厚生年金の加入条件を3ステップで診断|2026年10月改正で何が変わる?

お役立ちコラム

COLUMN

2026.07.31

リードブレーン株式会社

テーマ:

厚生年金の加入条件を3ステップで診断|2026年10月改正で何が変わる?

employees-pension-insurance

2026年10月から「106万円の壁がなくなる。」
そんなニュースを見て、不安になっていませんか。

「106万の壁がなくなるって聞いたけど、結局わたしはどうなるの?」
「週20時間で働いてるけど、職場は10人くらい。それでも社会保険に入るの?」

結論からお伝えします。
2026年10月に変わるのは、5つある加入条件のうち「月額8.8万円以上」という1つだけです。
「週20時間以上」も「従業員51人以上」も、10月時点では変わりません

そしてもう1つ、最も見落とされている事実があります。
勤務先が従業員50人以下の会社なら、判断ラインは週20時間ではなく週30時間です

この記事でわかること
  • 10月に変わるのは「月額8.8万円以上」の要件撤廃のみ。
  • 従業員50人以下の会社は10月以降も「週30時間以上」が基準。
  • 加入を避ける働き方の調整は「週20時間未満」の1択。
  • 判定は契約上の「所定労働時間」と「全社の従業員数」で確認。

結論:厚生年金の加入条件自己診断の【3ステップ】

厚生年金の加入条件は、調べれば調べるほど複雑に見えます。

結局自分がどれに当てはまるのかが分からない。
そう感じている方がほとんどではないでしょうか。

ですが、実際に必要な判断材料は3つだけです。順番に確認していきましょう。

STEP1:現在の厚生年金保険の被保険者数は「51人以上」か「50人以下」か

最初の分かれ道は、現在の厚生年金保険の被保険者数が「51人以上」か「50人以下」か、です。
ここで結論が大きく変わります。

パートやアルバイトで働く方の多くは、自分の勤務先の総従業員数を正確に知りません。
判定の核心なのに、ここが空白のまま検索している——これが混乱の最大の原因です。

確認方法は次の4つです。

従業員数の確認方法
  • 上司や店長に直接聞く(最も確実)
  • 会社のホームページの「会社概要」を見る(従業員数が記載されていることが多い)
  • 就業規則や社内イントラを確認する
  • 求人票を見る(募集時の情報に従業員数が載っている場合がある)

上司に聞く場合は、次の言い方が伝わりやすいです。
「うちの会社は、社会保険の適用拡大の対象になっていますか?」

ここで最も重要な注意点があります。
数えるのは「あなたが働いている店舗や事業所の人数」ではありません。
同じ会社(法人)全体の人数です。
たとえば本社15人、A店20人、B店20人という会社なら、あなたのお店が20人でも、会社全体では55人。
この場合は「51人以上」に該当します。

STEP2:週の「所定」労働時間は何時間か

次に確認するのが、週の所定労働時間です。
週の所定労働時間が20時間以上であれば加入条件にあたります。

ここでポイントになるのが、判定に使うのは「実際に働いた時間」ではありません。
雇用契約で決められている時間です。

労働時間の違い
  • 所定労働時間:雇用契約書・労働条件通知書に書かれた、契約上の労働時間
  • 実労働時間:残業や急なシフト追加を含む、実際に働いた時間

判定に使うのは「所定労働時間」です。
手元に雇用契約書か労働条件通知書を用意して、「所定労働時間」または「就業時間」の欄を確認してください。

「1日5時間・週4日」と書かれていれば、週の所定労働時間は20時間です。
繁忙期の残業で一時的に週20時間を超えても、それだけで即座に加入対象になるわけではありません。

STEP3:いつの話か(2026年9月まで/2026年10月から)

3つめは時期です。
2026年10月に法改正が施行されるため、9月までと10月からで答えが変わるケースがあります。

いつからの話か?
  • 2026年9月まで:現在のルール
  • 2026年10月から:月額8.8万円の賃金要件が撤廃される
  • 2027年10月以降:従業員数の要件が段階的に引き下げられていく

