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2020.05.29
リードブレーン株式会社
テーマ:
[新型コロナ資金繰り] 「小規模企業共済制度の特例措置」での貸付条件・掛金納付の柔軟な対応とは
経営者が加入できる「小規模企業共済制度」では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、契約者向けにさまざまな特例措置を実施しています。
本記事では、資金繰り改善の一手段として活用できる本措置の内容を分かりやすく紹介します。
「小規模企業共済制度」とは
そもそも「小規模企業共済制度」とは、掛金を積み立てることで経営者の退職金確保と事業資金の借入れの両方を可能とする制度です。
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置とは
2020年の新型肺炎の感染拡大を受け、借入や掛金納付の猶予を必要とする企業が急増しています。そこで下記4点の「特例措置」が設けられました。
【新型コロナ関連】小規模企業共済制度の特例措置の内容
- 緊急経営安定貸付の無利子化
- 契約者貸付の償還に対する柔軟な対応
- 掛金納付に関する柔軟な対応
- 分割共済金受給者への一括支給(繰上支給)
感染症拡大に伴う特例措置の内容
今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、本共済制度の契約者かつ「感染症の影響により1か月の売上高が前年または前々年度の同期と比較して5%以上の減少」が生じている企業であれば、状況に対応した下記の特例措置が受けられるようになりました。
- 経営安定化のために融資を必要とする企業
→①最大2,000万円の緊急経営安定貸付(無利子・据置期間1年)
→②分割共済金受給者への一括支給(繰上支給)
- 2020年4月7日時点で契約者貸付の残高がある企業
→延滞利子の免除(1年間)
- 掛金の納付に苦慮している企業
→①掛金月額の減額
→②掛金の納付期限の延長(令和2年11月まで)
特例緊急経営安定貸付の借入条件
感染症に伴う特例措置としての貸付には、下記の借入条件があります。
なかでも償還期間には借入から初回返済までの据置期間が含まれる点に注意しましょう。
【特例緊急経営安定貸付の借入条件】
借入額:50万円~2,000万円(※掛金納付月数に応じて、掛金の7割~9割)
償還期間:借入額500万円以下は4年・借入額が505万円以上は6年
据置期間:1年(※償還期間には据え置き間含む)
利率:0%
返済方法:6か月毎の元金均等払い
分割共済金受給者の一括支給(繰上支給)の留意点
そもそも共済金(払込済の掛金を退職金として受け取るもの)を分割で受け取るには、下記の条件をすべて満たす必要があります。
【分割共済金の請求条件】
- 請求事由発生日に60歳以上である
- 「個人事業の廃業」・「法人の解散」「契約者が65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ場合の老齢給付」のいずれかの理由に基づく請求である
- 共済金の額が300万円以上(一括受取りと分割受取りの併用の場合、一括支給30万円以上かつ分割支給300万円以上)
以上の点から、経営不振による引責退任等を理由に請求を開始しても、分割受取りならびに特例措置の対象にはなりません。また、特例措置による一括受取りに対応できた場合でも、給付額は所得税の賦課対象になる点に留意しなければなりません。
掛金納付への措置内容
掛金納付に関しては、①減額・②納付期限延長のいずれかが選択できます。
【掛金納付への措置内容】
- 減額する場合
契約者の任意で、今後の掛金月額を1,000円~70,000円の範囲内(500円単位)で選択できます。
- 納付期限延長
2020年11月分までの納付分を対象に掛金請求を延長できます。
ただし免除されるわけではなく、同年12月からは毎月2か月分ずつ支払って本来の納付計画に戻す必要があるため、注意を要します。
申請方法
本特例措置はいずれも郵送申請に対応しています。
申請の際は共済契約書番号を用意し、措置内容の紹介ページ(リンク)からダウンロードした所定の申請書を記入して係に送付しましょう(下記参照)。
なお、貸付を申し出る場合は「売上減少月の売上高が確認できる帳簿や明細等の写し」の添付が必須となります。
【特例措置の申請先】
- 緊急経営安定貸付・契約者貸付の延滞利子免除
…小規模共済融資課
- 掛金納付の柔軟対応を受ける場合
…小規模共済契約課
- 分割共済金受給者の一括支給(繰上支給)対応
…小規模共済給付課
まとめ
小規模企業共済制度の特例措置はいずれも契約者を対象としており、資金繰りに欠かせない貸付あるいは共済金一括支給は柔軟な対応が期待できます。一方で、所得税が賦課される可能性や、掛金の免除は今回行われていない点には要注意です。
本制度に関するご相談やサポートは、弊社にお任せください。
■この記事の参考
新型コロナウイルス感染症にかかる経営セーフティ共済の特例措置について/中小機構