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2018.10.20

リードブレーン社会保険労務士法人

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【コラム】身近な労働法の解説③

 ◆年次有給休暇◆

 

 年次有給休暇の付与日数

 労働基準法の改正案において、「一定日数の年次有給休暇の確実な取得」が盛り込まれています。具体的には、「10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならない」と義務化する内容です。

 「確実な取得」の前提となる年次有給休暇の付与日数について、労働法の取扱いを簡単に確認しましょう。

 

1.法定の付与日数

 ①②を満たす労働者に対して、10労働日の年次有給休暇が与えられます。

  ①雇入れの日から起算して6か月継続勤務

  ②全所定労働日の8割以上を出勤

 その後、基準日の前年における②を要件として、継続勤務年数1年ごとに継続勤務年数に応じて11労働日から20労働日の年次有給休暇が与えられます。

 週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間数が30時間未満の労働者については、比例付与として、労働日数および継続勤務年数に応じて1労働日から15労働日が付与されます。

 ※認定職業訓練を行う未成年者および週以外の所定労働日数を定める場合の付与日数については割愛します。

 

2.労働契約(所定労働日数等)に変更があった場合の付与日数

(1)付与日数

 年次有給休暇は基準日に発生するので、基準日現在の労働契約により付与日数が定まります。

 例えば、5月1日が基準日のパートで3労働日の比例付与対象だが、その後、6月から正社員になることが決定したという場合でも、3労働日分の付与のままで問題ありません。

 なお、基準日から1年内の退職が決定している場合でも、法定の付与日数を下回る付与はできません。

(2)勤続年数のカウント

 継続勤務年数については、「実質的に労働関係が継続している限り勤務年数を通算する」とされています。例えば、次のようなケースです。

 ・定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用している場合

 ・短時間アルバイト等を正社員に切り替えた場合

 ・在籍型の出向をしている場合

 ・日々雇い入れられる者等でも、その実態よりみて引き続き使用されていると認められる場合

 

3.全所定労働日の8割を出勤しなかった場合

 その年度の付与はありませんが、次の年度に8割以上を出勤した場合は、勤続年数に応じた日数が付与されます。

 例えば、入社6か月経過後に10労働日が付与され、その後1年間に出勤が8割に満たなかった場合、1年6か月経過では付与なし(0日)、その次の1年間に8割以上出勤した場合は、2年6か月経過の12日が付与されます。

 以上は、労働法上の最低基準です。

 

 なお、労働基準法第41条の管理監督者についても、年次有給休暇の規定は適用されます。


雇用形態を問わず、パート・アルバイトでも有給休暇は取得できます。

ただし、働いている日数によって、取得できる日数も変わりますので確認が必要です。

 

 

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