定年延長は義務化された?2025年4月の変更点と給料への影響を解説

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2026.09.07

リードブレーン株式会社

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定年延長は義務化された?2025年4月の変更点と給料への影響を解説

定年延長は義務化された?2025年4月の変更点と給料への影響を解説

定年を65歳に延長することは義務化されていません。
義務化されているのは、希望者が65歳まで働ける環境を企業が整えることです。

本記事では、定年をめぐる制度について2025年4月から何が変わったのかをわかりやすく解説します。
60歳以降の給料への影響や、70歳までの就業機会の確保についてもまとめました。

定年や再雇用を目前に控え、60歳以降の働き方を考えている人はぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること
  • 定年制度について2025年4月から何が変わったのか
  • 70歳までの就業機会の確保は義務なのか
  • 定年後の給料はどのくらい下がるのか
  • 65歳より前に退職したほうが得なのか

定年延長は義務化されていない|2025年4月に変わったこと

「65歳までの雇用を義務化」と聞くと、定年が65歳に延長されたように受け取れます。
しかし、定年延長は義務ではなく「雇用確保措置」のひとつです。

企業には以前から、希望する人が65歳まで働けるようにする雇用確保措置の義務があります。
2025年4月に変わったのは、継続雇用の対象が「希望者全員」になったことです。

まずは、定年延長と65歳までの雇用確保の違いから解説します。

定年延長は「65歳までの雇用確保措置」のひとつ

定年延長は、義務ではなく65歳まで雇用を確保する方法のひとつです。
企業には、希望する人が65歳まで働ける環境を整える「雇用確保措置」が義務づけられています。

とはいえ、すべての企業が定年を65歳に引き上げる必要はありません。
定年が65歳未満の企業は、次の3つの方法からいずれかを選んで対応できます。

企業が選べる65歳までの雇用確保措置
  • 65歳までの定年の引き上げ
  • 65歳までの継続雇用制度の導入
  • 定年制の廃止

実際に、厚生労働省の令和7年「高年齢者雇用状況等報告」では、継続雇用制度を導入する企業が65.1%と最多。
定年を引き上げた企業は31.0%でした。

「65歳までの雇用を確保すること」と「定年を65歳にすること」は同じではありません。
ここが混同され、「定年延長が義務化された」との誤解に繋がったと考えられます。

2025年4月から変わったこと

2025年3月31日に経過措置が終了し、企業は継続雇用の対象を年齢等の基準で限定できなくなりました。
2025年4月以降は、定年後も働きたいと希望する人全員が、原則として65歳まで継続雇用の対象です。

2025年4月から変わったこと
  • 継続雇用の対象者を、労使協定の基準で限定できなくなった
  • 高年齢雇用継続給付の最大支給率が15%から10%に引き下げられた
2025年4月以降も変わっていないこと
  • 定年年齢の下限は60歳のまま
  • 企業が3つの雇用確保措置から選べる点も変わらない

高年齢雇用継続給付の支給率変更については、後ほど詳しく解説します。
参考までに、定年をめぐる主な法改正の流れをまとめました。

【年表】定年をめぐる法改正の流れ
  • 1994年改正(1998年4月施行):60歳未満の定年が禁止される
  • 2000年改正:定年の引き上げなどによる65歳までの雇用確保措置が努力義務に
  • 2004年改正(2006年4月施行):65歳までの雇用確保措置が義務化。対象年齢は段階的に引き上げ
  • 2012年改正(2013年4月施行):継続雇用の対象者を絞る仕組みを廃止(経過措置つき)
  • 2020年改正(2021年4月施行):65歳から70歳までの就業機会を確保する努力義務が新設
  • 2025年4月:経過措置が終了

義務の対象年齢は、およそ20年をかけて60歳から65歳へと広がってきました。
そしてこの流れは、すでに70歳へ向かっています。

定年延長70歳は義務化される?現時点では「努力義務」

70歳までの定年延長は、現時点で義務化されていません。

2021年4月から企業に求められているのは、70歳まで働ける機会を確保する「努力義務」です。
定年の引き上げだけでなく、継続雇用や業務委託なども選択肢に含まれます。

70歳までの就業機会確保は2021年4月から努力義務

2021年4月の改正で、企業には70歳までの就業機会を確保する努力義務が設けられました(高年齢者雇用安定法10条の2)。
企業に求められているのは、次のいずれかの措置です。

