COLUMN
お役立ちコラム
2024.02.07
リードブレーン社会保険労務士法人
テーマ:
企業が知っておきたい「年収の壁」
年収の壁の種類
パート・アルバイトなど(以下、短時間労働者)で収入が一定額より少ない従業員は、健康保険料と年金保険料(以下、保険料)や税金の負担がありません。しかし、一定の収入を超えてしまうと、扶養から外れて保険料の負担が発生したり税金の課税対象になるなど、手取り額が減少する場合があります。このように負担が発生する年収ラインを年収の壁といいます。
年収の壁による影響と課題
近年、人手不足は深刻化しています。少子高齢化による生産年齢人口の減少や時間外労働の上限規制などにより、人手不足が慢性化している企業も少なくありません。このような状況のなか、現在雇用している短時間労働者の労働時間の延長は、解決策のひとつといえます。
106万円の壁とは
社会保険の被扶養者として認定される収入基準は年収130万円未満です。しかし、たとえ年収130万円未満でも勤務先が特定適用事業所の場合、年収106万円以上になり、上記の要件に該当すると社会保険に加入して扶養から外れなければなりません。つまり社会保険料の負担が発生します。これが106万円の壁です。そしてこの壁で一番問題とされるのは、壁を超えると収入の増加額より社会保険料の額が大きくなり手取り額が減少してしまう場合があることです。
130万円の壁とは
そのほかの年収の壁
3 150万円の壁、201万円の壁とは
上記2の例の場合、妻の年収が103万円を超えると夫は配偶者控除を受けられなくなりますが、妻の年収が150万円以下であれば夫は配偶者控除と同じ額の配偶者特別控除を受けることができます。ただし、妻の年収が150万円を超えると夫の配偶者特別控除の額は段階的に減少します。これが150万円の壁です。さらに妻の年収が201万6千円以上になると、夫は配偶者特別控除を受けられなくなります。これが201万円の壁です。なお、夫の年収が1195万円(所得1000万円)を超えると、妻の年収にかかわらず配偶者控除および配偶者特別控除のどちらも受けることができません。
おわりに
もっと働きたい意欲はあるものの、年収の壁により就業調整せざるを得ない短時間労働者は意外と多くいます。年収の壁を意識せず働くことができる環境づくりは、人手不足の解消や優秀な人材確保にもつながります。そのためにも、労務担当者は年収の壁のしくみを理解しておくことをおすすめします。