本記事の執筆時点は2026年7月。改正まで残り約2か月です。
いま働き方を検討している方は、9月までと10月からの両方を確認しておく必要があります。

【早見表】9パターン別・加入する / しないの結論一覧

STEP1〜3を組み合わせた結論が、次の表です。
縦軸であなたの勤務先を選び、横軸で週の所定労働時間を選んでください。

勤務先 / 労働時間 週20時間未満 週20時間以上
30時間未満
週30時間以上(4分の3以上)
従業員51人以上の会社 9月まで:加入しない
10月から:加入しない
9月まで:月8.8万円以上なら加入
10月から:金額に関係なく加入
9月まで:加入する
10月から:加入する
従業員50人以下の会社 9月まで:加入しない
10月から:加入しない
9月まで:加入しない
10月から:加入しない
※2027年10月以降、段階的に対象へ
9月まで:加入する
10月から:加入する
非適用事業所(5人未満の個人事業所など) 加入しない 加入しない 加入しない
※任意適用の手続きをすれば加入

※週30時間は、正社員の週所定労働時間が40時間の会社での目安です。
月の所定労働日数も4分の3以上である必要があります。

この表から読み取れる、重要なポイントは3つです。

ポイント1:10月の改正で結論が変わるのは、たった1マスだけ

12マスあるうち、2026年10月に結論が変わるのは「51人以上 × 週20〜30時間」の1マスのみです。
改正のニュースは大きく報じられていますが、影響を受ける範囲は限定的です。

ポイント2:50人以下の会社は、週20時間では加入しない

50人以下の会社で働く方は、週20時間でも週25時間でも加入対象になりません
ラインは週30時間です。

「週20時間の壁」という言葉が独り歩きしていますが、これは51人以上の会社の話です。

ポイント3:週30時間以上なら、会社の規模も改正も関係なく加入する

正社員の4分の3以上働いている方は勤務先が何人の会社であっても、2026年10月の改正があってもなくても、加入義務があります。
ここは動きません。

厚生年金の加入条件【完全版】判定ルートは2本ある

厚生年金の加入条件が複雑に見えるのは、判定ルートが2本あるからです。

1本目は、正社員に近い働き方かどうかを見る「4分の3基準」。
2本目は、パート・アルバイト向けの「適用拡大の要件」です。

この2つのうち、どちらか一方でも満たした時点で加入義務が生じると考えると整理しやすくなります。

ただし、その手前にもう1つ前提があります。
勤務先そのものが対象かどうかです。
順番に見ていきましょう。

大前提:勤務先が「適用事業所」であること

どれだけ長時間働いていても、勤務先が「適用事業所」でなければ厚生年金には加入できません。
まずここが出発点になります。

適用事業所は、法律で加入が義務づけられた「強制適用事業所」と、任意で加入する「任意適用事業所」に分かれます。
強制適用となるのは次の2パターンです。

事業所の種類 加入義務の有無
法人事業所(株式会社・有限会社・合同会社など) 業種・人数を問わずすべて対象
個人事業所 常時5人以上の従業員がいる場合に対象(適用業種のみ)

すべての法人と、特定の業種を除き常時5人以上の個人事業所は、厚生年金・健康保険の加入と従業員の資格取得届出が必要です。

注意したいのが、個人事業所の除外業種です。
従業員が5人以上の個人事業所であっても、サービス業の一部や農業、漁業等は対象外となります。

しかし、対象は今後広がる方向にあります。
2022年10月の改正によって強制加入の対象が広がった実績があります。

常時5人以上の従業員を使用する個人事業所についても、2029年10月から業種に関係なく原則として社会保険の適用となります。
現在は除外されている飲食店や理美容店なども、いずれ対象に入ります。

強制適用に該当しない事業所でも、厚生労働大臣の認可がある事業所であれば厚生年金に加入することが可能です。
会社が手続きを怠っているのか、そもそも対象外なのかは、法人か個人事業かで判断できます。

役員・社長・取締役の加入義務

会社の役員は「従業員ではないから対象外」と思われがちですが、実際は逆です。
法人化した事業所は業種や従業員数にかかわらず強制適用事業所として扱われます。

原則として社長1人だけの会社であっても同様です。
法人から役員報酬を受け取る事業主(社長)は、健康保険と厚生年金保険に加入する義務が生じます。

代表取締役であっても、役員報酬が支払われている限り加入義務があります。
取締役・監査役なども、常勤で役員報酬を受けていれば同じ扱いです。

会社設立を検討している方が見落としがちなのが、ここです。

法人を設立した時点で、たとえ従業員がゼロでも社会保険の適用事業所になります
法人化した場合、または適用業種の個人事業で従業員が5人以上となった場合は、年金事務所に「新規適用届」を提出します。

