課税や年金額への影響
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そもそも最低賃金改定で月額変更届は必要になるの?
結論から言うと、最低賃金の改定によって月額変更届の提出が必要になるケースがあります。
最低賃金の引き上げは、社会保険の手続きにおける「固定的賃金の変動」と見なされるためです。
ただし、給与が変動したすべての従業員が対象になるわけではなく、一定の条件を満たす場合にのみ、手続きが必要となります。
時給がわずかに上がっただけでも、残業時間など他の要因と重なることで対象となる可能性があるため、慎重な確認が求められます。
次の章では、月額変更届が必要となる具体的な条件について詳しく見ていきましょう。
最低賃金の引き上げは社会保険における「固定的賃金の変動」に該当します
社会保険料の基準となる標準報酬月額は、毎年7月に行われる定時決定で決まりますが、年の途中で給与額に大きな変動があった場合には、実態に合わせて見直しを行います。
この手続きを「随時改定」といい、月額変更届を提出する必要があります。
随時改定のきっかけとなるのが「固定的賃金の変動」です。
固定的賃金とは、時給や日給、月給など、毎月決まって支払われる基本的な給与を指します。
最低賃金の引き上げによって時給が上がることは、この固定的賃金が変動したことに該当するため、随時改定の対象となり得るのです。
月額変更届(随時改定)が必要となる3つの条件を再確認
月額変更届の提出(随時改定)が必要になるのは、以下の3つの条件をすべて満たした場合です。
最低賃金の改定で時給が上がった従業員がいても、この条件に当てはまらなければ、原則として手続きは不要です。
1.昇給や降給などにより、固定的賃金に変動があった。
2.変動月からの3ヶ月間に支払われた給与(残業代など非固定的賃金も含む)の平均月額と、これまでの標準報酬月額との間に「2等級以上」の差が生じた。
3.3ヶ月とも、出勤の基礎となる支払基礎日数が17日以上(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上)である。
最低賃金改定の場合は、1の条件に該当するため、2と3の条件を満たすかどうかで対象者を判断します。が必要となる3つの条件を再確認_グラフ-1024x572.jpg)
時給が数円上がっただけでも対象になる可能性があるため注意が必要です
「時給が数十円上がっただけだから、2等級も変わらないだろう」と安易に判断するのは危険です。
例えば、時給の引き上げと繁忙期が重なり、残業時間が大幅に増えた月があったとします。
月額変更届の判定に使う給与額には、残業代などの非固定的賃金も含まれるため、基本給の上昇幅は小さくても、合計の支給額が大きく増え、結果として2等級以上の差が生じるケースは少なくありません。
そのため、時給がわずかに上がった従業員も含め、必ず3ヶ月間の給与総額で対象になるかを確認する必要があります。
こうした複雑な随時改定の判定や手続きに不安を感じる場合は、スポット労務サービス「スポロム」の利用が有効です。
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月の途中で最低賃金が改定された場合、いつから計算する?
最低賃金は、多くの場合10月から改定されますが、近年では11月以降に改定される地域もあります。また月の途中から発効される地域もあります。
給与計算期間の途中で時給が変更になった場合、いつから3ヶ月間をカウントすればよいのか、タイミングに迷う担当者は少なくありません。
随時改定の計算を始める「変動月(起算月)」の考え方は、手続きのタイミングを左右する重要なポイントです。
正しい起算月を理解し、適切な時期に手続きを進めることが、手続き漏れを防ぐ鍵となります。
変動月の起算点は「改定日を含む月」ではないので注意
随時改定の計算を始める「変動月」の正しいタイミングは、「固定的賃金の変動が反映された給与が、1ヶ月分満額で支払われた月」です。
例えば、月の途中で時給が改定され、その月の給与が日割り計算で支払われた場合、その月は変動月に含みません。
日割り計算の月は、本来の給与額より低くなる可能性があり、実態と乖離してしまうためです。
したがって、改定後の時給が適用された最初の「満額支給月」を1ヶ月目としてカウントし始める点に注意が必要です。
正しい起算月は「改定後の時給で給与が1ヶ月分満額支払われた月」
随時改定の起算月となるのは、あくまで改定後の新しい時給で計算された給与が、1ヶ月分まるごと支払われた最初の月です。
この考え方は、給与の締め日や支払日によって変動月のタイミングが変わることを意味します。
例えば、給与計算の締め日が月末で、最低賃金の改定日が10月1日のような月の初日であれば、10月分の給与から満額で新時給が反映されるため、10月が起算月です。
しかし、締め日が15日で改定日が10月1日の場合、10月分の給与は旧時給と新時給が混在するため、満額支給とはならず、11月分給与(10月16日~11月15日分)が起算月となります。
【具体例】10月1日に最低賃金が改定され、末締め翌月払いの給与の場合
具体的なケースで考えてみましょう。
ある企業の給与体系が「月末締め・翌月25日払い」で、10月1日に最低賃金が改定されたとします。
変動月(1ヶ月目):10月1日~10月31日分の給与(11月25日支払分)
2ヶ月目:11月1日~11月30日分の給与(12月25日支払分)
3ヶ月目:12月1日~12月31日分の給与(翌年1月25日支払分)
この3ヶ月間の給与の平均額を算出し、現在の標準報酬月額と比較して2等級以上の差があるかを確認します。
もし条件を満たしていれば、1月25日の給与支払日以降に、速やかに月額変更届を提出します。
この改定は、提出月からではなく4ヶ月目にあたる2月から適用されます。
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どんなケースで標準報酬月額が2等級以上変わるの?
