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2019.10.01

リードブレーン株式会社

テーマ:

【コラム】会社の設立費用は誰が負担するのか?

会社の設立費用はだれが負担するのか?

事例

定款の認証手数料や設立事務所の賃料など、会社の設立に関する費用は、だれがどのように負担するのでしょうか。

ポイント

実務解説

設立費用については、定款への記載を要する事項と、定款への記載を要しない事項があります。また、成立後の会社への帰属については解釈上の争いがあります。

定款への記載を要する事項

株式会社を設立する場合には、株式会社の負担する設立に関する費用(設立費用)について、定款に記載することにより、その効力を生じます(会社28四)。

具体的には、設立事務所の賃料、設立事務員の給与、設立時募集株式の申込人への通知に要する費用、株券の印刷費、創立総会の費用、現物出資・財産引受について検査役の調査に代わる弁護士等の証明に要する費用などが、設立費用に当たります。

これらに対し、成立後の会社の事業に必要な財産を取得する費用は、開業準備費用であり、設立費用とは区別されます。設立費用は定款に記載のうえ、検査役の調査等を受けることを要します(会社33)。

その趣旨は、設立費用が過大計上されて、債権者が害されることを防ぐことにあります。

 定款への記載を要しない事項

もっとも、定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものについては、定款への記載を要しないとされています(会社28四かっこ書、会社規5)。

具体的には、定款の認証の手数料のほか、定款に係る印紙税、設立時発行株式と引換えにする金銭の払込みの取扱いをした銀行等に支払うべき手数料及び報酬、裁判所が選任した検査役の報酬、株式会社の設立の登記の登録免許税などです。

その趣旨は、これらの設立費用は金額に客観性があり過大計上のおそれがないことにあります。

成立後の会社への帰属

例えば発起人が設立事務所を賃借し賃料を支払った場合、その契約の効果が成立後の会社に帰属するかについては、解釈上の争いがあります。

定款記載等の要件を充たした契約の効果は当然に成立後の会社に帰属し、賃貸人は成立後の会社に支払を請求できるという見解もありますが、設立費用が過大計上されて債権者が害されることを防ぐ趣旨を重視する立場からは、契約の効果は発起人に帰属し、定款記載等の要件を充たすものは成立後の会社に求償できると解されています。

 


会社設立前の費用は創立費、設立から営業開始までの費用は開業費になります。

これらは任意償却ができ、自分の決めたタイミングで費用計上できるため節税につながります。そのため領収書はきちんと保管しておきましょう。

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