COLUMN

お役立ちコラム

2020.10.29

リードブレーン株式会社

テーマ:

1人しかいない取締役が死亡した場合はどうしたら良いのか?

 

事例

当社は取締役会非設置会社で、創業者である社長1名が取締役となっていますが、先般その社長(取締役)が急死してしまいました。このままでは業務に支障をきたしてしまいますが、どのような措置を取ればよいのでしょうか。

実務解説

株主総会の同意が得られる場合は、①招集手続を省略した株主総会を開催する、又は株主総会の決議を省略する方法により、新たな取締役を選任します。また、株主全員の同意が得られない場合は、③少数株主による株主総会招集の請求の制度を用い、新たな取締役を選任するか、④株主等の利害関係人が裁判所に対し、一時取締役の選任を申し立てます。

ポイント

 

後任取締役選任の必要性

取締役が1人しかいない株主総会においては、会社の業務執行はその取締役が行うことになりますが(会社348)、その取締役が死亡してしまうと、会社の業務執行を行うものがいなくなってしまいます。また、株主会社においては、最低1人の取締役を置かなくてはならないことから(会社326①・976二十二)、遅滞なく後任の取締役を株主総会で選任することが必要となります(会社329)。

後任取締役選任の方法

株主総会を招集する権限があるのは、原則として取締役になりますが(会社296③)、唯一の取締役が死亡してしまった場合は、取締役が株主総会を招集することができません。もっとも、①株主全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく株主総会を開催し(会社300)、新たな取締役を選任することができます(なお、死亡した取締役が株主であった場合には、その相続人全員から同意を得ることができます。)。また、株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、その提案を株主全員が書面又は電磁的記録により同意した時は、その提案を可決した株主総会決議があったことになります(会社319①「株主総会の決議の省略」)。そこで、株主全員から後任の取締役についても同意が得られる場合には、こちらの方法をとるとよいでしょう。

株主全員の同意が得られない場合

もっとも、株主全員の同意が得られない場合は、③少数株主における株主総会招集の請求の制度を用い、裁判所の許可を得て自ら株主総会を招集し(会社297)、取締役を選任するか、④株主等の利害関係人が、会社の本店の所在地を管轄する裁判所に対し、一時取締役の職務を行うべき者(一時取締役)の選任を申し立てることになります(会社346868①)。④の場合は、裁判所に選任された一時取締役が株主総会を招集し、その株主総会で新たな取締役を選任するとともに、取締役が選任されるまで、一時取締役が会社の業務執行を行うことになります(なお、一時取締役の権限は、本来の取締役の権限と同一です。)。

 

取締役が1人しかいない場合は、今回のような急死などどう対応したらいいか悩む場面があるかと思います。事前にさまざまな状況を想定し、対応できるよう調べておくことも大切です。

 

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