最低賃金の改定により時給が上がったとしても、それだけで標準報酬月額が2等級以上変動することは稀かもしれません。
しかし、固定的賃金である時給の上昇に加えて、残業時間の増加など他の要因が重なると、対象となる可能性は十分に考えられます。
特に注意すべきパターンを理解しておくことで、月額変更届の提出漏れを防ぐことができます。
ここでは、どのような場合に2等級以上の差が生じやすいのか、具体的なシミュレーションを交えて解説します。
基本給(時給)の上昇と残業時間の増加が重なる場合は要注意
月額変更届の要否を判断する際の報酬額には、基本給だけでなく、残業手当や通勤手当、各種手当なども含まれます。
このうち、残業手当のような月によって変動する賃金を「非固定的賃金」と呼びます。
時給という固定的賃金がわずかに上昇しただけでも、その後の3ヶ月間に繁忙期が重なり、残業時間が増加すると、給与総額は大きく膨らみます。
この結果、現在の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じ、月額変更届の提出が必要になるケースが頻発するため、特に注意が必要です。
【判定シミュレーション】月額変更届が必要になるケースとならないケース
東京都の最低賃金を例に挙げると、ある会社が最低賃金と同額の従業員の時給(令和7年度1,226円)を令和8年10月から1,280円へと改定した場合、時給は54円引き上げられます。月160時間勤務の従業員であれば、月額換算で8,640円の昇給となります。
この昇給だけでは標準報酬月額が2等級以上変わらないケースも多いですが、残業が月20時間発生すると状況は一変します。残業代単価も上がるため、総支給額の増加幅が1万5千円を超え、等級表の境界線をまたいで2等級以上の差が生じやすくなります。
1等級差でも届出が必要になる例外的なケースとは?
原則として、標準報酬月額に2等級以上の差がなければ月額変更届の対象にはなりません。
しかし、例外的に1等級の差でも届出が必要になるケースが存在します。
それは、標準報酬月額の等級が上限または下限で変動する場合です。
例えば、最低賃金付近で働く従業員の場合、標準報酬月額が下限に近い等級に位置していることがあります。
時給アップにより、現在の等級と改定後の等級が「標準報酬月額等級表」の上限または下限等級をまたぐ変動となった場合は、1等級の差であっても月額変更届の提出対象となるため、注意深く確認してください。
扶養内で働く場合の月収については「扶養内で月8万8千円を超えたらどうなる?1ヶ月だけなど状況別に徹底解説」で詳しく紹介しています。
月額変更届を出し忘れるとどうなる?
