130万円の壁はなくなる?いつから何が変わるかを完全解説
2026.05.31
リードブレーン株式会社
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130万円の壁はなくなる?いつから何が変わるかを完全解説

「扶養内で働くパート主婦・主夫にとって、「130万円の壁」は毎年の働き方を左右する最重要ラインです。
2025年頃から「年収の壁がなくなる」というニュースが増えました。
それにより、期待と不安の両方を感じている方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げると、130万円の壁は廃止されません。
ただし、2026年4月から判定方法が変わり、実質的に大きく緩和されます。
つまり、契約上の年収が130万円未満であれば、一時的に超えても扶養に入り続けられるようになります。
さらに、2025年10月には学生向け、2026年10月には106万円の壁にも大きな変更が加わりました。
年収の壁全体が、大きく動いている状況にあります。
この記事では、「130万円の壁はなくなるのか?」というあなたの疑問に対し、以下の内容を徹底解説します。
- 「130万円の壁がなくなる」は本当か?真実と誤解の整理
- いつから何が変わるのか(2025年10月/2026年4月/2026年10月の3つの施行日)
- 2026年4月からの新ルール(労働条件通知書ベース判定)の中身
【結論】130万円の壁は「なくなる」ではなく「2026年4月に判定方法が変わる」
「130万円の壁がなくなる」という言葉は、「壁自体は残るが、判定方法が変わって実質緩和される」が正解です。
結論を3つの要点と早見表で整理します。
30秒でわかる3つの結論
まず押さえておきたい3つの結論です。
- ✓ 「130万円の壁」自体は廃止されない:年収130万円を超えると社会保険の扶養から外れる、という基本ルールは2026年以降も継続します。
- ✓ 2026年4月から判定方法が変わり、実質緩和される:これまでの「実際の年収」ではなく、「労働条件通知書に書かれた年収見込み」で判断されるようになります。残業で一時的に超えても、契約上の年収が130万円未満なら扶養に入り続けられます。
- ✓ 「なくなる」と言われているのは主に106万円の壁:2026年10月に106万円の壁(賃金要件)が撤廃される予定で、これが「130万円の壁がなくなる」と混同されて広まっています。
つまり、「130万円の壁」は形を変えて残るものの働き控えの必要性が大きく減る方向に動いているということです。
いつから何が変わるか一覧
「いつから」「誰が」「何が変わるのか」を一目で把握できるよう、早見表にまとめました。
| 施行日 | 対象 | 変更内容 | 影響を受ける人 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月(施行済) | 学生(19〜23歳未満) | 親の扶養に入れる年収基準が130万円→150万円に引き上げ | 大学生アルバイト・その親 |
| 2026年4月 | 全パート・アルバイト | 130万円の壁の判定が「実績」→「労働条件通知書ベース」に変更 | 扶養内パート主婦・短時間労働者 |
| 2026年10月 | 一部のパート | 106万円の壁の賃金要件が撤廃(週20時間以上で社保加入対象に) | 大企業(51人以上)勤務のパート |
この3つの施行日を混同すると、「自分は対象なのか」が分からなくなります。
各施行日について後ほど詳しく解説しますが、まずは「2026年4月に130万円の壁の判定方法が変わる」がメインの変更だと覚えておきましょう。
誰に影響があるのか
「結局、自分は関係あるの?」という疑問にお答えします。
今回の変更で影響を受けるのは、主に次の方々です。
- ✓ 扶養内で働くパート主婦・主夫:2026年4月以降、シフト調整や残業対応に余裕が生まれます
- ✓ 大学生アルバイトとその親:2025年10月から既に150万円まで稼げる仕組みが始まっています
- ✓ ダブルワーカー・副業者:合算判定のルールは継続するため、引き続き注意が必要です
- ✓ 企業の人事・労務担当者:労働条件通知書の整備と被扶養者認定手続きの見直しが必要です
逆に、年収130万円を大きく下回って働いている方や、すでに扶養を外れて働いている方は、今回の変更による直接的な影響は限定的です。
次の章では、106万円の壁との混同について整理していきます。
「130万円の壁がなくなる」と言われる理由|106万円の壁との混同を整理
130万円の壁がなくなるという情報を見て検索したあなたは、別の話と混同してしまっているかもしれません。
