COLUMN

お役立ちコラム

2023.10.10

リードブレーン社会保険労務士法人

テーマ:

人手不足解消!?飲食業のシニア層採用

 

昨今、飲食業界の人手不足は深刻化しています。そのような中いま注目を浴びているのがシニア層の採用です。皆様の中にも、採用をお考えの企業様がいらっしゃるのではないでしょうか。今回はシニア層採用のメリットや注意点についてご紹介いたします。

 

高齢者の人口・就業者数が過去最高に~総務省統計より

【75歳以上の人口が初めて15%超に…】2022年9月の統計結果によると、高齢者の人口は3,627万人(前年比6万人増)で過去最多に、総人口に占める割合は29.1%(前年比0.3ポイント増)で過去最高となっています。また、75歳以上の人口は1,937万人(前年比72万人増)となり、総人口に占める割合は、15.5%と初めて15%を超えました。

【非正規の高齢就業者が増加】2021年の総務省の労働力調査によると、高齢者の就業者(以下、「高齢就業者」という)数は909万人(前年比6万人増)で、18年連続で過去最多となっています。高齢就業者を従業上の地位別にみると、役員を除く雇用者が517万人(57.6%)で最も多くなっています。さらにこれを雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員が393万人(75.9%)となっています。なお、非正規の職員・従業員は、2011年の168万人から2021年では393万人と、10年間で225万人増加しています。

 

【参考:総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者」】
 https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1320.html

 

 

シニア層を採用する4つのメリットとは?

【即戦力の確保】シニア層は豊富な経験や知識を持っているため、即戦力としてお店に貢献してくれることが期待できます。特に調理はスキルが必要な技術職であるともいえますが、経験のあるシニア層であれば、すぐに対応してもらうことができます。またこういった人材がいることで、若手の育成や成長にも繋がります。

【コミュニケーション能力の高さ】シニア層は子育てや長年の社会人経験があるため、幅広い世代の方々との接し方が身についている方が多いです。お客様との接客やトラブル対応も安心して任せられるでしょう。

【労働意欲のある人材が多い】シニア層は仕事に対する意欲が高い人が多く、若手に比べて勤怠態度も真面目で良好な人が多いでしょう。遅刻・欠勤が少ないことはもちろんですが、最近ニュースに取り上げられているようなSNSへの不適切な投稿のような心配もなくなります。

【条件を満たせば助成金がもらえることも】シニア層を採用する場合、条件を満たせば助成金制度を活用することができます。例えば、「特定求職者雇用開発助成金」や「65歳超雇用推進助成金」が該当します。条件を満たしているかの確認や、実際の申請時には、専門家である社会保険労務士にご相談ください。

 

 

シニア層の積極的な採用を行う企業
例えば、すかいらーくグループは50代以上の採用に特化した「グランドクルー応募専用サイト」を新設しました。実際に働くシニアスタッフの声や、シニア層目線での働くメリットなどが掲載されており、気楽に応募することができるようなサイトになっています。またすかいらーくグループでは、パート・アルバイトの定年を70歳から75歳に引き上げるなどシニア層が働きやすい職場環境づくりに力を入れ、経験や知識がある優秀な人材の確保に成功しています。

 

 

注意点
【65歳以上の高齢者の体力は低下傾向に】スポーツ庁の体力・運動能力調査(2021年度)にて、高齢者の体力の低下傾向が顕著であることが分かりました。特に、65~74歳の男性の体力は過去10年間で最低を記録。週1日以上の頻度で運動している人の割合も同区分では減少しており、専門家は、「高齢者に運動習慣が広がり体力向上につながっていた流れが、頭打ちとなってきた」と警戒しています。

【労働災害が増加する心配も】高齢者の体力の低下は、労働災害の増加にもつながります。そもそも高年齢層の労働災害発生率は若年層に比べ相対的に高いのですが、これは身体機能や体力の低下といった高齢者特有の事情によるものと考えられるところ、今後ますます労働災害の発生件数が増えることが懸念されます。働く高齢者が増えるなか、企業としては、従来の想定以上に高齢者の体力が落ちていることを念頭に、安全に働いてもらうことのできる職場づくりを行っていかなければなりません。

【多様な働き方を用意しましょう】上記で上げたように、シニア層の方々はリスクを抱えている場合が多いため、短時間シフトを用意するなど柔軟な勤務体系を用意する必要があるでしょう。こういった配慮は、シニア層以外の主婦や学生にもあ
りがたい制度となるため、採用の幅も広がります。

 

 

さいごに
今回はシニア層の採用についてご紹介いたしました。健康面でのリスクはありますが、経験豊富なシニア層を採用することで会社の成長にも繋がるでしょう。ご紹介した助成金や、経営環境の変化に伴う就業規則の見直しなど、ご不明な点がございましたらリードブレーンまでお問い合わせください。専門の社労士が丁寧にサポートさせていただきます。

 

 

ピックアップ