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2019.09.30
リードブレーン株式会社
テーマ:
【コラム】疑似発起人は会社の設立に関してどのような責任を負うか?
疑似発起人は会社の設立に関してどのような責任を負うか?
事例
会社を設立するに当たり、定款に発起人として署名をしない者でも、設立時募集株式の募集広告等に自己の氏名を掲げることを承諾した場合、疑似発起人として責任を負わなければならなくなるそうですが、具体的にどのような責任を負うことになるのでしょうか。
ポイント
実務解説
擬似発起人は、財産価額の填補責任、仮装の出資履行責任、損害賠償責任を負う場合があります。
擬似発起人とは
擬似発起人とは、募集設立により会社を設立する場合おいて、募集の広告その他募集に関する書面に創立委員などとして自己の氏名及び会社の設立を賛助する旨を記載することを承諾した者をいい、発起人(定款に発起人として署名した者をいいます)。(会社27⑤・26①)でなくとも、発起人とみなされ、会社法52条から56条、103条1項2項の責任を負います(会社103④)。
擬似発起人の責任
(1) 会社が成立した場合
ア 財産価額の填補責任
現物出資・財産引受けの目的財産の価額が定款に定めた価額に著しく不足するとき、擬似発起人は設立時取締役と連帯してその不足額を支払う義務を負います(会社52①)。擬似発起人は、検査役の調査を経たときには責任を免れますが、無過失の証明による免責は認められていません(会社103①)。この責任を免除するには総株主の同意が必要です(会社55)。
イ 仮装の出資履行についての責任
株式引受人が出資の履行を仮装した場合は、会社に対し所定の額の金銭を支払う責任を負います(会社52の2・102の2)。
出資の履行の仮装に関与した擬似発起人も同額の金銭の支払義務を負いますが、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば責任を免れます(会社52の2②・会社103②)。株式引受人・関与擬似発起人の対会社責任は総株主の同意がなければ免除できません(会社55・52の2②・103③)。
ウ 会社・第三者に対する責任
擬似発起人は、その任務懈怠から会社の生じた損害を賠償する責任を負います(会社53①)。なおこの責任の免除には総株主の同意が必要です(会社55)。また、職務を行うについて悪意・重過失によって第三者に生じた損害を賠償する責任を負います(会社53②)。責任を負う擬似発起人が複数いるときには連帯責任となります(会社54)。
(2) 会社が不成立の場合
この場合、発起人は連帯して、株式会社の設立に関してした行為について無過失責任を負います(会社56)。発起人は設立時募集株式の引受人に対して払込金の返還について責任を負います。さらに定款の認証手数料など会社の設立に関して支出した費用は発起人の負担となります。
株主代表訴訟による責任追及
上記「疑似発起人の責任」については、株主代表訴訟による責任追及を受ける可能性があります(会社847①)。
例え定款に署名していない者でも、疑似発起人となった場合発起人と同様の責任を負わされますので注意が必要です。