「年収の壁が変わる」と聞いても、それが106万円の話なのか130万円の話なのか、わからなくなる人が大半です。
130万円の壁の基本から、なぜ「なくなる」と誤解されているのかまで、一気に整理していきます。
130万円の壁とは(社会保険の扶養から外れる基準)
130万円の壁とは、配偶者や親の社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養から外れる年収ボーダーラインのことです。
年収が130万円を超えると、夫や親の扶養から外れ、自分で社会保険料を払う必要が出てきます。
具体的には、勤務先の社会保険に加入するか、または国民健康保険・国民年金に加入することになります。
130万円の壁を超えた場合の主な変化は以下のとおりです。
- △扶養から外れる:配偶者や親の健康保険・年金の被扶養者でなくなる
- △保険料負担が発生する:月額1.5万〜3万円程度の社会保険料を自分で払う必要がある
- △手取りが減る:年収129万円と130万円では、手取りで約15万円の差が出ることもある
- △扶養手当が外れる可能性:配偶者の会社の扶養手当・家族手当が支給停止になるケースが多い
このように、130万円の壁は家計に直結する非常にインパクトの大きいラインです。
多くの人が「絶対に超えないように」とシフト調整をしている理由がここにあります。
なお、130万円の壁の収入には、給与だけでなく通勤手当・賞与・残業代・副業収入・年金・不動産収入なども含まれる点に注意が必要です。
所得税では非課税の通勤手当も、社会保険の判定では全額カウントされます。
「なくなる」と誤解される最大の原因は106万円の壁との混同
「130万円の壁がなくなる」という情報の正体は、ほとんどの場合106万円の壁との混同です。
なぜ混同が起きているのか、整理しましょう。
- 2025年の年金制度改正法で「106万円の壁」の賃金要件撤廃が決まった:これがニュースで「年収の壁がなくなる」と報じられた
- 「106万円」と「130万円」は両方とも社会保険の壁:どちらも同じ「社会保険」の話なので、消費者から見ると区別がつきにくい
- 2026年4月に130万円の壁も「判定方法」が変わる:別の改正が同じタイミングで起きているため、「130万も廃止」と勘違いされやすい
- 2026年は103万円の壁(→123万→178万)も動いている:複数の壁の改正が同時進行で、ニュースが混在している
つまり、実際になくなるのは106万円の壁(賃金要件)だけです。
130万円の壁自体は、存続します。
ただし、130万円の壁も2026年4月から「判定方法」が変わって実質的に緩和されるのは事実です。
壁はなくなりませんが、これまでより働きやすくなることは間違いありません。
130万・106万・103万の違い一覧表
年収の壁は複数あります。
それぞれ、どの法律に関係するのかが異なるので主要な壁を一覧表でまとめました。
| 壁の名称 | 種類 | 内容 | 2026年の状況 |
|---|---|---|---|
| 103万円→160万円→178万円の壁 | 税金(所得税) | 労働者本人に所得税が発生するライン | 2025年に160万円、2026年から178万円に引き上げ |
| 103万→123万→136万円の壁 | 税金(配偶者・扶養控除) | 親や配偶者が満額の扶養控除・配偶者控除を受けられるライン | 2025年に123万円、2026年から136万円に引き上げ |
| 106万円の壁 | 社会保険 | 大企業勤務の場合に勤務先の社保加入義務が発生するライン | 2026年10月に賃金要件が撤廃 |
| 130万円の壁 | 社会保険 | 配偶者・親の社会保険の扶養から外れるライン | 2026年4月に判定方法が変更(実質緩和) |
| 150万円の壁 | 税金(配偶者特別控除) | 配偶者特別控除の満額が受けられるライン | 税制改正により160万円に引き上げ(2026年も継続適用) |
| 150万円の壁(学生) | 社会保険 | 19〜23歳未満の学生が親の社保扶養に入れるライン | 2025年10月に130万円→150万円に引き上げ済 |
ポイントは、「税金の壁」と「社会保険の壁」は別物ということです。
所得税の壁(178万円)が引き上げられても、社会保険の壁(130万円)は別の制度です。
そのため、両方を意識する必要があります。
あなたがパート主婦で、年収115〜128万円のゾーンで働いているなら、最も意識すべきは130万円の壁です。
次の章では、その130万円の壁が「いつから」「どう変わるのか」を3つの施行日に分けて詳しく解説します。
130万円の壁が変わるのはいつから?3つの施行日を完全整理
130万円の壁はいつから変わるのでしょうか?
