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2019.09.20

リードブレーン株式会社

テーマ:

【コラム】設立時に資本金を定めるに当たって考慮すべき事項は?

設立時に資本金を定めるに当たって考慮すべき事項は?

事例

これから株式会社を設立しますが、1,000万円という最低資本金が不要になったと聞きました。資本金をいくらと定める際に、どのようなことを考慮したらよいでしょうか。

ポイント

実務解説

会社法では最低資本金制度が廃止されました。

設立時に資本金を定める際には、会社の社会的信用、中小企業向け融資制度、税務上の取扱い、機関設計、公認会計士監査の要否などを考慮します。

最低資本金制度の廃止

旧商法では、会社の債権者を保護するため、株式会社で1,000万円、有限会社で300万円という最低資本金が定められていました(旧商168ノ4、旧有限会社法9)。

しかし、会社法は、設立時の最低資本金制度を廃止し、会社設立を容易にするとともに、債権者の保護は、開示規制及び財源規制で図ることにしました。

すなわち、会社の財産状態を適切に開示するために、会計帳簿の作成の適時性・正確性の明文化(会社432①)、会計参与制度の創設、会計監査人の設置範囲の拡大(会社326②)、すべての機関設計の株式会社に対する貸借対照表の公告義務付け(会社440)などを定めました。

また、不当な財産流出を防止して会社に適切に財産を留保するために、配当・自己株式取得等における統一的な財産規制(会社461)、財源規制に違反して配当した取締役の責任の免除制限(会社462③)、純資産額が300万円を下回る場合の剰余金の配当禁止(会社458)などを定めました。

資本金を定める際に考慮すべきこと

会社法には、資本金をいくらにしなければならないという定めはなく、発起人は自由に定めることができます。

もっとも、資本金を定める際には、次の諸点を考慮することになります。

① 資本金の額の大小は、会社の規模や社格を示し、会社の社会的信用を基礎づける要素になります。

② 金融機関の中小企業向け融資では、資本金の額の大小は審査要件となることがあります。

③ 税務上も法人税や登録免許税の扱いにおいて、資本金の額が税率算定等の要素になります。

④ 最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上の会社は「大会社」となります(会社2六イ)。大会社は、会計監査人の設置義務を負い(会社328②)、内部統制システムの整備について決定義務を負い(会社348④・362⑤)、貸借対照表のほか損益計算書についても公告義務を負うなど(会社440①)、重い規律に服することになります。

 


資本金の額が大きいと社会的信用が大きくなる要因になりますが、無理な資金調達をして後々響いてきては意味がありません。事業規模や長期的に見てどれくらいの金額が本当に必要か、現実的に必要な額を算定してしましょう。

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