提出期限は、事実が発生してから5日以内です。

対照的なのが個人事業主本人です。
個人事業で従業員が5人以上となり強制適用事業所になった場合、厚生年金の被保険者となるのは従業員。

法人化の場合と異なり事業主本人は被保険者となりません。

個人事業主が厚生年金に加入したい場合は、法人化が選択肢になります。

ルート①|4分の3基準(正社員に近い働き方)

1本目の判定ルートが、通称「4分の3基準」です。
パート・アルバイトであっても、正社員に近い働き方をしていれば加入対象となります。

パートやバイトも常用的使用関係にあれば対象です。
週・月の労働時間と日数が通常労働者の4分の3以上で被保険者となります。

ポイントは、時間と日数の両方を満たす必要があることです。

正社員の勤務条件 4分の3のライン
週の所定労働時間 40時間 週30時間以上
月の所定労働日数 20日 月15日以上

正社員の週所定労働時間が40時間の場合、週30時間以上かつ月の所定労働日数が4分の3以上の勤務で社会保険加入が必要です。

基準となる「正社員の所定労働時間」は会社ごとに異なります。
週37.5時間の会社なら、4分の3は週28時間強です。

自社の就業規則を確認してください。
そして、このルートで最も重要なのが次の点です。

4分の3基準に企業規模は関係ありません
4分の3基準を満たす場合は、厚生年金被保険者数が50人以下の企業であっても加入が必要です。

「うちは小さい会社だから社会保険はない」と言われても、週30時間以上働いているなら加入対象です。

2026年10月の改正でも、この基準は変わりません。
勤務先が50人以下の会社なら、あなたの実質的な判断ラインは週20時間ではなく週30時間ということになります

なお、加入対象となるのは適用事業所に常用的に使用される70歳未満の方です。
国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず被保険者となります。

雇用契約書の有無とは関係なく、労務の対償として給与や賃金を受ける使用関係があれば対象です。
試用期間中でも報酬が支払われる場合は、使用関係が認められます。
「契約書を交わしていないから対象外」という理屈は通りません。 実態で判断されます。

ルート②|短時間労働者の要件(適用拡大)

2本目のルートは、いわゆる「適用拡大」です。
4分の3基準を満たさないパート・アルバイトでも、一定の条件を満たす場合は社会保険の加入対象になります。

条件は2026年10月を境に変わります。

項目 2026年9月まで(5要件) 2026年10月から(4要件)
労働時間 週の所定労働時間が20時間以上 週の所定労働時間が20時間以上
賃金 月額賃金が8.8万円以上
雇用期間 2か月を超える雇用の見込み 2か月を超える雇用の見込み
学生 学生でないこと 学生でないこと
企業規模 従業員51人以上の企業 従業員51人以上の企業

現行制度では、厚生年金に加入するには5要件すべてを満たす必要がありました。
10月以降は、「月額8.8万円以上」の賃金要件が撤廃されます

要件ごとに、判断の注意点を補足します。

週20時間以上は、契約上の所定労働時間で判断します。
残業時間は含みません。

月額8.8万円の判定にも範囲があります。
この月額賃金は、決められている基本給と手当の合計額で判断され、残業代や賞与、通勤手当や臨時の賃金などは含まれません。
2026年10月以降はこの要件自体がなくなります。

雇用期間の要件は、「2か月を超える雇用の見込み」となっています。
契約書に更新の可能性が記載されていれば、2か月契約でも対象になり得ます。

学生でないことについては例外があります。
原則として昼間の学校に通っている学生は社会保険の対象外。 休学中、夜間・定時制課程の学生、卒業後も継続して勤務する場合は、加入対象になることがあります。