実は、年収の壁の改正は1つの日付で一斉に変わるわけではありません。
2025年10月・2026年4月・2026年10月の3つの施行日に分かれて段階的に進行しています。
混乱を避けるため、それぞれの施行日に「何が」「誰に対して」変わるのかを整理します。
【2025年10月施行済】学生(19〜23歳未満)は150万円に引き上げ
最初の改正は2025年10月1日から既にスタートしています。
19歳以上23歳未満の学生については、親の社会保険の扶養に入れる年収基準が130万円→150万円に引き上げられました。
- 対象者:19歳以上23歳未満の被扶養者(主に大学生・短大生・専門学校生)
- 基準額:従来の130万円→150万円に引き上げ
- 背景:大学生のアルバイト収入が増加しており、学業と両立しながら働く学生が「年収130万円」を意識して働き控えする状況を改善するため
- 適用タイミング:2025年10月1日以降に被扶養者認定を受ける方が対象
これにより、大学生のお子さんがいる家庭では、子どもが年収150万円未満であれば親の健康保険・年金の扶養に入り続けられるようになりました。
さらに税制面でも「特定親族特別控除」が新設されており、年収150万円まで親が満額の控除を受けられます。
ただし、注意点があります。
これは「社会保険の扶養基準」の話で、24歳以上の人や学生でない19〜22歳の人には従来どおり130万円の壁が適用されます。
大学生本人が「150万円まで稼いでOK」と思っていると、卒業後にいきなり130万円基準に戻る点も覚えておきましょう。
【2026年4月施行】130万円の壁の判定方法が変更
ここからは、2026年4月1日からの130万円の壁の判定方法変更の改正ポイントを詳しくご紹介します。
- 対象者:2026年4月以降に被扶養者認定を受けるすべてのパート・アルバイト
- 変更内容:「実際の収入見込み」での判定→「労働条件通知書に記載された年間収入見込み」での判定に変更
- 根拠:厚生労働省2025年10月1日付通達(保保発1001第3号・年管管発1001第3号)
- 最大のメリット:契約に規定のない残業代は年収にカウントされない
これまでは、繁忙期の残業や追加シフトで年収が130万円を超えそうになると、扶養から外れるリスクがありました。
2026年4月以降は、労働契約書(労働条件通知書)に書かれた年収見込みが130万円未満であれば安心です。
残業で超えても扶養に入り続けられるようになります。
たとえば、時給1,200円×週20時間×年52週=124万8,000円の契約で働いている方が、繁忙期の残業で実収入が135万円になったとします。
それでも、契約上の見込みが130万円未満なら扶養内になるというイメージです(社会通念上妥当な範囲に限る)。
ただし注意点として、契約書に時間外労働の規定がない場合、その残業代は年収に含まれないというルールがあります。
企業側が、しっかり労働条件通知書を整備していることが大前提です。
あなたが勤務先から労働条件通知書をもらっていない場合は、契約更新のタイミングで発行を依頼しましょう。
【2026年10月施行予定】106万円の壁(賃金要件)が撤廃
2026年10月の改正は「106万円の壁」の話です。
130万円の壁とは、別の改正になります。
混同しやすいので、整理しましょう。
- 対象者:従業員51人以上の企業に勤務するパート・アルバイト
- 変更内容:106万円の壁の「月収8.8万円以上(賃金要件)」が撤廃される
- 残る要件:「週20時間以上」の労働時間要件は維持される見通し
- 背景:最低賃金の上昇により、賃金要件が形骸化していたため
2026年10月以降、大企業で週20時間以上働く人は、年収106万円未満であっても勤務先の社会保険に加入することになります。
一見デメリットに見えますが、社会保険に加入すれば将来の年金額が増える・傷病手当金や出産手当金が受けられるといったメリットもあります。
