COLUMN
お役立ちコラム
2019.08.19
リードブレーン社会保険労務士法人
テーマ:
【コラム】職場でありがちなトラブル事例
障害者だからと降格 業務に支障なしのはず
Aさんは手術を受けた後、身体障害者手帳(1級)を受けましたが、医師は業務に支障ない旨の診断書を出していました。
しかし、会社はAさんを正社員から嘱託社員に身分変更し、雑務を担当させるといい出しました。理由は2つあります。
第1は、手術以前の仕事が浄化槽管理業務で、体力面で心配があること。
第2は、会社の業績が落ち込み、人件費の圧縮が求められることです。
経営側の事情が分からなくもありませんが、「身体障害者手帳を受けた」というだけで待遇が大幅ダウンしたAさんは、納得できません。都道府県労働局のあっせんを選択しました。
従業員の言い分
元の仕事に復帰できる点については、医者からも「お墨付き」を得ています。今回の取扱いは「障害者だから」という先入観に基づく差別です。
あるいは、本当の理由がリストラ推進というのであれば、もう少し誠意のある対応をしてしかるべきです。
事業主の言い分
万が一、事故が起きたとき、「重度障害者にこのような体力仕事をさせた」と批判されるリスクを考えると、配置転換もやむを得ない処置としてご理解いただきたいところです。
受注量減少により余剰人員が生じている現状からいっても、会社として正社員復帰を受け入れることは到底できません。
指導・助言の内容
経営的な観点から元の労働条件に戻すことが難しいのであれば、会社として何か代替措置を講じられないかという方向で、双方の歩み寄りを促しました。
Aさんの方で条件次第では退職に応じてもよいという意向が示されたので、金銭的な解決案を提示しました。
結果
会社都合として退職金額を算定したうえで、解雇予告手当相当分の和解金を上乗せするという条件で、労使双方の合意が成立しました。
今回の事例では無事和解することができましたが、障がい者を理由とした降格や解雇は、労使間トラブルが発展してしまいます。当人の意見を聞き、きちんと話し合いをして合理的な配慮を提供していきましょう。