判定は「どちらか一方を満たせば加入」

ここまで見てきた2本のルートは、どちらか片方を満たせば加入義務が発生します
両方を満たす必要はありません。

判定の流れを整理すると、次のようになります。

判定の流れ
  • 勤務先は適用事業所か(法人/5人以上の個人事業所)
  • ルート① 週30時間以上かつ月の所定労働日数も4分の3以上か → 満たせば加入(企業規模は無関係)
  • ルート② ①を満たさない場合、週20時間以上/2か月超の雇用見込み/学生でない/勤務先51人以上をすべて満たすか → 満たせば加入
  • どちらも満たさない → 加入対象外

「4分の3基準」と「適用拡大の仕組み」のどちらか一方でも満たした時点で、社会保険への加入義務が生じます。

ここで整理しておきたいのが、50人以下の会社で働く方の扱いです。

ルート②は企業規模51人以上が前提のため、50人以下の会社では使えません。
残るのはルート①だけになります。 だからこそ、判断ラインが週30時間になるのです。

厚生年金の加入対象外になる人

労働時間の条件を満たしていても、働き方そのものが一時的・短期的であれば対象外となる場合があります。
次の労働者は、厚生年金の加入条件に該当しません。 

厚生年金の加入条件に該当しない労働者
  • 日々雇い入れられる労働者(ただし1か月を超えて継続使用された場合は、その日から被保険者になります)
  • 2か月以内の期間を定めて使用される労働者(ただし、契約書に更新の可能性が明記されているなど「当初から更新の見込みがある場合」は、雇入れの初日(入社日)から被保険者になります)
  • 所在地が一定しない事業所に使用される労働者
  • 季節的業務に使用される労働者(4か月以内。ただし最初から4か月を超えて継続使用される予定の場合は、当初から被保険者になります)
  • 臨時的事業の事業所に使用される労働者(6か月以内。ただし最初から6か月を超えて使用される予定がある場合は、当初から被保険者になります)

いずれにも共通するのが、「予定を超えて働き続けた場合は、その時点から加入対象になる」という点です。

当初は更新見込みがなく、後から契約が更新されて2か月を超えて働くことになった場合は、契約更新が確定した日(超えることになった日)から加入対象となります。
「短期契約だから社会保険は関係ない」と考えていると、更新のタイミングで扱いが変わることがあります。

雇用形態別の扱い(契約社員・派遣・非常勤・アルバイト)

「契約社員だから」「パートだから」といった呼び方で加入の有無が決まることはありません。
社会保険では、雇用形態の呼び方ではなく、実際の労働時間や日数などの「働き方(実態)」で判断するのが基本ルールです。

そのため、契約社員や嘱託社員も、パート・アルバイトも、最終的には同じ基準で判断します。

雇用形態ごとの注意点を挙げます。

契約社員・嘱託社員
呼称に関係なく、4分の3基準または適用拡大の要件で判定します。
フルタイムに近い契約であれば、通常は加入対象です。

派遣社員
判断の主体が勤務先ではありません。
派遣社員の社会保険は、派遣元の会社(派遣会社)で加入するのが原則です。
小さな職場に派遣されている方でも、派遣会社の規模で判定されます。
週20時間以上なら加入対象になるケースがあり見落とされやすいポイントです。

非常勤・会計年度任用職員
こちらも実態で判断します。
勤務時間と日数が基準を満たせば加入対象となります。

アルバイト
学生であれば原則対象外ですが、夜間・定時制・休学中などは例外です。
学生でないフリーターの場合は、パートと同じ基準で判定されます。
外国人労働者についても扱いは同じです。
70歳未満の方は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、厚生年金保険の被保険者となります。

厚生年金に加入したくない場合、どうすればいい?

手取りを減らしたくない、夫の扶養から外れたくない。
そうした理由から、社会保険への加入を避けたいと考える方は少なくありません。

厚生年金は加入するかどうかを自分で選べる制度ではない、という点をまず押さえる必要があります。

結論:条件を満たせば本人の意思では拒否できない

厚生年金と健康保険は、条件を満たした時点で自動的に加入となる強制加入の制度です。
パートやアルバイトでも一定の要件をすべて満たす場合は、社会保険への加入が法律で義務付けられています。