ただし、従業員50人以下の中小企業で働くパートには、この106万円の壁の改正は関係ありません。
「いつから自分に適用される?」契約更新タイミング別の考え方
130万円の壁の新ルールは、2026年4月1日以降に被扶養者認定を受ける人から適用されます。
具体的なケース別に整理すると以下のとおりです。
| あなたの状況 | 新ルール適用タイミング |
|---|---|
| 既に被扶養者として認定済み | 2026年度の年1回の被扶養者資格確認(検認)のタイミングで新ルールが適用 |
| 2026年4月以降に新たに就職・契約更新 | 契約締結時に新ルールで判定 |
| 2026年3月以前に契約締結&認定済み | 次の検認時まで現行ルール、検認以降は新ルール |
| 一度扶養を外れて再加入する場合 | 再加入手続きの際に新ルールで判定 |
ポイントは、契約更新や年1回の検認のタイミングで自動的に新ルールに切り替わるということです。
あなた自身が特別な手続きをする必要はありません。
しかし、労働条件通知書の内容が判定の根拠になるため契約更新時には記載内容を必ず確認しましょう。
2026年4月からの新ルールと「2年ルール(事業主証明)」の中身を完全整理
2026年4月から判定方法が変わるといいますが、具体的に何がどう変わるのか分からないと判断しようがありませんよね。
ここからは、新ルールの中身を旧ルールと比較しながら徹底解説していきます。
新ルールとは|判定方法が「実績ベース」から「労働条件通知書ベース」に変更
2026年4月からの新ルールでは、被扶養者認定の判定基準が変わります。
「実績や見込み」ではなく「労働契約書(労働条件通知書)に記載された内容」がベースとなります。
- ✓判定の根拠:労働条件通知書に記載された時給・所定労働時間・勤務日数などから算出する年間収入見込み
- ✓ 基準額:130万円未満(従来と同じ)
- ✓判定タイミング:被扶養者認定時および年1回の検認時
- ✓追加で必要な書類:「給与収入のみである」旨の申立て
つまり「契約書に書かれた数字を機械的に計算して130万円未満なら扶養OK」となります。これまでの「年収見込みは状況次第」という曖昧さがなくなり、「いつ扶養を外れるかわからない」という不安が解消されるのが最大のメリットです。
実務上は、企業側が労働条件通知書に「時給・所定労働時間・勤務日数・諸手当」を明確に記載することが求められています。
これをもとに、健康保険組合や協会けんぽが判定するということです。
あなたの勤務先が労働条件通知書をきちんと交付してくれているかが、特に重要になります。
旧ルール vs 新ルール 比較表
何がどう変わるのか、一目で分かるように整理しました。
| 比較項目 | 旧ルール(〜2026年3月) | 新ルール(2026年4月〜) |
|---|---|---|
| 判定の基準 | 実際の収入見込み(実績ベース) | 労働条件通知書の記載内容(契約ベース) |
| 残業代の扱い | 含めて判定(130万円超で扶養外れる可能性) | 契約に規定のない残業代は含めない |
| 臨時収入の扱い | 含めて判定 | 社会通念上妥当な範囲なら扶養を維持 |
| 必要書類 | 課税証明書・給与明細・雇用契約書な | 労働条件通知書+「給与収入のみ」の申立て |
| 判定の予見可能性 | 低い(年末になるまで分からない) | 高い(契約時点で見通しが立つ) |
| 事業主証明(2年ルール) | 主な救済措置として機能 | 新ルールで救済される範囲が拡大、ただし併用可 |
| 対象者 | パート・アルバイト全般 | パート・アルバイト全般(19〜23歳未満学生は150万円基準) |
特に注目すべきは「契約に規定のない残業代は年収にカウントしない」という変更です。
契約上の年収が130万円未満であれば、繁忙期の残業や追加シフトに応じても扶養に入り続けられるようになります。
残業代はどうカウントされる?
