COLUMN
お役立ちコラム
2020.03.09
リードブレーン株式会社
テーマ:
【コラム】経営を他人に任せるオーナー中小企業に適した機関設計は?
経営を他人に任せるオーナー中小企業に適した機関設計は?
事例
当社は、自動車関係の部品製造メーカーで、私が株式の全てを保有しています。
私も60歳を超え、経営を他人に任せ、第一線を退きたいと考えていますが、当面、株式は全て保有しておきたいと思っています。これまでは、私の経営で特に問題もなく、業績も好調でした。しかし、他人に任せると心配な点もあります。経営を他人に任せる際に適した機関設計はどのようにしたらよいのでしょうか。
ポイント
実務解説
経営を他人に任せるには、その業務執行の適正を監視監督するため、複数の取締役を置く、あるいは取締役会、監査役、会計参与などを置き、自分が取締役の一人として残ることなどを考えるべきでしょう。
取締役の業務執行適正化の担保
取締役は、会社に対し、善管注意義務・忠実義務を負い、株主の利益の最大化を図る経営をしなければなりません。そこで、会社法は、取締役の業務執行の適正をモニタリングし、これを担保する機関として、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人などの機関を強制あるいは任意に設置する仕組みを用意しています。
選択可能な機関設計
非公開会社であれば、株主総会と取締役1名の機関の会社も可能ですが、たとえ信頼できる取締役であったとしても、その者一人に会社の業務執行を委ねることではリスクが大きいでしょう。また、取締役会や監査役を置かない場合、株主総会や株主の権限が強化されますが、株主の立場から会社の業務執行に関する情報を入手するのは実際上容易ではなく、株主権の行使も取締役の不当な業務執行に対して、適時・適切になされるか問題があります。他方で、中小会社が大会社に設置が義務付けられている会計監査人や監査役会(会社328)を置くことは、その会社にとって負担が大きすぎるといえるでしょう。また、この意味からも、社外取締役や会計監査人が必須となる指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社も適切とは言えないでしょう。
中小会社に適合的な機関設計
そこで、中小会社では、信頼できる取締役を複数選任できるようにする、また3人以上の取締役の選任が可能であるなら取締役会を設置することが考えられます。取締役会を設置すると、監査役又は会計参与を置かなければなりません(会社327②)。取締役会を置かずに取締役を複数とした場合、会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定することになりますが(会社348②)、2名では意見が分かれたとき過半数とならず、かえって業務執行に支障を生ずることも考えられます。3名以上とするのであれば、取締役会の定員(会社331⑤)を満たすので、取締役会の設置を考えるべきといえます。とすれば、監査役を置くか、会計参与を置くか、あるいは両方置くかという選択となります。
上記のとおり経営を他人に任せる場合、複数の監視体制があることが適正だといえそうです。