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2019.09.29

リードブレーン株式会社

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【コラム】発起人は会社の設立に関してどのような責任を負うか?

発起人は会社の設立に関してどのような責任を負うか?

事例

発起人は、会社の設立に関してどのような責任を負うのでしょうか。

ポイント

実務解説

発起人の会社設立に関する責任としては、下記のようなものがあります。

財産価額填補責任

現物出資・財産引受の目的財産の会社成立時における価額が定款に定めた価額に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負います(会社52①)。

ただし、発起設立においては、①検査役の調査を経た場合、②当該発起人・設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合には、現物出資者又は当該財産の譲渡人である発起人・設立時取締役を除き、この責任を免れます(会社52②)。

この発起人の責任は、過失責任ですが、現物出資者・当該財産の譲渡人については無過失責任を負います。

また、募集設立においては、設立時募集株式の引受け人に損害を与えないため、上記①の場合以外は、発起人・設立時取締役は無過失責任を負います(会社103①)。

仮装出資履行責任

発起人が設立時発行株式についての出資の履行を仮装した場合、株式会社に対し、金銭出資の場合には払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払を、現物出資の場合には給付を仮装した財産の全部を給付(株式会社が請求した場合には、当該財産の価額に相当する金銭の全額の支払)する義務を負います(会社52の2①)。

出資の履行を仮装することに関与した他の発起人又は設立時取締役は、株式会社に対し、出資の履行を仮装した発起人と同額の金銭の支払義務を負います。ただし、出資の履行を仮装した者を除き、発起人等がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば、この義務を負いません(会社52の2②)。

発起人は、これらの義務が履行された後でなければ、出資の履行を仮装した設立時発行株式について、株主の権利を行使することができません(会社52の2④)。設立時募集株式についても、同様の規定があります(会社102の2)。

任務懈怠責任

発起人・設立時取締役・設立時監査役は、会社の設立についてその任務を怠り、会社に損害を生じさせたときは、会社に対し連帯して損害賠償責任を負います(会社53①・54)。発起人については設立中の会社の業務執行機関として、設立時取締役等については監督機関として、任務懈怠に基づく責任を負うものです。

その他

発起人・設立時取締役・設立時監査役は、その職務を行うについて悪意又は重大な過失によって会社以外の第三者に損害を生じさせたときは、当該第三者に対し連帯して損害賠償責任を負います(会社53②・54)。また、定款の作成後、設立の登記まで至らず会社が不成立となった場合には、発起人は連帯して、株式会社の設立に関してした行為について責任を負います(会社56前段)。一定の場合には、設立に関与した発起人は、罰則や過料が科されます。

 


発起人に責任が生じるのは会社設立までの行いに対してであり、その後の運営責任に関しては役員が負うものとされています。

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