月額変更届の提出は、対象者が多数にのぼることもあり、煩雑な作業です。
しかし、もし提出を忘れてしまうと、企業と従業員の双方にさまざまな不利益が生じる可能性があります。
年金事務所からの指摘を受けて遡って手続きを行う必要が出てきたり、場合によっては延滞金が発生するリスクも考えられます。
手続きの重要性を理解し、漏れなく対応するための体制を整えることが重要です。
次に、手続き漏れが引き起こす具体的な影響について見ていきましょう。
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手続き漏れによって追徴課税や延滞金が発生するリスク
月額変更届の提出を忘れた場合、年金事務所の調査などで発覚することがあります。
その際は、遡って正しい社会保険料を納付しなければなりません。
本来納めるべき保険料との差額を、会社と従業員の双方で追加徴収することになります。
この際、納付期限を過ぎていると延滞金が課される可能性もあります。
従業員にとっては、過去の給与から一度に複数月分の差額が天引きされることになり、手取り額が大幅に減ってしまうため、生活への影響も懸念されます。
こうした事態を避けるためにも、正確な手続きが不可欠です。
従業員が将来受け取る年金額にも影響が出る可能性
社会保険料、特に厚生年金保険料は、将来従業員が受け取る年金額の計算基礎となります。
月額変更届の提出が漏れ、本来よりも低い標準報酬月額のままになっていると、納める保険料も低い状態が続きます。
これは、将来の年金受給額が本来もらえるはずだった金額よりも少なくなってしまうことを意味します。
正しい手続きは、目先の保険料負担だけでなく、従業員の将来の生活を守る上でも非常に重要な役割を担っているのです。
従業員の権利を守るという企業の責任を果たすためにも、手続きを確実に行う必要があります。
煩雑な手続きを漏れなく進めるためのセルフチェックリスト
最低賃金改定時の手続きをスムーズに進めるために、以下のチェックリストを活用してください。
対象者の洗い出し:最低賃金改定により、時給が変更となる全従業員をリストアップしたか?
変動月の確定:各従業員の給与締め日・支払日を確認し、正しい変動月(起算月)を特定したか?
3ヶ月間の給与集計:変動月から3ヶ月間の給与総額(残業代等も含む)を正確に計算したか?
支払基礎日数の確認:3ヶ月間すべての月で、支払基礎日数が基準(原則17日以上)を満たしているか?(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上)
等級の比較:3ヶ月間の平均月収から新しい標準報酬月額を算出し、現在の等級と比べて2等級以上の差があるか確認したか?(例外パターンも考慮)
届出書の作成・提出:対象者について、速やかに「被保険者報酬月額変更届」を作成し、管轄の年金事務所へ提出したか?
これらのステップを着実に踏むことで、手続き漏れのリスクを大幅に減らすことができます。
最低賃金改定に伴う月額変更届に関するよくある疑問
ここでは、最低賃金改定時の月額変更届に関して、実務担当者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
最低賃金の改定で時給を上げましたが、パートタイマーも月額変更届の対象になりますか?
はい、社会保険の被保険者であるパートタイマーも月額変更届の対象です。
正社員やパートタイマーといった雇用形態に関わらず、社会保険に加入している従業員の固定的賃金が変動し、随時改定の3つの条件をすべて満たした場合には、月額変更届の提出が必要になります。
ダブルワークにおける社会保険の加入条件については「ダブルワークの社会保険はどうなる?加入条件と手続き方法を解説」で詳しく紹介しています。
もし月額変更届の提出が遅れてしまった場合はどうすればよいですか?
提出が遅れたことに気づいた時点で、速やかに管轄の年金事務所または健康保険組合に連絡し、指示を仰いでください。
通常は、遅延した理由などを記載した書類を添えて、可及的速やかに月額変更届を提出することになります。
悪質なケースでなければ、すぐに罰則が科されることは稀ですが、誠実かつ迅速な対応が求められます。
月の途中で最低賃金が改定され、給与を日割り計算した場合、その月はどのように扱いますか?
月の途中で時給が改定され、給与が日割り計算された月は、随時改定の起算月(変動月)にはなりません。
随時改定は、あくまで改定後の新しい賃金が1ヶ月分満額で支払われた月を1ヶ月目としてカウントします。
したがって、日割り計算が行われた月の翌月以降、最初に満額支給された月が起算月となります。
まとめ
最低賃金の改定は、たとえ時給の上がり幅が小さくても、社会保険の月額変更届(随時改定)の対象となり得る「固定的賃金の変動」に該当します。
特に、時給の上昇に残業時間の増加が重なると、標準報酬月額が2等級以上変動し、手続きが必要になるケースがあるため注意が必要です。
月の途中で最低賃金が改定された場合は、改定後の時給で給与が1ヶ月分満額支払われた月を「変動月」としてカウントします。
手続きを忘れると追徴や延滞金のリスクがあるため、対象者を正確に判定し、正しいタイミングで届出を行いましょう。
手続きが複雑で不安な時は、スポット労務サービス「スポロム」へ
最低賃金改定時の月額変更届は、対象者の判定や変動月の特定など、判断に迷う点が多くあります。
「これで合っているのか不安」「対象者が多くて手が回らない」といったお悩みをお持ちなら、社会保険手続きのプロに任せるのも一つの方法です。
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多くの経営者に「スポロム」が選ばれる3つの理由
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