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2020.03.02

リードブレーン株式会社

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【コラム】役員の任期はどう定めるか?

役員の任期はどう定めるか?

 事例

取締役や監査役などの任期について、会社法では、10年以内とすることができるようですが、どのように任期を決めたらよいのでしょうか。取締役ごとに異なる任期を定めてもよいのでしょうか。

実務解説

非公開会社では、取締役、会計参与及び監査役(以下、「役員」といいます)。の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定期株主総会の終結の時まで伸長できます(会社332②・334①・336②)。各役員の任期について、その会社の実情に応じて、10年以内で異なった定めをすることができます。

役員の任期に関する原則

取締役及び会計参与の任期は、選任後2年であり、公開会社では、定款又は株主総会の決議により短縮することはできますが、伸長することはできません(会社332①・334①)。ただし、指名委員会等設置会社の取締役や監査等委員会設置会社の取締役(監査役委員であるものを除きます。)の任期は1年であり、後者の取締役の任期は短縮できません(会社332③④⑥)。監査役の任期は、選任後4年であり、その地位の安定と独立性を担保するため定款や株主総会の決議によっても短縮することはできません(会社336①)。

非公開会社の役員の任期の伸長

会社法では、株式会社と有限会社が統合されることになったため、従前の有限会社と実質を同じくするような非公開会社の取締役の任期について、選任後10年まで伸長できることとしました(既存の有限会社は、特例有限会社として、その取締役の任期は、従来どおり最長期間に制限を設けないこととされていました(整備18)。)。これは、小規模閉鎖的な会社では、登記時に必要な登録免許税などの経費を節約したいとの要望もあるでしょうし、大株主が取締役となっており、所有と経営が一致している場合も多く、株主総会で株主の信任を問う必要性も乏しいということもあるからです。もっとも、役員の人材確保との関係や長期間の任期では会社の健全性が損なわれるというおそれもあるでしょう。このような事情をその会社の実情に応じて、任期を検討するべきでしょう。

定款における定め方

取締役について、特に任期に差異を設ける必要性がある場合もありますので、例えば、定款において、「代表取締役の任期は選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。代表取締役以外の取締役の任期は選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。」との定めを設けることも考えられます。

 


任期を最長10年とする場合、手間やコストが省ける反面、任期満了前に正当な理由がなく解任すると損害賠償請求される可能性もありますので、注意が必要です。

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