COLUMN
お役立ちコラム
2025.06.30
リードブレーン社会保険労務士法人
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業務改善助成金の概要と今年度の主な変更点
今年度も業務改善助成金の受付が開始されました。令和7年4月9日に情報が解禁された業務改善助成金の概要、今年度の変更点について解説します。
業務改善助成金とは
中小企業・小規模事業者の生産性向上支援のため、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上につながる設備投資(機械設備やコンサルティング導入)などを行った場合に、その費用の一部を助成するものです。
対象となる事業者は?
業務改善助成金を活用できる事業者は右の3つの内容を満たす必要があります。また申請は1法人単位での申請ではなく、店舗や事務所などの労働者がいる事業場ごとに申請します。例えば事務所Aと店舗B、店舗Cを運営する事業者の場合、A,B,Cそれぞれの事業場ごとに申請を行います。
☑中小企業・小規模事業者である
☑事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である
☑解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がない
助成額の上限と助成率
助成上限額は、賃金を引き上げる労働者数や金額(コース)によって異なります。助成率も、申請事業場の最低賃金額により変わります。
ここでの”引き上げる労働者数”の数え方は?
☑事業場内最低賃金である労働者
☑事業場内最低賃金である労働者の賃金を引き上げることにより、賃金額が追い抜かれる労働者が「引き上げる労働者」に算入されます。
(ただし、いずれも申請コースと同額以上賃金を引き上げる必要があります。)
助成金受給までの流れ
事業場所在地を管轄する都道府県労働局に対し、所定の様式で交付申請を行います。 労働局による申請内容の審査を経て交付決定がなされたら、申請内容に沿って事業を実施します。 事業完了後、労働局に事業実績報告と助成金支給申請を行うと、労働局による報告内容の審査を経て、助成金が支給されます。
今年度の主な変更点
申請期間と賃金引き上げ期間について、複数の期間を設定する見直しが行われました。具体的な期間は以下のとおりです。
※第3期以降の募集が行われるかは、現在確定していません。
その他変更点
☑助成率が1,000円未満4/5、1,000円以上3/4になりました。
☑事業主単位の年間申請上限が600万円となりました。
☑生産性要件が廃止になりました。
☑基準となる事業場内最低賃金労働者の雇用期間が、「3か月以上」から「6か月以上」になりました。
☑大企業と密接な関係を有する企業(みなし大企業)は対象外となりました。
賃金引き上げに当たっての注意点
☑賃金引き上げは交付申請日(交付申請書が労働局へ到着した日)より後に行う必要があります。また、地域別最低賃金の発効に対応して事業場内最低賃金を引き上げる場合、申請後から発効日の前日までに引き上げる必要があります。
☑引上げ後の事業場内最低賃金額と同額を就業規則等に定める必要があります。
☑複数回に分けての事業場内最低賃金の引上げは認められません