「入りたくないから」という個人の理由で加入を拒否することは原則としてできません。
会社に相談すれば免除してもらえる、という性質のものでもありません。

民間の保険とは異なり、法律によって加入要件が厳格に定められた公的な制度であるためです。

会社側が同意しても結果は同じです。
加入要件を満たしているのに手続きをしなければ、会社が法令違反を問われることになります。

「入らなくていいと言われた」という職場の話をそのまま信じるのは危険です。
したがって、加入を避けたい場合に取り得る方法は、加入要件そのものを満たさない働き方を選ぶことに限られます

2026年10月以降、調整手段は「週20時間未満」の1択になる

これまで、加入を避けるための調整方法は2つありました。

加入を避ける調整方法(2026年10月まで)
  • 週の所定労働時間を20時間未満に抑える
  • 月額賃金を8万8,000円未満に抑える

しかし2026年10月以降、後者は使えなくなります。
賃金要件そのものが撤廃されるためです。

時期 使える調整方法
2026年9月まで 週20時間未満に抑える/月8.8万円未満に抑える(2択)
2026年10月から 週20時間未満に抑える(1択)

2026年10月以降の調整方法は、週の所定労働時間を20時間未満にすることが基準になります
「月8.8万円を超えない」調整方法をしてきた方は、10月以降は基準の見方を変える必要があります。

年収ではなく、契約上の時間で管理することになります。

ただし、この調整方法にも期限があります。
2026年10月時点では週20時間要件が残るため週20時間未満なら加入は不要。
2027年以降にこの要件も見直される可能性があり、今後の改正動向を注視する必要があります。

なお、勤務先が50人以下の会社であれば、週20時間から30時間の範囲は引き続き加入対象外です。

週20時間を超えたり超えなかったりする場合の判定

シフト制で働いていると、週によって労働時間が変動します。
20時間を超える週と超えない週が混在する場合、どちらで判定されるのかは多くの方が抱く疑問です。

判定に使うのは、あくまで契約上の所定労働時間です。
週20時間未満の所定労働時間であれば、一時的に労働時間が超えていても社会保険の加入対象ではありません。

しかし、週の所定労働時間が常習的に20時間を超える場合は、加入対象となります。

週20時間を超えただけで直ちに加入となるわけではありません。
企業規模や賃金などの条件が揃った場合に強制加入となります。

繁忙期に何度か20時間を超えた程度であれば、加入対象にはなりません。

契約は週19時間なのに実態として毎週22時間働いている、といった状態が続けば、実態に合わせて加入対象と判断されます。契約書の時間と実際の勤務時間が離れてきたと感じたら、早めに勤務先と調整するのが安全です。

やってはいけないこと(契約書と実態の乖離)

労働時間を調整して加入を避けること自体は、違法ではありません。
契約内容を実態に合わせて変更するのは正当な選択です。

問題になるのは、契約書の記載と実際の働き方を意図的に食い違わせるケースです。 

問題になるケース
  • 契約書上は週19時間としながら、実態として毎週25時間勤務している
  • 加入を避けるために、実際の賃金より低い金額を契約書に記載する
  • 労働時間を過少に記録する

こうした対応は、社会保険の適用を不正に免れる行為にあたります。

労働契約内容の賃金を不当に低く記載するなどして被扶養者資格を維持することは認められません。
年金事務所の調査で実態が判明した場合、遡って加入手続きと保険料の納付を求められることがあります。

会社にとっても、従業員にとってもリスクが大きい対応です。
調整するのであれば、契約そのものを見直し、実際の勤務もその範囲に収める。
この形が唯一の正しい進め方になります。

厚生年金は何歳から何歳まで加入する?【年齢の条件】

労働時間や会社の規模を満たしていても、年齢によって扱いが変わることがあります。
原則として厚生年金の加入年齢は「下限なし・上限は70歳未満」となっています。

ここでは、年齢に関する条件を詳しく整理します。

加入年齢の原則:下限なし・上限は70歳未満

厚生年金には、加入できる年齢の下限がありません。
一方、上限は70歳未満と定められています。

厚生年金保険は、適用事業所に常時雇用される70歳未満の従業員が加入の対象です。
70歳未満の方は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、厚生年金保険の被保険者となります。