新ルールの中で、あなたが最も気になるのは「残業代の扱い」ではないでしょうか。
これがまさに「実質緩和」と言われる理由の中心です。
- 契約書に「時間外労働あり」と明記され、固定残業代等が決まっている場合:その固定的賃金は年収にカウント
- 契約書に時間外労働の規定がない場合:実際に残業しても、その残業代は年収にカウントしない
- 臨時の残業や繁忙期対応の収入:社会通念上妥当な範囲であれば、結果的に130万円を超えても扶養を維持できる
具体例で見てみましょう。
新ルール判定:契約上の見込みが130万円未満であり、残業は契約に規定のないものなので、原則として扶養を継続できる(社会通念上妥当な範囲)
137万円という実収入を見て扶養から外されるリスクがありました。
しかし、新ルールでは「契約書の数字」が判定の基準になります。
それにより、安心して繁忙期の対応ができるようになります。
ただし、毎年継続的に残業が発生して年収が大幅に超過するケースは「社会通念上妥当な範囲」を逸脱すると判断される可能性があります。
あくまで、「一時的・臨時的な収入増」が前提です。
通勤手当・賞与は要注意
新ルールでも変わらない「落とし穴」が、通勤手当と賞与の扱いです。
- △通勤手当:所得税では非課税ですが、社会保険の判定では全額カウントされます。月1万円の通勤手当があれば年12万円が年収に加算されます
- △賞与:契約書に賞与の支給規定がある場合、その金額は年間収入見込みに含まれます
- △諸手当:住宅手当・家族手当などの固定的賃金もすべて年収にカウント
- △その他収入:年金・不動産収入・配当収入なども130万円判定に含まれる
たとえば、時給1,200円×週20時間×52週=124万8,000円の方が、通勤手当月1万円(年12万円)を受け取っているとします。
合計136万8,000円となり、契約上ですでに130万円を超えてしまうので扶養に入れません。
労働条件通知書をチェックする際は、「給与本体」だけでなく「通勤手当・諸手当」も確認しましょう。
合計が130万円未満になる必要があります。
2年ルール(事業主証明)とは?2023年10月導入の救済措置
2026年4月の新ルール導入後も、もう一つの仕組み「2年ルール(事業主証明)」が併存しています。
混同しないように整理しておきましょう。
- 正式名称:年収の壁・支援強化パッケージ「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」
- 導入時期:2023年10月20日
- 対象:人手不足による残業等で一時的に年収130万円以上となったパート・アルバイト
- 救済期間:同一の方について原則連続2回(=連続2年間)まで継続して扶養認定可能
- 必要書類:「被扶養者の収入確認に当たっての『一時的な収入変動』に係る事業主の証明書」
事業主が「これは一時的な収入増です」と証明することで、引き続き扶養に入り続けられる、という仕組みです。
ただし、対象は事業主と雇用関係にあるパート・アルバイトのみです。
フリーランス・個人事業主・基本給の上昇による恒常的な収入増は対象外になるため注意が必要です。
新ルールと2年ルールの違いと使い分け
2年ルール(事業主証明)は廃止されず、新ルールと併存します。
ただし、適用される場面が変わるので確認しましょう。
| 状況 | 適用されるルール |
|---|---|
| 契約上の年収が130万円未満で、残業で実収入が超過 | 新ルール(労働条件通知書ベース)で原則扶養を維持 |
| 契約上の年収がそもそも130万円以上 | 新ルールでは扶養に入れない→2年ルールで救済可能 |
