COLUMN
お役立ちコラム
2020.07.23
リードブレーン株式会社
テーマ:
親会社の取締役が子会社の取締役を兼務できるのか?
親会社の取締役が子会社の取締役を兼務することはできるかどうか皆さんはご存知でしょうか?今日は子会社の取締役を兼務させることで生じるメリットとデメリットについても解説させて頂きます。
結論から述べると、親会社の取締役が子会社の取締役を兼務することはできます。兼務のメリットはグループ事業の効率性と求心力が高まることであり、デメリットは子会社の独自性を害するおそれがあることです。
親会社の取締役と子会社の取締役の兼務は原則可能
親会社の取締役が子会社の取締役を兼任すること自体は原則として禁止されていません(なお、監査役が株式会社又はその子会社の取締役を兼務することは禁止されています(会社335②)。)。
さらに、持株会社体制の拡大により企業グループの業務の中心が子会社にあり、持株会社による子会社の監督が不十分となっている例が多いのではないかとの問題意識から、平成26年改正会社法は、取締役ないし取締役会の権限として、株式会社の業務の適正確保のための体制の整備だけではなく、株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要な体制の整備についての規定を新設しました(会社362④六)。
その実効性確保のため、親会社と子会社の間で取締役の兼務が行われる場合も少なくありません。
取締役兼務のメリット
一般的には、メリットとして、①兼務により親子会社間で意思決定と執行の連続性が確保され事業の効率性に資すること、②子会社の情報収集と親会社の方針伝達を通じてグループとしての求心力を強めることができること、が挙げられます。
ただ、グループ・ガバナンスの確保のため、役員にいかなる役割を期待して兼務させるかは、それぞれの企業グループに応じたバリエーションがあります。例えば、純粋持株会社と事業子会社との兼務であれば、親会社が子会社の事業を知ることをメリットとして挙げることができるでしょう。
取締役兼務のデメリット
一般的には、メリットの裏返しです。
行き過ぎた子会社管理により子会社の遠心力や独立性を阻害するおそれがあります。また、完全子会社でない場合は、少数株主の利益が阻害されるおそれもあるでしょう。
さらに、兼務役員自身は、子会社取締役としての任務懈怠責任のみならず、親会社取締役としてのそれが課される可能性があります。その可否は、完全子会社か否か、純粋持株会社か否か、兼務役員に与えられた役割の内容等により判断していくことになるでしょう。
取締役と会社が取引を行うことを利益相反取引といいますが、この場合取締役会の承認が必要になります。これは個人の利益を追求することによって会社に不利益をもらたすことを防ぐためです。
ポイント