つまり、条件を満たしていれば18歳でも加入します。
高校卒業後に就職した場合はもちろん、中学卒業後に就職した15歳や16歳でも同じです。

厚生年金は70歳まで、健康保険は75歳まで

年齢の上限をめぐって最も多い誤解が、厚生年金と健康保険を同じ年齢で考えてしまうことです。
両者は終わる時期が異なります。

厚生年金保険料の徴収は70歳で停止します。
健康保険料(および40歳以上は介護保険料)は、75歳または後期高齢者医療制度に加入するまで引き続き徴収されます。

社会保険は従業員の年齢に応じて扱いが変わり、70歳になると厚生年金保険の資格を喪失します
75歳になると健康保険から後期高齢者医療制度へ移行します

年齢 変わること
40歳 介護保険料の徴収が始まる
60歳 特に区切りはない(条件を満たせば継続して加入)
70歳 厚生年金の資格を喪失し、保険料の徴収が終わる
75歳 健康保険を抜け、後期高齢者医療制度へ移行する

保険料の締めくくり方にも決まりがあります。
厚生年金保険料は、70歳の誕生日の前日が属する月の前月まで支払います。
70歳以降も同じ会社で働き続ける場合、厚生年金の保険料はなくなります。

健康保険料は75歳になるまで引かれ続けます。

60歳・65歳を過ぎても条件を満たせば加入義務がある

60歳で定年を迎えても、その後も働くのであれば厚生年金の加入は続きます。
本人の希望で外れることはできません。

60歳を過ぎても会社員として現役世代と変わらず勤務するのであれば、厚生年金への加入が必要です。
60歳以降の年金については、「国民年金は任意、厚生年金は義務」と覚えておくとわかりやすいでしょう。

定年後に再雇用や嘱託として働き方を変えた場合も、判定の基準は変わりません。
週30時間以上、あるいは勤務先が51人以上で週20時間以上といった条件を満たしていれば、加入対象です。

65歳を過ぎても同様です。
年金を受け取りながら働いていても、条件を満たす限り被保険者であり続けます。

ただし65歳以上で厚生年金保険に加入して働きながら老齢厚生年金を受け取る方は注意点があります。
在職老齢年金制度により年金額がカットされる可能性があります。

定年後でも加入を避けたい場合の考え方は現役世代と同じです。
労働時間を要件未満に抑える以外に方法はありません。

70歳以上でも加入できる「高齢任意加入」

70歳になると厚生年金の資格は失われますが、例外的に加入を続けられる制度があります。
「高齢任意加入」と呼ばれるものです。

70歳を過ぎても会社に勤める場合は、加入期間を満たしていない場合に任意に厚生年金保険に加入することができます。

ただし、誰でも使える制度ではありません。
70歳以上の方が厚生年金に加入し続けられるのは、老齢年金の受給資格期間(原則10年)を満たしていない場合に限られます

これはあくまで受給資格を満たすための救済措置。
年金額をもっと増やしたいという理由で任意に加入し続けられるわけではありません。

すでに10年以上の加入期間がある方は、この制度を使えません。
年金を増やす目的での利用はできない点に注意してください。

手続きにも条件があります。
高齢任意加入被保険者は年齢を理由として資格を喪失することはありません。
資格喪失の申出などがない限り、政令で定める年金給付の受給権を取得するまで被保険者となります。

適用事業所以外で働く70歳以上の方が任意加入する場合はまた別です。
事業主の同意を得ていること、および厚生労働大臣の認可を受けることが要件となります。

保険料の負担にも違いがあります。
適用事業所で働く場合、企業側が同意しなければ70歳以降の厚生年金保険料は全額従業員の自己負担となります。

通常の加入では会社と折半する保険料を、全額自分で負担するケースがある、ということです。
利用を検討する場合は、勤務先と年金事務所への確認が必要になります。

厚生年金の加入条件に関するよくある質問【FAQ】

厚生年金の加入条件に関して、特に多く寄せられる疑問を10問にまとめました。

Q.厚生年金は週何時間働いたら加入できますか
A.勤務先の規模で変わります。
従業員51人以上の会社なら週20時間以上、50人以下の会社なら正社員の4分の3以上(週40時間の会社で週30時間以上)が目安です。
判定に使うのは実労働時間ではなく、雇用契約書に記載された所定労働時間です。