70歳までの就業機会を確保する方法
  • 70歳までの定年引き上げ
  • 定年制の廃止
  • 70歳までの継続雇用制度の導入
  • 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  • 70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入

65歳までの雇用確保措置とは異なり、業務委託など雇用以外の働き方も含まれます。
また、これはあくまで「努力義務」です。
厚生労働省は、この改正が70歳までの定年年齢の引き上げを義務付けるものではないと明記しています。

令和7年報告では、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は34.8%(前年比2.9ポイント増)でした。
3社に1社という水準です。

70歳定年が義務化される時期は決まっていない

70歳定年の義務化について、具体的な法改正の予定は示されていません。
現状、いつ義務化されるかは不明です。

政府は70歳までの就業確保措置について、2029年までに実施率40%以上を目指す目標を掲げています。
2025年6月時点の実施率は34.8%です。

今後の法改正や厚生労働省の発表を確認しましょう。

定年延長で給料は何割下がる?

定年後に再雇用されると給与は定年前より下がるケースが多く、5~7割程度になるのがひとつの目安です。
給与を補う「高年齢雇用継続給付」もありますが、2025年4月に最大支給率が15%から10%に下がりました。

ここからは再雇用後の給与がどの程度下がるのか、高年齢雇用継続給付の変更点とあわせて解説します。

60歳以降の給与は5~7割程度が目安

定年後の再雇用で給与が下がるケースは少なくありません。

継続雇用された60代前半のフルタイム勤務者を対象とした調査があります。
最も多いのは、60歳直前の賃金と比べて再雇用後「50%以上75%未満」になる企業です。
最低水準では「50%未満」と回答した企業も一部ありました。

再雇用後は、定年前の5~7割程度をひとつの目安にするとよいでしょう。

ただし、実際の給与は企業や仕事内容、勤務時間などによって異なります。
正確な金額は、会社の再雇用時の賃金条件を確認してください。

【2025年4月改正】高年齢雇用継続給付が15%→10%に縮小

60歳以降の賃金低下を補う制度が、雇用保険の「高年齢雇用継続給付」です。
主な支給要件は次のようになります。

高年齢雇用継続給付の主な支給要件
  • 60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者
  • 被保険者であった期間が通算5年以上
  • 支給対象月の賃金が、60歳到達時の賃金月額の75%未満に低下していること

2025年4月1日から、高年齢雇用継続給付の最大支給率が15%から10%に引き下げられました。
あわせて、最大支給率が適用される賃金の低下率も61%以下から64%以下に変更されています。

60歳に達した日
(誕生日の前日)
支給率の上限 最大支給率となる
賃金の低下率
2025年3月31日以前 15% 61%以下
2025年4月1日以降 10% 64%以下
1965年4月2日以降生まれ

2025年4月1日以降に60歳となる人は、賃金が60歳到達時の64%以下になると低下後の賃金の10%が支給されます。
64%超75%未満の場合は、賃金の低下率に応じて支給率が変わります。

なお、「60歳に達した日」は誕生日ではなく、その前日です。
すでに旧制度の対象となっている人には、引き続き改正前の支給率が適用されます。

65歳より前に辞めたほうが得?退職時期の考え方

65歳より前に退職すると、雇用保険の給付が多くなる場合があります。

しかし、必ずしも早く辞めたほうが得とは限りません
退職金や離職理由によっても変わるため、条件を比べて退職時期を決めましょう。

64歳以下と65歳以上では雇用保険の給付が異なる

雇用保険は、65歳未満で離職した場合と65歳以上で離職した場合で受け取れる給付が異なります。
65歳未満で離職した場合は「基本手当」、65歳以上では「高年齢求職者給付金」の対象です。

【表】基本手当と高年齢求職者給付金の違い

項目 基本手当(64歳以下で離職) 高年齢求職者給付金(65歳以上で離職)
給付日数 90日/120日/150日 30日分 または 50日分
支給方法 原則28日ごとに分割 一時金として一括
再就職手当 対象になる場合がある 対象外
受給期間の延長 制度あり 制度なし