| 残業が常態化し「社会通念上妥当な範囲」を超える | を使って事業主証明を提出 |
| 基本給が上昇して恒常的に130万円を超える | どちらのルールでも救済不可(扶養から外れる) |
新ルールは「契約段階での予見可能性を高める仕組み」、2年ルールは「結果として超過した場合の救済措置」という役割分担です。
多くのパート主婦は新ルールで十分カバーされますが、繁忙期に大幅な残業が発生する職場では2年ルールも引き続き活用できます。
事業主証明書の必要書類と提出先
2年ルールを使う場合の、事業主証明書の提出フローを整理します。
-
- パート先(B社)で証明書を発行依頼:「一時的な収入変動に係る事業主の証明書」を勤務先で作成してもらう
- 本人を経由して配偶者の勤務先(A社)に提出:証明書をA社の人事・総務部門に提出
- A社が加入している健康保険組合・協会けんぽに提出:A社経由で被扶養者認定の手続きが行われる
- 必要書類の追加:課税証明書・給与明細書・雇用契約書なども併せて提出
提出経路:B社(証明書発行)→本人→配偶者→A社→A社加入の健保組合
- 新規で被扶養者認定を受けるとき
- 年1回の被扶養者資格確認(検認)のとき
- 健保組合から確認を求められたとき
複数の勤務先がある場合は、収入増の主たる要因となった勤務先から証明書を取得します。
両方で一時的な収入増があれば、それぞれから取得が必要です。
事業主証明様式は厚生労働省の公式サイトからダウンロードできるほか、健康保険組合によっては独自様式を用意している場合もあります。
提出前に、配偶者の加入する健保組合のホームページで確認しましょう。
130万円の壁に関するよくある5つの質問(FAQ)
ここまで詳しく解説してきましたが、さらに5つの質問をピックアップし、シンプルにお答えします。
「130万円の壁がなくなる」という情報は不正確で、正確には「壁の判定方法が変わって、これまでより働きやすくなる」が正解です。
- ✓壁自体は2026年以降も継続:年収130万円超で社会保険の扶養から外れるという基本ルールは存続
- ✓2026年4月から判定が変わる:実際の収入ではなく、労働条件通知書ベースで判定
- ✓混同されているのは106万円の壁:こちらは2026年10月に賃金要件が撤廃される予定
「もう130万円を気にせず働ける」ということではないので、引き続き年収管理は必要です。
ただし、関連する改正は施行日が異なるので注意してください。
| 施行日 | 内容 |
|---|---|
| 2025年10月1日(施行済) | 学生(19〜23歳未満)は150万円基準に引き上げ |
| 2026年4月1日 | 130万円の壁の判定が「労働条件通知書ベース」に変更 |
| 2026年10月 | 106万円の壁(賃金要件)が撤廃 |
新ルールは「2026年4月1日以降に被扶養者認定を受ける人」から適用されます。
既に扶養に入っている方も、年1回の検認のタイミングで新ルールに切り替わります。
具体的な負担額の目安は以下のとおりです。
- 国民健康保険+国民年金(自分で加入する場合):年間約30万円(40歳未満)
- 勤務先の社会保険に加入(労使折半):年間約19〜20万円(40歳未満)
- 国民年金保険料:月額17,920円(令和8年度・全国一律)
- 国民健康保険料:年収130万円なら年間約10万円(自治体・年齢で変動)
年収130万円を1円でも超えると、約30万円の負担が発生して手取りが大きく減ります。
超えるなら最低でも年収150万円以上を目指すのが、手取り上は合理的です。
「バレない」と思って放置するのは非常にリスクが高い行為です。