Q.従業員が50人以下の会社は社会保険に加入しなくていいのですか
A.加入義務がなくなるわけではありません。
50人以下でも、正社員や役員、4分の3基準を満たすパートは加入対象です。
対象外となるのは、4分の3基準を満たさない短時間労働者に限られます。
週30時間以上働いていれば、会社の規模に関係なく加入します。

Q.週20時間以上働いても社会保険に加入できないのはなぜですか
A.週20時間は要件の1つにすぎないためです。
勤務先が50人以下である、2026年9月までは月額賃金が8.8万円未満である、雇用契約が2か月以内である、昼間の学生であるといった場合は、週20時間以上でも加入対象になりません。
最も多いのは勤務先が50人以下のケースです。

Q.厚生年金に加入するのは年収いくらからですか
A.2026年9月までは月額賃金8.8万円以上、年収に換算すると約106万円が基準です。
2026年10月以降はこの賃金要件が撤廃され、金額による基準はなくなります。
10月からは年収がいくらであっても、週20時間以上働いていれば加入対象になります。

Q.週3日勤務や週4日5時間のパートでも加入できますか
A.週の所定労働時間の合計で判断します。
週4日5時間なら週20時間となり、勤務先が51人以上であれば加入対象です。
週3日6時間なら週18時間となり、対象外になります。
日数だけでなく、1日の勤務時間を掛け合わせた合計時間で確認してください。

Q.ダブルワークで週20時間を超えたら保険はどうなりますか
A.複数の勤務先の時間は合算されません。
A社15時間、B社10時間なら合計25時間でも、どちらも加入対象外です。
ただし両方の勤務先でそれぞれ要件を満たした場合は両方で加入することになり、「二以上事業所勤務届」を年金事務所へ提出したうえで保険料を按分します。

Q.60歳を過ぎても厚生年金に加入できますか
A.70歳未満であれば、条件を満たす限り加入します。
加入できるかどうかではなく、義務として続く点に注意が必要です。
定年後の再雇用や嘱託でも、週30時間以上、または勤務先が51人以上で週20時間以上であれば被保険者のままです。
本人の希望で外れることはできません。

Q.70歳を過ぎても厚生年金に加入できますか
A.原則としてできません。70歳で資格を喪失し、保険料の徴収も終わります。
例外は「高齢任意加入」で、老齢年金の受給資格期間(原則10年)を満たしていない方に限り利用できます。
年金額を増やす目的では使えず、保険料が全額自己負担になる場合があります。

Q.厚生年金は会社に強制加入ですか
A.強制加入です。
すべての法人事業所と、常時5人以上の従業員がいる個人事業所(一部業種を除く)は加入が義務づけられています。
社長1人だけの法人も対象です。
従業員側も、条件を満たせば本人や会社の意思で加入を見送ることはできません。

Q.2026年10月からパートの社会保険はどうなりますか
A.月額賃金8.8万円以上という要件が撤廃されます。
週20時間以上、従業員51人以上、2か月超の雇用見込み、学生でないことの4つは変わりません。
50人以下の会社で働く方の扱いも変わらず、企業規模の基準が下がり始めるのは2027年10月からです。

まとめ:厚生年金2026年10月までに確認すべき3つのこと

2026年10月の改正で変わるのは、5つある条件のうち「月額8.8万円以上」の1つだけです。
週20時間以上も、従業員51人以上も据え置かれます。

改正までに確認しておきたいのは、次の3点です。 

改正までに確認しておきたいポイント
  • 勤務先の従業員数を確認する
  • 雇用契約書で「所定労働時間」を確認する
  • 10月以降の働き方を決めておく

自分がどちらに当てはまるかは、記事冒頭の早見表で確認できます。

勤務先の人数と週の所定労働時間が分かれば、その場で結論が出ます。
「月額8.8万円以上」の条件で厚生年金の調整をしている方は注意が必要です。

10月以降に使える調整方法は「週20時間未満に抑える」の1つだけになります。

厚生年金に加入するのか、時間を調整して対象外にとどまるのか。
シフトの相談は早めに始めるのが安心です。

ピックアップ

CONTACT

お問い合わせ

「ひと・お金・未来」のお悩み解決は、
無料相談から。