※表の給付日数は一般の離職者の場合です。倒産・解雇などによる特定受給資格者等は、年齢や雇用保険の加入期間によって給付日数が異なります。

給付日数は、雇用保険の加入期間が10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。
長く勤めた人ほど差が開きます。

一方の高年齢求職者給付金は、30日分または50日分を一時金として一括で受け取る仕組みです。
勤続20年以上の方であれば、150日分と50日分。
その差は100日分です。仮に基本手当日額が5,000円だとすると、およそ50万円の違いになります。

なお、法律上は誕生日の前日に65歳へ到達します。
65歳未満での離職を考えている場合は、退職日の扱いを事前にハローワークへ確認してください。

64歳での退職が有利になるケース/65歳以降が有利になるケース

どちらが有利かは、雇用保険の給付額だけでは判断できません。

64歳での退職が有利になりやすいケース
  • ◎ 雇用保険の加入期間が長く、多くの基本手当を受け取れる
  • ◎ 退職後に求職活動をする意思がある
  • ◎ 早期に再就職でき、再就職手当の対象になる可能性がある
65歳以降の退職が有利になりやすいケース
  • ◎ まとまった額を一括で受け取りたい
  • ◎ 退職金規程で、定年退職と自己都合退職の支給額に差がある
  • ◎ 65歳まで働いた分の給与が、給付の差額を上回る

特に注意したいのは、65歳までの雇用契約がある人が、それ以前に自分から退職するケースです。
退職時期によっては自己都合退職として扱われる可能性があります。

自己都合退職の場合は給付制限がかかり、支給の開始が遅れます。
あわせて、退職金が減る規程になっていないかの確認も必要です。

「基本手当が多くもらえる」という理由だけで退職日を早めることはおすすめしません。
65歳まで働く場合の給与や退職金も含めて比較しましょう。

退職日を決める前に確認すべきこと

退職時期による損得は、雇用保険の加入期間や離職理由、勤務先の退職金制度などによって変わります。
退職日を決める前に、次の点を確認してください。

退職前に確認する項目
  • 雇用保険の加入期間(何年何カ月か)
  • 基本手当日額と所定給付日数
  • 定年退職・自己都合退職など離職理由の扱い
  • 給付制限の有無と期間
  • 会社の退職金規程で、退職日によって支給額が変わらないか

雇用保険についてはハローワーク、退職金や離職理由の扱いについては勤務先の人事担当に確認しましょう。

定年延長の義務化に関してよくある質問6選

定年延長の義務化に関して、よくある疑問にお答えします。

Q1. 65歳以降は給料と年金を同時にもらえますか?
65歳以降も、働きながら老齢厚生年金を受け取ることが可能です。

ただし、給与や賞与と老齢厚生年金の合計が一定額を超えると年金の一部が支給停止される場合があります。
この仕組みを「在職老齢年金」と言います。

2026年4月からは支給停止の基準額が月65万円に引き上げられました。
基準額は変更されることがあるため、日本年金機構の最新情報を確認してください。

Q2. 定年延長で退職金は減りますか?
給与が下がったことを理由に、退職金まで減るとは限りません。

退職金の計算方法や支給条件は勤務先の退職金規程によって異なります。
詳しい支給条件は、勤務先の退職金規程を確認してください。

Q3.65歳以上で契約更新しないのはおかしいですか?
直ちに違法とはいえません。
65歳までは雇用確保措置が義務ですが、65歳以降は努力義務にとどまるためです。

ただし更新を期待させる言動があったなど、個別の事情によっては争点になりえます。
不安がある場合は労働局の相談窓口をご利用ください。

Q4.65歳以上は週に何時間働けますか?
年齢による労働時間の上限はありません。
65歳以上でも、労働時間のルールは基本的に同じです。

雇用保険は、原則として次の両方を満たすと加入対象になります。

雇用保険の主な加入要件
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある
Q5.定年を65歳に延長するデメリットは?
企業側では人件費の増加、役職ポストの不足、退職金の増大などが挙げられます。
働く側でも、定年が延びることで退職金の受け取り時期や再就職のタイミングを選びにくくなる場合があります。
Q6.なぜ働く年齢が上がっているのですか?
厚生年金の支給開始年齢の引き上げに合わせて、雇用制度も見直されてきたためです。
定年後に収入のない期間が生じないよう、65歳までの雇用確保措置などが段階的に整備されてきました。

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