- マイナンバーで所得情報が把握可能:健保組合が照会すれば収入超過を確認できる
- 年1回の被扶養者資格確認(検認):配偶者の会社経由で課税証明書の提出が求められる
- 過去にさかのぼって扶養取消:発覚後は遡及して扶養から外れ、国保に切り替える手続きが必要
- 医療費の返還請求リスク:使用済みの健康保険の医療費を返還請求される可能性
「バレなければ大丈夫」ではなく、超えそうな段階で配偶者の健保組合に相談するのが正しい対処法です。
混同しやすいので、3つの違いを表で整理します。
| 壁 | 種類 | 内容 | 2026年の状況 |
|---|---|---|---|
| 106万円の壁 | 社会保険(勤務先加入) | 大企業勤務で社保加入義務発生 | 2026年10月に賃金要件撤廃 |
| 130万円の壁 | 社会保険(扶養) | 配偶者・親の扶養から外れる | 2026年4月に判定方法変更 |
| 178万円の壁 | 所得税 | 所得税が発生するライン | 2026年から103万→178万に引き上げ |
ポイントは、税金の壁(178万円)と社会保険の壁(130万円・106万円)は別制度ということです。
所得税が178万円まで非課税になっても、社会保険の130万円の壁は別に存在します。
なので、両方を意識して働き方を決める必要があります。
まとめ|2026年4月以降の賢い働き方
ここまで「130万円の壁はなくなるのか?」「いつから何が変わるのか?」を詳しく解説してきました。
最後に、状況別に取るべき行動を整理します。
- 130万円の壁は廃止されないが、2026年4月から判定方法が変わり実質緩和
- 「いつから」は3つの施行日に分かれる:2025年10月(学生150万円)/2026年4月(130万円判定変更)/2026年10月(106万円撤廃)
- 新ルールでは契約に規定のない残業代は年収にカウントされない
扶養内で働き続けたい人がやるべきこと
「これからも夫(妻・親)の扶養内で働きたい」という方は、以下の3ステップで準備しましょう。
- ✓労働条件通知書を勤務先からもらう:時給・所定労働時間・諸手当の記載を確認
- ✓通勤手当を含めた契約上の年収を計算:130万円未満であることを確認(推奨は120〜125万円程度)
- ✓配偶者の扶養手当規程を確認:会社独自の基準で支給停止になるラインを把握
2026年4月以降は、契約上の年収が130万円未満であれば、繁忙期の残業や追加シフトに応じても扶養を維持できる可能性が高くなります。
これまで断っていた仕事も、安心して引き受けられるようになるでしょう。
扶養から外れて稼ぎたい人がやるべきこと
「いっそ扶養を外れて稼ぎたい」という方は、年収150万円以上を目標に設定しましょう。
- 勤務先の社会保険に加入できる環境を選ぶ:労使折半で負担を抑える
- 週20時間以上の勤務シフトを組む:2026年10月以降は大企業(51人以上)で年収106万円未満でも社保加入対象
- 将来の年金額が増えるメリットを認識:手取りが一時的に減っても、長期的にはプラス
- 配偶者の扶養手当の有無を確認:外れる金額分も考慮した年収目標を設定
130〜145万円の「働き損ゾーン」を避け、しっかり稼ぐか、扶養内に収めるかの二択で考えるのがおすすめです。
130万円の壁は完全になくなるわけではありませんが、2026年4月以降は確実にこれまでより働きやすくなります。
あなたの家庭の状況に合わせて、後悔のない働き方を選んでくださいね。
不安や疑問があれば、加入する健康保険組合や、お住まいの市区町村の年金窓口、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。